武者武者武者
詩の月刊誌「現代詩手帖」3月号に小池昌代さんの「武者武者」という詩が出ている。「わたしはかつて、七歳の子どもだったことがある/母が料理する姿を 後ろから見ていた」と始まる。やがて、老いた母が娘(わたし)の後ろ姿を見、そしてわたしが娘の後ろ姿を見る。引用するのは詩の終盤、もう誰も後ろ姿を見なくなった場面だ。
ふるう腕がなくなっても
厨房では依然
誰かのふる塩の音がする
塩はこぼれ れれ 皿の外ばかりにこぼれ
山となれば 骨に見えるが
武者武者武者
誰が食べているのか
夕日が厨房の奥まで届く
「れれ」「武者武者武者」がオノマトペだが、骨に見える塩が古戦場を連想させるのだ。で、武者たちが蘇り、夕日の中で食べている。現代の詩人のこれは迫力に富むオノマトペだ。