つけ麺に関心を持ち始めたばかりの僕としては,興味津々のレシピですね(⋈・◡・)

 つけ麺というのは,中華麺をつけ汁で頂くお料理です。日本には昔から蕎麦を同様の手法で頂く「もり蕎麦」というものがありますから「中華麺を盛り蕎麦のようにして頂く料理」と申し上げればどんなお料理かはすぐご理解頂けるでしょう。これが登場したのは意外に古く,1955(昭和30)年にだったと言われています。当時東京・中野にあった「大勝軒」で,もともと存在した賄い料理に改良を加えて商品化されたのだとか。もっともこれが全国に普及したのは1990年代後半のことと言われています。僕が当時学生計活を送っていた横浜で初めてつけ麺を出すお店に出会ったのもちょうどその頃ですから,このお話には違和感はありません。

 しかし,当時の僕にとって「つけ麺」との出会いは良好なものではありませんでした。あっという間につけ汁を使い果たしてしまったのに「おかわり」が用意されておらず,結局卓上の醤油を掛けて茹でた中華麺をムシャムシャ食べることになり「何なのだ,これは」という印象を抱いてしまったのです。「これならたっぷりのスープに麺の入ったラーメンのほうがずっとマシだ」と。因みに僕は蕎麦では「もり」・饂飩では「もり」「かけ」双方を好んでおりますが,そこからの類推で「中華麺は『かけ』すなわち通常のラーメンに限る」と。それ以来,僕は「つけ麺の名店」といわれるお店に行った際ですら、いつもラーメンを食べておりました。因みに日本蕎麦屋さんにほぼ必ず「もり蕎麦」「かけ蕎麦」が用意されているのと同様,つけ麺屋さんでもラーメンが用意されていないというお店はまず存在しません。そして同じお店のつけ麺とラーメンとではベースになるつけ汁・スープのお味も同じですから,つけ麺の美味しいお店であればラーメンも必ず美味であり,僕は今までそれで失敗をしたことは一度もありません。
 しかし最近になり,僕は久部緑郎氏原作・河合単氏作画の「ラーメン発見伝」「らーめん才遊記」「らーめん再遊記」というシリーズものの劇画を愛読するようになりました。これらは各々主人公を別に鵜する異なったシリーズものですが,その全てに芹沢達也という独創的な創作ラーメンを生み出し幾つものお店を運営する天才ラーメン職人が共通して登場します。彼は最初の「ラーメン発見伝」では男性主人公の乗り越えるべき巨大な壁として,次の「らーめん才遊記」では女性主人公を厳しく指導し遂に一人前のラーメン店主に育て上げる上司として,3つ目の「らーめん再遊記」(連載中)では加齢による自らの衰えを自覚し経営や店舗運営から退いてなお「万人にとっての形式」となるラーメンを追究し続ける年老いた求道者たる主人公として描かれる,複雑な癖のある人格を持ちつつも極めて魅力的な人物であり,僕もすっかり芹沢達也という人のファンになってしまいました。その芹沢が「つけ麺」について「少ない汁に冷たい麺を入れるので,すぐに温く不味くなる」という欠点を指摘しつつもその改善案を提示するなどその大きな可能性については認めていることもあって,僕も最近は「自分には合わないなどと決めて掛からず,食べてみよう」と考えを改めたところです。なお余談ながら申し上げると,芹沢が指摘した「つけ麺」の「欠点」とは現代よりも20年以上昔に見られたものであり,最近は「汁のおかわり・交換に積極的に応じる」「店で焼石を用意して客の求めに応じてつけ汁に投入する」などの方法で既に改善が行われています。

 実は僕は既に幾つかのお店で「つけ麺」を賞味し始め「決してラーメンに劣るものではないな」などと考えを改めつつあり,僕としては己の意外な柔軟さをとても嬉しく思っております。以前から申し上げているとおり僕は世界中の優れたお料理を頂いて「美味しい(ღˇ◡ˇ*)♡」と感じられるようになることを願っており,大勢に人気があることからも「きっと美味しいに違い無い」と考えるべき「つけ麺」についてもその良さが判ったというのは極めて好ましいことなのですから。
 とはいえ,コストの問題もあれば外食時につけ麺店が無い場合もあり,毎日そうそう「つけ麺」を頂くというわけには参りません。そもそも僕は上述のとおり「つけ麺」を滅多に食べずにこの歳になったこともあり,あまり「つけ麺」の美味しいお店を知らないのです。一体どうしたものかなぁ・・・と思っていたところ,今回こちらの北嶋佳奈氏による「ツナ缶とニラの辛みそつけ麺」のレシピに出会うことが出来ました。これならば家でも「つけ麺」を頻繁に頂くことが可能になり,その美味への理解を深めるのにも役立ちそうですね(*^^*)
 まずは韮を5㎜幅に切って耐熱ボウルに入れ,そこにノンオイルのツナ缶・味噌・醤油・鶏ガラスープ顆粒・下ろし大蒜・下ろし生姜・水を加えてザックリ混ぜ,隙間を空けてラップを掛けて電子レンジで4分ほど加熱します。その間に鍋でお湯を沸かして中華麺をパッケージにある規定の時間茹で,冷水に取ってしっかりと水気を切って皿に取っておきます。それが終わったら電子レンジで渇した汁を器に注ぎブラックペッパー・白磨り胡麻・辣油を加えて完成です。なお中華麺ですが生麺に拘る必要は全く無く,手元に乾麺を用意出来ればそちらを使うのも一案でしょう。ちょうどつい先日「らーめん再遊記」において,乾麺への不当な偏見と生麺への過度な拘りとが鋭く批判されていました。「乾麺は生麺に比べ流通においても簡便で低コストな上に食材の無駄も発生し辛く,ものによっては生麺にも無い独特の風味さえあるのに,不当にも生麺に比べて質の低いものと思われがちである」と。我々もそうした乾麺への不当な偏見への打破のために役立つ活動を行えたら,それは実に素晴らしいことなのではないでしょうか。

 実際に調理・喫食することは「つけ麺」に馴染んでいくのにも自分なりの好みを確立するのにも大いに有益なことに違いありません。無論,レシピが質の低いものでは困るわけですが,こちらの北嶋佳奈氏のレシピは非常に味も良さそうで,その点ではバッチリというべきでしょう。汁が冷めてしまったら再度レンジで温めれば良いのですから「温く不味くなる」問題への対応も容易です。
 気掛かりなのは「つけ麺はラーメンと違って具が無く汁を飲まないので,麺を多めに用意する必要がある」「つけ汁は掛け汁よりも味を濃くしないと美味しくない」という2点ですが,このあたりは具体的にどこまで必要なのか現時点はよく判らず,或いは北嶋氏の分量・味付けで最適かもしれません。まずは北嶋氏のレシピに忠実に,そして必要があれば創意工夫をしてみたい。僕はそう思っております♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪



レンジ4分、包丁いらずのつけ汁で「ツナ缶とニラの辛みそつけ麺」が食べられる超お手軽レシピ