赤身肉というのは同じお肉でアッサリ味もコッテリ味も,誰もが満足するビフテキを作れる最高の素材なのではないでしょうか。今回はそんなことを思いながら,美味しいビフテキの焼き方を学びました。

 僕がビフテキを大好物にしていることは常々申し上げているとおりですが,実はそのビフテキの中でも特に好きなのがあまり脂身の無い赤身肉です。赤身肉というとかつてはヒレのような最高級の肉ばかりでしたが,最近は有り難いことに比較的安価な「赤身肉」というものをお肉屋さんでもステーキハウスでも用意していることが多くなりました。そしてそういうお肉には殆ど脂が含まれていません。もともと日本では「霜降り」といって赤身部分にも脂の含まれるものが好まれていましたが,最近はそうした肉だけのビフテキを好む人が増えてきたのだとか。僕はというと,以前から「霜降り肉はすき焼きなどには向いているが,ビフテキに使うと少々くどい」と感じておりましたから,これは歓迎すべき事柄です。

 つい先日,僕はとあるステーキハウスでオーストラリア牛のビフテキを頂いて参りました。同じ輸入肉といっても比較的日本との取引の歴史の長いアメリカではかつての日本人の嗜好に合わせた霜降り肉も生産させれていますが,最近まで日本との取引が少なかったオーストラリアの牛肉には霜降りは殆ど無く,脂身の殆ど混じっていない本当の赤身の肉が提供されます。僕は「美味い(๑˃̵ᴗ˂̵)」と夢中になって頂いていたところ,お店の方から「バター要ります?( ・ᴗ・ )?」と声を掛けられました。「バター(・・?)」僕はその日はパンではなくライスを頂いていたので不思議に思っていると「当店のステーキはバターを載せて召し上がる方も多いんですよ」と仰るので,早速頂いて鉄板に載せて溶かしたバターを絡めてみると・・・「ほぅ!(。・о・。)!」。それまでのアッサリしたビフテキとは一味違うボリューム感満点の味になりました。これなら霜降り肉のようなコッテリ系のビフテキを好む人も十分満足出来るのではないかと思えるほどに。
 昔は「ビフテキは牛脂で焼くに限る」などと言うことが言われていましたし,そういうビフテキも確かに非常に美味しい。しかし上述のとおり最近ではサッパリした味わいを好む人も増えてきて,サラダ油やオリーブオイルでビフテキを焼くことも珍しくなくなって参りました。またガーリックの香りなどを絡めるために,敢えて「まずはサラダ油で大蒜を炒め,その香りを付けたオイルで肉を焼く」といった手法も執られるようになっています。僕などは大歓迎の時代の変化ですが,中には昔ながらのコッテリ系を好み,現状を不満に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし上述のステーキハウスのように「赤身肉でサッパリとしたビフテキを焼き,コッテリ系の好きな方はバターを加える」という方法であれば,誰もが同じお肉を美味しく頂けるのではないでしょうか。

 そんなことを思っていたところ,こちらでその「サッパリとしたビフテキ」のレシピに出会うことが出来ました。赤身肉を常温に馴染ませてから塩胡椒をして,中火で十分に熱したフライパンにオリーブオイルを引いてお肉を載せて動かさずにしばらく焼きます。焼いている面に色がつき側面も半分ほど白っぽくなったら肉を裏返して弱火にし,肉の表面が少し盛り上がったらフライパンから上げてアルミホイルに2~3分包んで完成。こちらでは肉汁が落ち着いてから食べ易い大きさに切っていますが,自分で切るのが楽しいという方も珍しくないのでそれは好みでしょう。
 このやり方だと頂く頃にはビフテキも少し冷めている上に家庭では鉄板も使わないので,そのままではバターが溶けてくれません。肉を取り出した後のフライパンでバターを溶かし,好みに従って或いはそのまま,或いは醤油を混ぜて更に加熱して適宜ビフテキに回し掛けるというのは如何でしょうか。無論,くどいのが苦手な方はそのようなバター不要でしょうし,両方食べてみたい方は途中から掛ければよろしいかと思われます。

 赤身肉というのは有り難いことに比較的安価に手に入れることが可能です。そのままビフテキにするだけではコッテリ系を好む方には少々物足りないでしょうが,バターを上手に活用すればアッサリ好みの方もコッテリ好きの方も両方満足出来ますので,これからはビフテキを焼く際には赤身肉に限るのではないか。僕は今,そんなことを思っているところです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪



厚切りビーフステーキ