鏡リュウジを考える。 その② | 占星術小説家@酒井日香の占い死ね死ねブログ

その②です。続きです。




そうそう。。。



占星学業界ではまぁまぁ



「先鋭的研究者」



として知られていた、有名出版社から何冊も

占星術の本を出していて英文翻訳家でもある



「H・S先生」



が、昔は同じ門弟だった鏡リュウジさんのことを

ボコボコに言っていたのが印象的だったわけ。




他の占星術ライターもH・S先生に便乗して



「鏡はヒドい。確かにヒドい」



と連呼しつつ、わしはメンバーの中でただ一人の

20代だから、酒が入って乱れる先生たちに頭を

こづかれ、つまみをぶっかけられたりしながら

じいっと話を聞いていた。



だけど。










鏡のいいたいこと、今はものすげーよくわかる。









よくわかるけど、それでメシを今も喰ってる鏡がそれを公で言っちゃうことは、人間性としてはこの上なくズルいのではないかということも同時に強く思う。





占星術など信じないほうが良いとメディアで公言するならば、テメェがしている商売はいったい何なのだ鏡リュウジよ。。。






しかも占星術ときたら、さらにズルくて、そういう性格上の欠点を指摘しても、「僕はうお座だから・・・」で済ませてしまうところがある。自分の人間性は星のせいだから仕方がないというような鏡の論調なのだ。大人の言うことではない。





と思いつつ、確かにH・S先生たちみたいに、なんでも

占星術にあてはめてものを考えるのも怖いと思った。






要するに



「両方ともオカシイ」



という印象なんだけど、当時は酒井さんも占い業界

どっぷりだったから、自分がやってる占いを批判する

キモチって言うのはイマイチよくわからなかったけど。





んで、そんなことがあったりして、わしも



「占いってオカシイよ。こんなのをちやほやしている

出版社もオカシイよ」



と思って、そんで、占いの敵になろうと決意したのが

33歳くらいのこと。



それから宗教と占いを比較・研究するべく、さまざまな

仏典を読み、宗教関係の人たちにも教えを聞きに

いったりして、いまでは



「にわか宗教学者」



みたいな状態になっている酒井さんなんですけど、

占いっていうのも宗教の一つではあるから、勢い、

倫理的な答えを求めようとすると、宗教学に行きつかざるを

得ない。




そんなわしが改めて、鏡リュウジ著



「占い脳」でかしこく生きる 河出書房新社 刊




を読んでみたら、




鏡リュウジという人がたぶん、ものすごく抱えている苦しい

ジレンマが手に取るようにわかった。



鏡さんは東洋文化をもっと学んだほうがいい。



この人は基督教大学出身で、若いころから英語圏文化の

ことには精通しているのかも知れないけれど、仏教思想を

勉強しないのは学者としては非常に片手落ちだといわざるを

得ないのではないだろうか。



鏡さんや、占い地獄で悩んでいた酒井が欲しかった答え

というのに、すでに2600年も前から仏教は答えを見つけて

いたりする。



鏡さんにはぜひ、仏教や東洋思想を勉強して欲しい。



この人は欧米文化しか見ていないので、実は科学の

最先端や物理学、心理学はもうすでにヨーロッパ思想には

見切りをつけていて、今は仏教と非常に同じ方向を向き始めて

いるのだということが、まったくわかっていないのだ。



だから、ユング・ユングとやたらバカの一つ覚えみたいに、

占星学をユング心理学と結びつけたりするけれど、実は

鏡自体が心理学を非常に誤解している。



ユングを語るならば、ユングが目指していた仏教思想との

融和についてもきちんと研究して欲しい。



鏡が大好きだった精神分析家


「故・河合隼雄さん」



は、ちゃーーーんとご自分の著書でユングと仏教思想の



「唯識学」



との関連をちゃんと述べておられるわけで。



ユングをやたら占星術に利用して、これ以上ユングを

冒涜するのだけは正直、やめて欲しいと思う。



わたしも鏡のうすっぺらい知識の本で洗脳されていた一人で、

ユング心理学をずいぶんと長い間誤解していた。



でも、仏教の本を勉強するようになってから、ユングの本筋は

占星学なんかじゃなくて、仏教思想だったんだということが

大変によくわかった。



鏡さんが著書の中で描いているユング心理学は、

多くの日本人にかえってユングを誤解させている。



ユングは確かに、占星学と自説を結び付けようとしていた時期

もあったけれど、説きたかったことはあんなマジナイみたいな

世界観じゃないんだよリュウジ。



仏教的



「空」



こそが、本当にユング心理学の教えていることなのであり、

そのユングがあったからこそ認知心理学が発達できた

のである。



これ以上占いに、ユングの権威を悪用するのはやめて欲しい。




そんなわけで書評は続きます。。。


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