『フラガール』舞台版 | 榊邦彦 OFFICIAL BLOG new

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けれど一方で、言葉や愛がまったく立ち向かうことのできない不安や困難も、
また、存在しないのではないか……僕は、今そう思っている。
『100万分の1の恋人』榊邦彦(新潮社)

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『フラガール』舞台版を観た。

一番の印象は、ラスト三分の一ほどで繰り広げられるハワイアンダンスの舞台。
劇中劇の形で、迫力あるダンスシーンを繰り広げている。

福田沙紀さんはじめ、出演者の方の切れ味あるフラダンスに圧倒されながら、「ほんとたくさん練習したんだろうなあ」と、そんなことを思う。頑張っている姿は、ただそれだけで胸を打つ。

心理描写とか、微妙な人間関係とかは、やはり映画の方がよく描けていたと思う。アップの表情とか、適度に入れ替わる場面とか、そういう描写によって描かれていく人間の心理や人間関係のドラマは、演劇は映画には敵わないだろう。

一方、臨場感あふれるダンスシーンは、やはり舞台の方が勝っていた。役者の方の一体感が客席まであふれてくる。思わず手拍子をとってしまうような一体感だ。

当然のことだが、映画には映画の、舞台には舞台の表現の仕方がある。長所がある。

僕は、「小説にできること」「小説にしかできないこと」を大切に、言葉を紡いでいこうと、再確認した時間だった。