夏の暑い時期に頂いたら,美味しいのではないかな😋🍴💕

 饂飩や蕎麦には大きく分けて「もり」と「かけ」の種類の食べ方が存在します。言うまでも無く前者は麺と汁を別にして付けて頂くもの,それに対して後者は初めから汁の中に面が入っているものです。こうした種類の食べ方があるのは日本の麺類の特徴のようで,そういえば中国や韓国にも日本と同様に美味しい麺料理が存在しますが,それらは「かけ」で頂くのが普通ですね。
 そのように考えてみると中華麺を「もり」で頂くつけ麺というお料理は,もともとは中華料理だったラーメンがいよいよ本格的に日本化している一つの証拠でしょうか。日本は昔から食文化に限らず,外国の優れた文化を取り入れて自分たちの好みに合うように作り替えるということを盛んに行う国です。そして近年のつけ麺の普及もまた日本文化の特徴的なダイナミズムの一つと捉えると,ただ何となく頂いているのとはまた違った知的な楽しさを味わえるような気がして参ります。

 今回はそんなつけ麺の一種である「つけ担々麺」を家庭で頂けるレシピに出会いました。これは上述の日本文化の特徴という点を踏まえると更に興味深い存在です。もともと中国の担々麺にはスープは無く,スパゲッティミートソースのように肉や野菜を炒めて作る肉味噌のようなソースを掛けて頂くお料理でした。汁のある担々麺は日本人の嗜好に合わせ,中国出身の名料理人として高名な陳建民(1919〜1990)によって考案されたお料理です。そうした歴史を踏まえて改めて見てみると「もともと汁無しだった担々麺に汁を添え,かつ『もり』で頂く」こちらの「つけ担々麺」は,まさに中華料理の日本化の極北とすら言えるのではないでしょうか。
 なお余談ながら付け加えると,陳の考案した汁あり担々麺は日本人のみならず中国人にも好評を得たようで,現在では中国でも両方の担々麺が賞味されるようになっているのだとか。一方で中国の食文化を充分に受容し多くの人々がその良さを理解出来るようになった現代の日本でも,汁無し担々麺は中華料理店の人気のメニューになっていますね。広島などでは汁無し担々麺が名物の一つとして多くの人々に愛されるようになっています。

 では早速,こちらの「つけ担々麺」の具体的な調理法を見て参りましょう。まず麺つゆ作り。フライパンで胡麻油を中火で熱して大蒜・生姜を炒め,香りが出てきたら豚挽肉を加えポロポロになるまで更に炒めます。そこに豆板醤を加えてなお炒めたら味噌を加え,水と鶏ガラスープの素を加えて煮立たせてから3〜4分煮こみ,練胡麻・醤油・辣油・すり胡麻を加えます。それが終わったら根元を切って1枚ずつ剥がしたチンゲン菜を塩を加えた熱湯に下から入れ,シンナリしたら葉も沈めて茹でて取り出しておきます。次にたっぷりのお湯で中華麺を茹で,笊に上げてすぐに流水でしっかり洗って再度笊に上げて水気を切ります。それが終わったら麺つゆを温めて器に盛り,お皿にはともに水気をしっかり切った麺とチンゲン菜を盛り付けて完成です。

 皆様もよくご存じのように饂飩も蕎麦も暑い時期には「かけ」で頂くと美味しいものですね。中華麺もそれは同じです。これからの季節に中華麺料理といえば真っ先に思い付くのは冷やし中華ですが,時には目先を変えてつけ麺もよろしいのではないでしょうか。こちらのレシピには「梅酒やビールが合う」と注意書きがあり僕も全くその通りだと思いますが,ソフトドリンクではキンキンに冷やした烏龍茶などもピッタリに違いありません。
 暑い日にこちらの「つけ担々麺」を頂くのが,今からとても楽しみになってしまいますね٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶ °



つけ担々麺