奇跡の歌声…Charice Pempengco(チャリス・ペンペンコ) について‐2‐ | 榊邦彦 OFFICIAL BLOG new

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けれど一方で、言葉や愛がまったく立ち向かうことのできない不安や困難も、
また、存在しないのではないか……僕は、今そう思っている。
『100万分の1の恋人』榊邦彦(新潮社)

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 先日のブログでも書いたCharice Pempengco だが、マジソン・スクエアー・ガーデンで、セリーヌ・デュオンとデュエットしたり、そのほか、超大物アーティストのショーに共演・有名なトークショーに出演などして、全米では、すでにかなりの知名度になっているようである。

 確かに、あの若さで、あれだけの歌声と表現力を持っていたら、埋もれるはずがないだろう。
 知られるべくして、知られたというか。
 
 フィリピンののど自慢から始まって、ユーチューブのビデオ動画が着目され、韓国の番組に出演。それをきっかけに世界に知られるようになって、いまや、超大物アーティストとのショーをこなし、デイヴィッド・フォスターの秘蔵っ子。

 ディヴィッド・フォスターをはじめとして、彼女をバックアップしている人々は、「育ててあげたい・引っ張りあげてあげたい」という気持ちになるんだろうなあ。
 というか、彼女の歌を聴いた音楽関係の人なら、「育ててあげる役割・責任」を感じるのではないだろうか。 ビジネス的にも、もちろんビッグだろうが、それよりも、もっと違う気持ち、たとえば使命感のようなものに突き動かされて、周囲が動いているように思う。いや、「使命感」というと堅苦しい。もっと自然な気持ちかもしれない。
「この子の才能に出会えた幸運」が嬉しくてたまらないというような。

 彼女の素直で明るい人柄も、人々の気持ちをつかむのだろう。しゃべっているのを見ると、本当に微笑ましい少女だ。元気がよくて、はじける部分もあるのに、節度があって、礼儀正しい。
 しかし、イントロが入った瞬間に、ワールドが変わる。会場を一瞬のうちに、彼女のワールドで染めあげる。
 まるで、放課後の教室からラスベガスのホテルにワープするようだ。
 マジソン・スクエア・ガーデンでは、セリーヌ・デュオンに、
「Are you OK?」と尋ねられて、さすがに、チャリスも「I'm nervous」と細い声で答えている。
 それなのに、曲に入ったら、あっというまにワールドを作り上げる。
 歌い終わった後は、顔をくちゃくちゃにして泣いているのに、曲の間は、一切のブレはない。
 この魂の力はどこから生まれるのだろう。
 何かが「降りてきている」のを目のあたりにするようだ。

 16歳の若さに注目されている部分もあるかもしれないが、若さを抜きにして、現在でも、十分、歌そのもので勝負できる世界的なボーカリストだと思う。
 歌を聴くまえに「歌のうまい子供なのね」と思っていた人は、その予想を見事に裏切られるに違いない。

 これから、人生の年輪を積み重ねたら、いったいどんな世界を聞かせてくれるのだろうか。