民主党・神奈川県議会議員 さいとう健夫

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 17日の厚労省の発表によれば、20年度の医療費(概算医療費)は前年比1.9%増の34兆1千億円と過去最高を記録した。増加は6年連続となる。昨年度から始まった75歳以上対象の後期高齢者医療制度分の医療費は11兆4千億円と、全体の三分の一を占めている。70歳以上で見ると14兆8千億円で、これは医療費全体のおよそ4割を占める。一人当たり年間医療費は全体で26万7千円、70歳以上で75万7千円、75歳以上では86万3千円となっている。
 調剤医療費は5.4兆円、前年度比5.3%増と高い伸びを見せた。概算医療費に占める割合は概ね16%程度である。処方せん1枚当たり7.561円、前年度比3.3%増加しており、内訳を見ると薬剤料が5.565円と73.6%を占めて最も多い。
 今後も高齢化の進展で、当然医療費は増加していくであろう。無理な医療費削減の方針は、医療の質の低下を招きかねない。しかし問題は、現在の日本のトータルな医療の質がこれだけの医療費を国民が負担するに足るレベルなのかどうかということである。全国的にたらい回しが問題になっている「救急医療」、国民の2人に1人が罹患すると言われている「がん対策」など医療の提供体制の整備、更に全国的な医師不足など、あまりにも多くの課題が山積している。一人ひとりの医師がどれほど堅実に診療を積み重ねても、後手後手の医療政策の結果、医療費ばかりが増大し、国民一人ひとりが安心して医療を受けることが出来ない状態に陥っている。抜本的な医療制度改革が必要である。

 今月12日、WHO(世界保健機関)は、新型インフルエンザの警戒水準を「パンデミック」すなわち「世界的大流行」を意味するフェーズ6に引き上げた。本県では、520日に最初の感染者が確認されて以来、感染者はすでに40人近くに達しており、この間、国や保健所政令市等と連携しながら対策が図られてきたが、これまでの対応を通じ、様々な課題が明らかになってきている。

 まず大きな課題であるのが、国と地方の役割分担についてである。新型インフルエンザの感染拡大は、正に全世界的、国家的な危機管理事象である。5月に開催された全国知事会でも松沢知事から厚生労働大臣に対し、予防投与に用いた抗インフルエンザ薬の費用負担について明確な指針を示すよう、直接要請がなされたところである。この件は、国が全て補填することで決着を見たが、発熱相談センターや発熱外来の設置等、円滑な医療を提供するための体制整備に要する費用負担については、いまだ国から明確な方針が示されていない。国は、地方との役割分担を明確に示す必要がある。

 次に、新型インフルエンザの特性に応じた対処方法についてである。国の「新型インフルエンザ対策行動計画」は、強毒性の鳥インフルエンザを想定したものであるが、今回発生した新型インフルエンザは弱毒性のもので、多くの患者が重症化することなく回復している。今後、国民生活、経済活動への影響を最小限に抑えるという観点から、新型インフルエンザの特性に応じた国と地方の行動計画の見直しが急務である。

 更に、国内での感染発生時の的確な情報の伝達と共有も大きな課題として残った。今回、国内で初めて感染が疑われる症例が発生した際に、国が地方自治体との間で十分な調整を行わぬまま情報を公表した結果、その後の対応に大きな混乱が生じることになった。本県は、県内で最初の感染者が発生した際に、速やかに「危機管理対策本部」を設け、事態の把握と対応を始めたところであるが、今後国と地方自治体との間に、迅速かつ的確な情報の伝達や共有が出来る仕組みを整えておく必要がある。

 県としては、こうした一連の課題を解決すべく、国に対し強く要請する必要があるし、発熱外来の増設や入院病床の確保に努めるなど、保健所政令市を始めとして各関係市町村、医療機関と、より緊密な連携を図ることができるような体制整備を急ぐ必要がある。本格的なインフルエンザ流行シーズンまで、残された時間は少ない。