(※)で書かれたところは後年の後書き
闘病記(プロローグ)
ーFly In The Creamy Sky(クリーム色の空を飛ぶ)ー
病に疲れ、死を渇望した夜。
友を想い、一枚の絵を描いた。
その翌日、病床から、ほとんど白に近い夕空を見上げていると、ある考えが心の中にすっと降り立った。
This is my life.
(これが、我が人生)
(※英語を勉強するようになってから、何故だかちょっとくさい事は英語で頭に浮かぶようになった。脳の照れ隠しなのかもしれない。)
それは、すでに受け入れていた、長年の病によって錆び付いた自分の人生を、穏やかに受け入れ直した瞬間だった。
ふと気が付くと、一筋の飛行機雲が、斜め上方向にぐんぐんと伸びていた。
その先端にある一機の飛行機の中には、様々な人生が詰まっている。
そしてここには、それを見上げ、病に横たわる自分がいる。
僕は再び思う。
「これが俺の人生だ。」
さっきまでの白かった空が、今度は黄色ともクリーム色とも言えない、なんだか夢の中にいるかのような色に染まっている。
美しい時間だった。
僕は呟いた。
「キレイだ。」
本当の幸せというのは、自分の人生を受け入れた時に初めて得られるものなんじゃないか、と思った。
そうこうしているうちに、気付けば空は優しい赤へと変わっていて、「ああ、白い空は夕焼けの前兆なのか」と納得したかと思えば、次に見た時には何事も無かったかの様な青に戻っていて、さっきまでの感動も無かったかの様になっていて、そうしてまた、いつものように病に苦しむのだった。
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この話から数年後に撮った空
空はいつだって人生をまとってる
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