天皇皇后両陛下は能登半島地震の被災者を見舞うため、4月12日午前、羽田からANAの特別機で能登空港へ出発されましたが、特別機にエンジントラブルが発生し、貴賓専用スポットに一旦戻られました。両陛下は予備機に乗り換えられ、およそ1時間後に再度出発し能登空港に到着され、予定されていた穴水町と能登町のご訪問を終えられました。前回3月22日のご訪問の際はANAのボーイング737-800が特別機として使用されましたが、今回はANAのエアバスA320neoが特別機、予備機として用意されていました。AviationWireの報道によりますと、特別機が登録記号JA215A、予備機がJA220Aということです。写真はトラブルを起こしたシップJA215Aで、2020年12月、羽田のRWY34Lにアプローチするところを、川崎市の浮島町公園から撮影しました。

 

 

ANAのエアバスA320neo 登録記号JA215Aが羽田空港のA滑走路RWY34Lに接近しています。第1ターミナルビルや管制塔がバックに写っています。浮島町公園ならではの写真だと思います。

 

 

こちらはA320neoの予備機、登録記号JA220Aの写真です。2021年4月1日、羽田空港第2ターミナルビルの展望デッキから撮影しました。トーイングカーでプッシュバックされたタイミングのカットです。天皇皇后両陛下は4月12日、このシップで羽田空港と能登空港を往復されたようですね。

 

 

こちらは2021年4月2日、羽田空港第2ターミナル展望デッキから撮影したJA220Aです。後部胴体のレジ(登録記号)は主翼のウイングレットに隠れていますが、ノーズギアの蓋に220の文字が書かれています。天皇皇后両陛下は昨年10月に国民文化祭のため特別機で羽田から小松に向かわれた際、JALのボーイング737-800に機材トラブルが発生し、貴賓スポットに戻り予備機に乗り換え、約1時間30分遅れで羽田を出発されました。この時はフラップのセンサーに不具合が発生したのですが、両陛下は2年続けて2度グランドターンバック(スポット出発後、地上でトラブルが発生しスポットに戻る事)に遭遇されました。これは極めて珍しいことだと思います。

私事で恐縮ですが、ここ30年ほど年間平均20レグは飛ぶフライト経験で、私は1度しかグランドターンバックを経験していません。約20年前、福岡からJASのMD81で宮崎に出発した便がRWY16に入りましたが加速せずに途中で滑走路から離脱しました。スポットに戻り整備を始めましたが、しばらくして乗客は降機し、結局次の便に使用される機材に乗って宮崎へ出発しました。

欠航、ゴーアラウンド、ダイバートなどを合わせると10回を超えるイレギュラーを経験している私ですが、グランドターンバックは1回、エアターンバックは未経験です。天皇皇后両陛下の特別機を運航するANA・JALとも威信をかけて万全な整備をしているはずですが、それでも予期せぬトラブルは発生するのですね。天皇陛下のフライトでは政府専用機を含め、常に予備機がスタンバイしています。予定されていたスケジュールに支障がなかったことに、関係者は冷や汗をかきながらも安堵されたのではないでしょうか?