寒い季節には,何よりのご馳走ですね(ღˇ◡ˇ*)♡

 僕の子供時代,地元の外国料理のお店といえばフレンチと中華料理店以外には殆ど存在しなかったというお話を以前にも致しましたね。そんな中でも街には韓国料理店とロシア料理店が1件ずつ存在し,そこで食事をすることが何やら食通の証明のようなステータスだったということも。当時は辛い料理を苦手としていた僕は韓国料理店には行きそびれてしまったものの,両親にせがんでロシア料理店に連れて行ってもらいそれまで知らなかった美味を堪能したのも,今では懐かしい思い出です。色々な美味しいものがありましたが「ロシアは寒い国だから」という理由で寒い季節にお店を訪ねたこともあり,温かいボルシチが特に美味しく感じられたこともよく覚えています。

 実はそのボルシチ,無論ロシアでも大変人気のあるお料理ですが,どうやら発祥を辿るとウクライナ料理のようですね。このことは僕がそのお店を訪ねた当時から漠然と知られてはいたようです。ボルシチについても「本場キエフのお味」などとキャッチコピーが付いておりましたから。しかし当時はロシアもウクライナも「ソビエト社会主義共和国連邦」すなわちソ連という同じ国家に属していたこともあり,日本に暮らす我々には両者が別の国であるという認識自体が殆どありませんでした。現在ウクライナはロシアからの侵略を受けて戦争が行われており,ウクライナの首都もロシア語名の「キエフ」ではなくウクライナ語で「キーウ」と呼ばれるようになりましたね。一日も早い戦争の終結と平和の回復とを願うと同時に「かつては同じ国だったのに。いや,かつて同じ国にされていたということで却って両国の関係性も拗れてしまったということなのだろうか」などと,国際政治には全く疎い僕も考え込んでしまいます。
 残念ながら僕は全く無学なので,そのような難しいお話についてはそれ以上のことは全く判りません。僕に判るのはボルシチというお料理が大変美味しいものであること,そしてウクライナの人々もロシアの人々も全く同じボルシチを口にしては冷えた体を温め「美味しいね(ღˇ◡ˇ*)♡」と笑顔になって来たのだということだけです。そして僕としては何が出来るでもないながら,そのボルシチを頂きながら「一日も早く両国の戦争が終結して,全ての人々が再び笑顔でボルシチを食べられる日がやって来ますように」と祈りたいということを思っています。

 そのボルシチ,決して難しいお料理ではないのだということも時に耳にします。それはそうでしょう。いくら美味しいお料理であってもあまりに調理が難しいようでは,ウクライナやロシアの人々も頻繁に口にすることは叶わないでしょうから。そして今回詳しいレシピを目にして「これならば行けそうだ」と確信を持つことが出来ました。早速,詳しく読んで行こうと思います。
 まずは下拵えです。ジャガイモと人参とは皮を剥いて食べ易い大きさに,キャベツと玉葱は3㎝四方に切り,大蒜も潰しておき,缶詰のビーツもあまり大きい場合には食べ易い大きさに切っておきます。それが終わったら鍋にバターとオリーブ油を入れて中火で熱し牛切り落とし肉を炒め,肉の色が変わったら大蒜・ジャガイモ・人参・キャベツ・玉葱を加えて全体に油が馴染むまで更に炒めます。それが終わったら鍋に水・ホールトマト・ビーツ・ビーツの缶汁・固形スープの素・ローリエ・塩を加え,煮立ったら蓋をして弱火で30分煮てから塩と黒胡椒とで味を調え,お皿に取り分けパセリを散らして完成です。なお,こちらのレシピでは「サワークリームを載せる」とありますしそれでも問題はありませんが,この点は「最初はサワークリーム無しで頂き,途中からサワークリームを入れる」と「味変」を楽しめるし現地にもそういう食べ方をする方もいらっしゃると聞いているので,僕としては「サワークリームを別に用意しておく」という方法をお薦めしたいところです。

 寒い季節にはピッタリの,暖かいシチュー料理。我々もこれを美味しく頂きながら「ウクライナとロシアに,一日も早い平和が訪れますように」と真摯な祈りを捧げたい。そんなことを僕は願っております。



ボルシチ