その日私は、いつもの通り仕事前に子供をベイビーシッターさんのお宅に預けるべく、彼女の家に行きました。
普通に子供とバイバイして、車に乗り込んで発進させようとしたとき、
突然シッターさんが 半泣きになりながら玄関から飛び出してきました。
彼女の手にはワイヤレスの電話が握られています。
シッターさん 「 まって!まって! 斉藤さん!」
斉藤 「 !!?? え?? え、どうしたんですか?」
シッターさんが差し出す電話に出てみると、
それは警察からの物でした。
前にも書きましたが、 私のベイビーシッターさんはメキシコ人
で、
多くのメキシコ人がそうであるように、
彼女は在米が長いにもかかわらずまったくと言っていい程 英語が話せません。
彼女が電話でわかったのは、 ポリス と シーザー だけ。
警察からの電話で、自分の子供の名前を言っている、というのは、母親なら誰でも仰天すると思います。
斉藤 「もしもし、シーザーに何かあったんでしょうか??」
警察の方 「保護者の方ですか? そうでないなら 何も話せないので、保護者の方を連れて
〇〇スーパーまで来てください。場所はわかりますね?」
斉藤 「はい。。。ここから3分もかからないので、すぐいきます。
あの、 シーザーは大丈夫なんでしょうか???」
警察の電話というのはどこでもそうだと思うのですが、 とても事務的ですよね。。
このときはもう切られていました。。
半泣きで震えているシッターさんを車に乗せると、私はそのスーパーへ向かいました。
スーパーに着くと、指定された事務室へまっすぐ向かいました。
その事務室で見た光景は、 多分 一生忘れられないと思います。
私の甥っ子のような、可愛い男の子のシーザーは
手錠でつながれて奥のパイプの椅子に座らされていました。
それを見たシッターさんは 「ヒッ」とも 「ギャッ」ともつかない声を出して、
事務所の外に出ると ぺたりと座り込んで泣き出してしまいました。
このブラグを読んでくださっている方で、何人の方がお子さんをお持ちかわからないですが、
お子さんを持った方なら、
自分の産み育てた子供が手錠でつながれているということがどれだけショッキングな物か
お解かりいただけますよね。。。
お子さんがいない方は、お父さんかお母さんで想像してみてください。これは本当にショックなものですよ。。。
私にとってすら、甥っ子のような子であるシーザーが手錠でつながれているのを見たときは、目眩がしたのを覚えています。
シッターさんにとって、今まで何の問題も起こさずに、
誰にでも好かれる自慢の息子のシーザーが警察に捕まるなんて、ありえないことだったんです。
警察の方 「。。。貴方は彼のご家族ではないですね?」
そりゃそうです、 メキシコ人のシーザーと アジア人の私
は似ても似付きません。
斉藤 「彼のお母さんは私の子供達のベイビーシッターで、
もう何年も家族ぐるみの付き合いをしています。
彼のお母さんは英語がまったく駄目なので、私が通訳する事もたまにあるので。。。」
ちなみに私は、多くのヒスパニック系の友達が居ることと、
スペイン語しか話せないお客さんも多い事が重なって、
スペイン語が片言の域を超えない程度にですが話せます。
特にシッターさんとは付き合いも長いので、
私のなんちゃってなスペイン語でも 彼女はかなりわかってくれます。
彼女は私の 子供達の世話を本当に親身にしてくださっているので、
お返しというわけではないのですが、彼女が英語の通訳が必要な時は、
いつも出来るだけの事をしてきました。
警察の方 「彼の容疑は、万引きと、 警察に嘘をついたことの二つです。」
万引き、、、は、 やっぱりそうか。。。。
という感じでした。
10代の子供の事で警察からスーパーへ呼び出されれば、それはそういうことだろうな。。と誰でも思いますよね。。
でも、この二つめの、 警察に嘘を付く、というのは、アメリカでは 重要な犯罪の一つになるんです。
日本とアメリカの大きな違いの一つだと思うのですが、
日本で警察に向かって、「死ね!」だの「馬鹿」だの言っても、それで牢屋に入れられる事はないですよね。
こっちでは、 一発で入れられます。
中指を立てただけでも充分に牢屋行きです。
警察はアメリカでは、日本と比べ物にならないほど権力があって、
こっちではどんな人でも警察の前では大人しく正しい口の聞き方をするのが普通です。
警察に嘘を付くというのは、こっちでは 軽くみなされる事はけしてない重要犯罪のひとつなんです。。
だからこそ、13歳と言うまだ若い年で、彼の手には手錠がかけられたのでしょう。。
警察の方 「彼は 万引きの常習犯で、今日やっと証拠になるテープを取る事が出来たんですが、
彼に彼の名前と保護者の電話番号を紙に書かせたとき、
彼は三回、嘘の名前と電話番号をかいたんですよ。」
そういって、警察の方はシーザーが書いた紙を私に見せました。
それはタダの紙ではなく、公式の警察の書類でした。
警察の方 「この紙は言うまでも無いですが、 法廷で証拠として使われます。」
私がシーザーの方を見ると、
彼は小さな声で、
「斉藤さん、僕 怖かったんだよ。。」
と言だけいました。
小さな私のシーザーと、
その手にかけられている手錠があまりに似つかわしくなくって、