私たちsakaguraは絵本専門士2人のユニットです。働く大人にも絵本を届けたいと願い、活動しています。はじめましての方は、こちらをご覧ください音譜

 

本屋さんでふと手に取った本で、最近気になっていたこちらのお菓子屋さんのパッケージを渡邉良重さんが手がけていらっしゃると知りました。

 

そんなことで、渡邉さんの絵本を紹介することにして、渡邉さんの絵本をみていたら、真珠をテーマにした素敵な一冊がありました。

 

「びわ湖真珠」に着想をえて作られた絵本とのことです。

 

「しんじゅのこ」

絵 渡邉良重

ことば 福永信

リトルモア 2019年

 

 

 

水中で育まれる宝石、真珠。

 

神秘的で柔らかな美しさに、惹かれます。

 

表紙の「しんじゅのこ」という文字は真珠で形取られ、そこに赤い紐が通されていて、渡邉さんらしいしゃれたデザインが素敵です!

 

本の中では、女の子が

 

「わたしがみてるの なに?」「答えは真珠」

「わたしがにぎってるの なに?」「答えは真珠」

「・・・なに?」「答えは真珠」

 

と「答えは真珠」の問いを繰り返します。

 

寄せては返す波のように、同じパターンで繰り返す問いと答え。

 

その繰り返しを描く渡邉良重さんの絵の中の真珠は、シンプルなのに、柔らかな光、可愛らしい丸さ、とろりとした質感などが伝わってきます。

 

単純な問いと答えの繰り返しは、本の終盤部分で破られ、キラキラと光るような美しい湖面に場面転換し、のびやかな光景が広がります。

 

男性が登場して、最後の問いは

 

「わたしたちがみつめているの なに?」

 

その答えの解釈はいろいろありそうです。

 

絵を見ながら考えてみてくださいね。

 

渡邉良重さんは1961年山口県生まれ。

 

グラフィックデザインのほか、プロダクトやファッションのデザインを手がけられています。

 

「ブローチ」「アンドゥ」などの絵本作品があります。

(「アンドゥ」はこちらの記事でご紹介しています。ご覧になってみてくださいね)

 

福永信さんは1972年東京都生まれの小説家です。