乾麺をそのまま使うんだ!(。・о・。)! 名前もですが,調理法も珍しいパスタ料理ですね。

 麺類というのは打ち立てでなくとも,乾燥させて長期保存に供することが可能です。冷蔵・冷凍の技術が存在しなかった時代,これは食材の劣化を防ぐ非常に有り難い特徴だったことでしょう。とはいえ麺類というのは本来かなりの水分を含んでいないと美味しくありませんから,それを茹でて打ち立ての状態に戻してから使用するのが一般的です。これは饂飩・蕎麦・中華麺・パスタを問わず麺類に共通する調理法と言えるでしょう。

 しかし今回「乾麺をそのまま料理する」という珍しい麺料理をパパイズム氏が紹介しているのに出会いました。しかもそれには「暗殺者のパスタ」という何とも珍妙な名がついています。本文に「1960年代に南イタリアで生まれた」とありますが果たして本当だろうかと調べてみたところ,Wikipediaにも「スパゲッティ・アッラッサッシーナ」"spaghetti all'assassina"(直訳すると「暗殺者の為のスパゲッティ」)という項目が日英伊などの言語で存在するので,これは間違い無いと言えるでしょう。因みにこのお料理及び名前の由来ですが,英語版Wikipediaによると1960年代の南イタリア・バーリ(サンタクロースのモデルになった聖人・ミラのニコラウスのお墓のある街です)のレストランで,同国北部からのお客さんの求めに応じて提供したのが始まりなのだとか。辛いお料理なのでレストランのシェフが冗談で「このお料理に殺されちゃいますよ(๑˃̵ᴗ˂̵)」とお客さんたちに話したのが名前の由来なのだそうです。ではこの調理法も名前も何とも珍妙なお料理は具体的にはどんなものなのか。見ていくことに致しました。

 まずトマトペーストを水で溶き,トマト出汁を作るのですね。これについては「無塩のトマトジュース(水を加えない)で代用可」とあるので,それに従いましょう。次いで大蒜の皮を剥いて硬い部分を切り取って粗く刻み,唐辛子は3~4等分。オリーブオイルを入れたフライパンにそれらとトマトピューレ・塩を入れて弱めの中火で熱します。この際「オイルとピューレを混ぜないのがポイント」と明記されているので,気を付けましょう。そしてスパゲッティをフライパンに入れます。この際短く折ってしまうのは問題ありませんが,事前に茹でたりはしないことに注意ですね。折らない場合はピューレやオイルを回し掛けしてスパゲッティを柔らかくしてフライパンに収めます。そしてスパゲッティが全部オイルに浸かったら火加減は変えぬまま3分ほど焼きます。この際スパゲッティはくっついてしまいますがそれは問題無く,裏返して更に3分焼きます。因みにこの間に大蒜が焦げそうならば一旦取り出しておいて良いということです。そしてトマト出汁を少し残して残りはフライパンに注いでスパゲッティを解しながら7~8分焼き,水分が少なくなったら残りのトマト出汁を注ぎます。麺から硬い芯が無くなったら器に盛りつけ,粉チーズと乾燥パセリを振って完成。

 そもそも茹でていない上に具も無い,本当に珍しいスパゲッティですね。日本では具の入っていない素饂飩というものも好まれますが,これもそれに類したものと言えるでしょうか。いつもとは一味違うことは請合いのこちらのスパゲッティ,具が無いので麺に拘って一度試してみたいものですね(^^♪



具なし、あえて焦がすワンパンパスタ「暗殺者のパスタ」元イタリアン料理人のめちゃくちゃ辛くて濃厚なレシピ