アイナ・ジ・エンドの「Forget me not」 | 榊邦彦 OFFICIAL BLOG new

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けれど一方で、言葉や愛がまったく立ち向かうことのできない不安や困難も、
また、存在しないのではないか……僕は、今そう思っている。
『100万分の1の恋人』榊邦彦(新潮社)

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尾崎豊は、まさか国語の授業で扱われるなどとは思っていなかっただろうけれど、二十五年ほど前から、現代文の授業で「卒業」「15の夜」「シェリー」など、時折、チャレンジさせてもらっている。
最近では、歌詞を考えた後に、尾崎の歌う動画を、生徒と一緒に見たりもする。
尾崎に触れるたびに思うのが、もちろん楽曲(特に歌詞)も素晴らしいのだけれど、心打たれるのは、なんといっても尾崎豊の歌唱の壮絶さである。

「この歌が歌い終わったら死んでもいい」

「今、このとき」への圧倒的なひたむきさ。
その「ひたむきさ」は、音楽とかロックとか、そういったジャンルに閉ざされることのない普遍的な力だ。
その「ひたむきさ」からは、打算とか同調圧力とか諦めとか、そういったことに立ち向かう、かけがえのない力を感じる。
そんなことを教壇から伝えるのに、僕の言葉はふさわしいだろうか。
……

尾崎の歌は、数限りなく、様々なアーティストによってカバーされているが、やはり、尾崎の影がちらついて、なかなか心に届くのは難しいことも多かった。
しかし、そんなカバーの中でも、玉置浩二の「I love you」と、中村あゆみの「シェリー」は、尾崎とは、また違った迫力で、説得力を感じるものがあった。
二人とも、自分の人生を抱えて、歌の中に自分だけの思いを注ぎ込んでいる。

さて、今回、突然、尾崎豊のことを書いたのは、先日、見たミュージック・フェアである。
その日のコンセプトは、尾崎豊のカバー。

「シェリー」の次に大好きな曲、「Forget me not」のイントロが流れる。誰が歌うのかな、、、あまり期待することもなく、何気なく見ていたのだが、最初のアカペラのワンフレーズで、一瞬でもっていかれた。
「だれ、この子!!」

今まで、ほとんど知らなかったアーティストだが、度肝を抜かれた。
玉置浩二の「I love you」、中村あゆみの「シェリー」とも異次元だった。
上手いとか、下手とか、そういうレベルではない。

アイナ・ジ・エンド

尾崎もきっと喜んでいるだろうな。