とっても楽しみです。是非お邪魔したいと思いました(ლ˘╰╯˘).。.:*♡

 ジャンルを問わぬ美術鑑賞を心掛けている僕にも,正直に申し上げると「展覧会があると聞いて食指を動かされる」ジャンルというものは存在します。というよりも,そういうものが存在するからこそ「それ以外のジャンルの作品も積極的に鑑賞して見識を広げ,鑑賞眼を養うことで楽しみを増やしていこう」と心掛けているというのが正直なところです。この心掛けは確かに僕を成長させてくれました。もともと美術に興味を持ち始めたばかりの頃の僕は,たとえば絵画といえば西洋画にばかり興味を惹かれていたものです。現在の僕は日本画を非常に愛好していますが,これは僕が「西洋画以外の絵画も積極的に鑑賞しよう」と心掛けて努めたことの賜物です。「美術鑑賞を通じて君はそれ以前よりも進歩成長したか」と問われれば,たとえ傲慢と思われようと「はい,たしかに進歩し成長しました」と胸を張って答えられるのは,かつては魅力を感じられなかった日本画について今は「素敵だな」「観ていて楽しいな」と感じられるようになったことを自覚しているからです。

 一方,工芸の分野において僕にとっての日本画に相当するのは,西洋工芸でしょう。昔からしばしば申し上げておりますが,僕にとっては笠間焼こそが少年時代に最初に触れた工芸品でした。その影響で美術に関心が無かった時代から陶芸にだけは少しばかりの興味を持っておりましたが,笠間焼は当然ながら日本のものですし,日本の陶芸に影響を与え多くの共通点を有しているのは主に中国や朝鮮の陶芸です。このため陶芸,少々幅を広げて工芸全般についても,僕は絵画とは逆に東アジアのものにばかり関心を持っておりました。今の僕はたとえばマイセン焼やセーヴル焼などの西洋の陶芸,更には西洋工芸全般にも深い興味を抱いておりますが,これもまた日本画と同様「興味の対象外の美術についても積極的に鑑賞しよう」という心掛けの賜物です。
 とはいえ,東アジアの陶芸にばかり興味を持っていた僕に「西洋工芸も良いものだ」と気付かせてくれ,あまり違和感を感じさせずにその美しさを実感させてくれた工芸品は確かに存在します。一つはオランダのデルフト焼,もう一つがこちらの記事になっているアール・ヌーヴォーのガラス工芸です。前者はまだヨーロッパに磁器の制作技術が無かった頃にオランダのデルフトにおいて陶器で伊万里などを写した陶芸で当然ながら日本の陶芸そっくりですし「ヨーロッパ人も日本人と同様,伊万里などの美しさを高く評価していたのだな」「ヨーロッパの工芸品も素敵だな」ということを感じさせてくれました。そして後者はというと,何とも優美でオシャレな装飾が心を惹きつけてくれるのと同時にどこか東洋的で,もともと東アジアの陶芸を好んでいた僕にとっては何となく親しみを感じさせられたものです。後で調べたらこちらのアール・ヌーヴォーもまたジャポニスムという形での日本の影響を受けているのですねφ(・_・")

 そんなアール・ヌーヴォーの優れたガラス工芸を鑑賞する機会がやって参りました。東京・渋谷の松濤美術館で,2024(令和6)年4月6日から6月9日まで「没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家」という展覧会が開催されるというニュースです。エミール・ガレはアール・ヌーヴォーのガラス工芸家にして陶芸家として高名な人物ですが,僕などは彼の作品の形状や模様に特に強く日本を感じさせられることが稀ではありません。先に述べたようにアール・ヌーヴォーはジャポニスムという形で日本の影響を受けているのでそれは不思議ではないのですが,今回この記事に触れてWikipediaで俄勉強したところ,そのアール・ヌーヴォーの美術家の中でもガレは特に強く日本の影響を受けているのでした。日本画家の高島北海(本名:得三)はプロの画家として活躍する以前には農商務省の技官として活躍していた人物ですが,フランスに官費留学したことがあり,そこでガレと親交を結んでいたのだそうです。高島が友情の証に贈った自作の水墨画から「ぼかし」の表現を学んだガレは早速それをガラス工芸に取り入れているのですね。こちらの記事でも写真が紹介されている花器「地質学」や「アザミ」などにも或いはそうした表現が使われているのではないでしょうか。何となく,そんな風に見えていしまいますね。

 松濤美術館は小規模な美術館ですが常に優れた展示を行っていて,僕などはお邪魔して失望したことは一度もありません。今回もまた,期待以上に素晴らしい美術体験をさせてくれるに違い無いと胸を躍らせて,年度明け早々に渋谷に足を運ぼうと思っております♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪



「エミール・ガレ展」渋谷区立松濤美術館で、“アール・ ヌーヴォーのガラス工芸”初期~晩年の作品を紹介