これは大変に有り難い,有益な情報ですね٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶ °

 昔々,僕が大学生だった頃のお話です。昔ながらの牛鍋を食べさせてくれる,横浜の「太田なわのれん」というお店に母と参りました。今でもなかなか通えないような高級なお店ですが,アルバイト代を貯めて母をもてなすことが出来たのは,僕にとって最高の思い出の一つです(◍•ᴗ•◍)

 その「太田なわのれん」の牛鍋は,ぶつ切りの牛肉を豆腐・葱・春菊・椎茸とともに煮るというより焼きながら八丁味噌を絡めていくというお料理です。生卵を絡めながら頂くという点はすき焼きと同じです。それだけ聞くと簡単なようですが,このお店を取り上げた丸谷才一氏の著書「食通知ったかぶり」によると牛肉を柔らかくするために徹底的に筋を切るのだそうで,実際には美味しく作るのはなかなか面倒なようです。実は何を隠そう,僕が実家から決して近くない横浜にまで母を招いたのも「柔らかいぶつ切り牛肉を八丁味噌味で食べる」という話の面白さに興味を惹かれ「母にも食べてもらいたい。勿論,僕も食べたい」と思ったからですが,母が時々やっていた「気に入ったお料理を家庭で再現する」という習慣にも少し期待していたことも事実です。「もし美味しければ,家でも再現してもらおう」と。
 しかし,それは実現しませんでした。母は僕のもてなしに大変喜んでくれましたし,お味についても大満足してくれましたが「ぶつ切り肉をこれほど柔らかくするのは難しい」「八丁味噌のタレなのは判ったが,一体どのような隠し味を付けているのかよく判らない」と言われ,その期待は実現しませんでした。肉の筋切りについては僕が手伝うことで解決出来ない話でもないでしょうが,同じようなタレを作れないのでは再現は出来ません。何度か頂けば母も隠し味の秘密が判ったかもしれませんが,家から遠い高級店に何度も通うというのは現実的な話とは言えませんね。「牛鍋は何かの機会にお店で頂いて,家ではすき焼きを作れば良い話ではないか」と母に言われ,結局そのままになってしまいました。そしてその後,母を再度「太田なわのれん」でもてなす機会を遂に持てなかったことも,僕の心残りです。

 昨年「同量の八丁味噌・酒粕・甘酒を鍋に入れ,弱火で照りを出せば『太田なわのれん』と同じ味の味噌ダレを作れる」という記事を読み,大変良い情報を手に入れたと大喜びでこちらでも紹介させて頂きました(※)。肉の形については別途考慮するにせよ,タレを作れればまず問題の一つは解決です。
 そして今回「アメリカンビーフ&アメリカンポーク公式サイト(米国食肉輸出連合会)」による「牛鍋風すき焼き」の記事に出会いました。ステーキ肉を短冊に切って使うことで牛鍋を作ることが出来てしまうのですね!(。・о・。)! でも考えてみれば長時間煮るのではなく「味噌ダレを絡めながら焼く」のですから,焼いて食べるための肉を使っても良いというのは道理に叶っています。ステーキ肉にも筋が無いわけではありませんが,薄いステーキ肉の筋切りならばぶつ切り肉の筋切りよりはずっと簡単です。短冊に切る際に筋を切ることも可能でしょう。お肉以外の具は長葱・椎茸・しらたき・焼き豆腐・春菊と,一般的なすき焼きと同じですね。お肉を焼く時間が2~3分で絡める時間も同じくらいということですから,そんなに時間は掛からないようです。
 加えて,こちらの記事ではタレの作り方も記載されています。「八丁味噌80g・酒1/3カップ・水1/4カップ・砂糖大匙2をよく混ぜて溶かす」という記載を見ると,かなり簡便ですね。先に挙げたタレを作るには酒粕と甘酒が必要ですが,僕は日頃酒粕や甘酒を頂くことはあまりありません。無論,あれば無駄には致しませんが,もし酒と砂糖で美味しいタレを作れるならばそのほうが助かります。無論,こちらは何だか「太田なわのれん」とは違うような気もするのですが,違うなら違うで美味しければそれも歓迎です。一度は両方を試して,どちらが良いかを確かめてみたいところですね。
 因みにこちらのレシピではサラダ油を使っていますが,ここは牛脂を使いたいところです。普通,すき焼きといえば牛脂を使うものですし,記憶が曖昧ですが「太田なわのれん」でもそうだったと思います。仲居さんの作って下さる牛鍋を見ながら「この点,すき焼きとは違うな」と感じた事柄は幾つかありますが,もし牛脂以外の油を鍋に敷いていたら当然僕の記憶にも残っている筈です。何故牛脂ではなくサラダ油など使っているかといえば,これが「米国食肉輸出連合会」のサイトだからに違いありません。お肉屋さんに行けば牛脂は簡単に手に入りますが,置かれているのは通常は和牛の脂です。「アメリカ産の牛脂を使いなさい」と言われても入手困難ですし,かと言って米国食肉輸出連合会が「和牛の脂を使いなさい」とは口が裂けても言えないでしょう。

 コロナ禍が続いて,お鍋料理を頂くことが非常に難しくなりました。そもそも人と会う機会が少ない上に,仮に会っても安全を考えて別々のお膳を頂くようになってしまったからです。「万一のことを考えてお鍋はまたの機会にしよう」という言葉を,僕自身しばしば耳にしています。しかし,なればこそ「コロナ禍が収まったらお鍋を食べたい」という思いが募る一方です。その際にはこちらの記事を参考に,牛鍋を頂きたいものだ。僕はそんなことを強く思っています♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪



牛鍋風すき焼き
https://www.americanmeat.jp/csm/recipe/beef_pot/003.html


※前回取り上げた牛鍋のお話は,こちらになります。是非併せてお読みください(✿◡‿◡)