〜3匹の猫〜
僕は3匹の困った猫を飼っています。
1匹目は「嫉妬」です。
コイツは僕以外の誰かが僕より幸せに見えると、何とも嫌な顔をしてそこにいます。
そういう時に僕はソイツの耳元で、「その人が幸せで良かったね」と囁きます。
そうするとソイツは急に嬉しそうな顔になって、お尻を振りながらチョコチョコと去っていきます。
2匹目は「高慢」です。
コイツは僕が誰かの上に立ちそうになると、すぐに嬉々として現れます。
そういう時に僕は、「僕には僕を造った父親がいるんだよ」と教えてあげます。
そうするとソイツはハッとした顔をして、尻尾を垂らしてノコノコと去って行きます。
けれど、それでも離れない時があります。
そんな時に僕は、「ばかだなぁ、おまえ」と言いながら、ソイツの頭を撫でてあげます。
そうすると僕は、何だかソイツの事が、意地汚くて、愛おしく見えてきます。
3匹目は「孤独」です。
コイツは、ふと気付くと僕の隣にいます。
そういう時に僕は、黙ってソイツに寄り添います。
しばらくすると、誰かが僕の肩をポンと叩きました。
そこにはもう、ソイツの姿はありませんでした。