知り合いの子の話。




その子は両親とも大柄の体型で、

その子も遺伝そのまま体格に恵まれ、

特にスポーツをしてこなかったけど、

中学卒業時に相撲部屋から声がかかった。


でも、本人は気持ち的には

競争心や負けん気などが乏しい人でした。


学校の先生達は入門を勧めたけど

親は本人のそういう性格を知った上で

特に背中を押すような事はしなかったそう。


本人も元々、相撲をしていた訳でもないし、

自ら進路を決断するには迷った。


そして結局、中の下くらいの普通高校へ進学。

その後も特にスポーツをやる事もなく高校卒業。


したまでは良かったのだけど…






体型は相変わらず大きいまま、

何なら中卒時より縦横もっと増。


そういう体型だと仕事も限られたそうで、

その上、気持ちも元々、

優しい(というか気が弱い)人だったので

仕事の厳しさに職を転々とした。


そうこうしているウチに、

一家の大黒柱だったお父様が亡くなってしまい、

まだ、下の兄弟もいたし

お母様が仕事に出なくてはならなくなった。






ここまで聞いて、

あの時、相撲部屋へ行ってたら

また違った道があったんじゃないかな、

と思ってしまいました。


『本人の意思を尊重』なんて聞こえはいいけど、

その人の事を考えた時に、

それが本当にその人のためになるのか?


特に経験が浅い子供にとって、

社会に出るに当たって、

やりたい事でもないのに

自ら厳しい道に進もうなんて人はいない。




そもそも

仕事というのは、基本的にお金、生活のため、

にするものであって、

好き嫌いで選ぶものではない。


運良く、ソレが叶った人でも、

それだけで生活出来るほど稼げる人は

ほんの一握り。


例え叶ったとしても『好きが仕事』になると、

また違った苦悩が出てくる。




向き、不向きで選ぶモノでもないけれど、

それでも、好き嫌いで選ぶくらいなら、

体格や声など、

自分に与えられたモノを生かす方向で

考えた方が余程マシだ。




相撲取りになりたくてやってる人には
相撲部屋入門なんて夢を叶える一歩だけれど
そうではない人にとっては、
相撲部屋に入る=就職、仕事、生活のため
と割り切って入ってしまうのも
長く人生を考えた時に
一つの手段だったのではないかと思う。




子供を育てるにあたり、

本人の意思を尊重するのは大切だと思うけれど、

それは子供に、

必要な情報を与えて、未来予測をさせてから

の話だと思う。





この話で言うなら、

相撲部屋へ入門した場合としなかった場合の

考えられるあらゆるメリット、デメリットを話す。


子供一人で考えるより、

ある程度、人生経験を積んできた大人が考え得る

メリット、デメリットは子供が考えるソレより

はるかに大きい。


入門したら厳しい社会だけど、

・家族の生活は少し楽になるだろう。

・もしかして出世した場合は稼げるし、

 家族、親族も喜ぶ。


入門しなかった場合

・大きな身長は縮める事は出来ないし、

お勉強も出来る方でもない。

そうなると、出来る仕事は制限があるだろう。

・そうなった場合、生活していくのは

厳しいかもしれない。




彼には、そういう周囲の助言があったのだろうか?

そういう助言の元に、

子供の意思を尊重、進路選択させるのでは

ひょっとしたら人生が違っていたのでは?と思う。





社会に出て働くというのは、どのみち厳しい。


一見、相撲部屋という厳しい道から逃げられた

ように見えるけど、結局は別の厳しい人生の

道になってしまったように思う。


人生は、厳しさから逃げようとしても

その人の成長に必要なら

どうやっても試練が起こるようになっているのだ。



同じ厳しい道、試練なら、

自分に与えられた、

特に、努力ではどうしようもないような体型など

それから逃げる道より、

それを生かす道を選んだ方が

良い方向に行きやすいのかもしれない。


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