この2022年に、よくもこんな『太っている=醜く邪悪な生き物』みたいなメッセージを前面に押し出した話を世に出せるものです……呆れた。

そもそも、漫画家が太った人間を描くことができていないので、主人公はずっと”おたふく風邪をひいている人”状態笑い泣き
そして、普段はお目めパッチリなのに、なぜか主人公が特定の場面で笑顔を浮かべると『顔に肉がつきすぎて上手く笑えない』という、謎の注釈が入り、太った女性を…それも少女を…心底バカにしたコメディチックな描写で顔をゆがませるという、太っている=とてつもなく醜い、という間違った価値観を当たり前のものとして、しかも笑い者にしていい、という解釈で描いている……。

この令和の時代に、これを面白い、デブがデブであることを笑い者にされる、笑い者にしていい、という価値観が”面白い”と感じる人が、どれほどいるのでしょうか?

確かに、こういう”悪役令嬢系漫画”の女性主人公は、バカの一つ覚えのように皆、男性の容姿端麗さに心を動かされる描写(何の脈絡もなく「う、イケメンすぎる…!」「それにしても、本当にイケメンだな~」「あんまり、そのキレイな顔でこっちを見ないで~!」とか頬を赤くして言い出す)があります。
ほんと、99%の作品に必ずと言っていいほどあるので、しかも、物語上なぁんの意味もない容姿賛美なので、基本、この手の作品は”物語など存在せず、ただ誰それの容姿がどうのこうの言いながら、健気だけが取り柄の頭の鈍い主人公が百面相しているうちに問題が解決する”程度のものであることは承知しています。

とはいえ、もう2022年です……創作物として出すには相応しくない、もうカビの生えた価値観というものがあります。

そして、この手の作品は、100%主人公がダイエットして細くなって美少女になった途端、周りの態度が一変し、そして、主人公は痩せた途端、周りの男性からの好意に不自然なほどに鈍くなる……『え、何で顔が赤くなってるの?』とか『急にどうしたんだろう?私また何かやっちゃったのかな…?』とか『な、何よ…前は普通に〇〇していたのに……変なの☆』という具合に。

これは、魅力的な女性=自分の美しさに気づいていない、無垢で純真な処女性を持つ女性、という、これもまたカビの生えた価値観ですよね。
面白いのが、この”男性が望んでいる女性像”を、なぜか女性向け作品で描きまくっている、というところです。
悪役令嬢系は、ほぼ全てがこれです。(ほぼ全て、というだけで、本当に全ての悪役令嬢系作品にルッキズムや処女性賛美の描写があるわけではありません)

何で、こうなってしまっているのか……もちろん、面白い悪役令嬢系作品もたくさんあるのですが、流行だからといって、悪役令嬢系作品が全て”ちゃんと漫画になっている”かと言われれば……そうとは言えないのが現実でしたね。