前回からの続きです。
前回は、『豊島(としま)』という
地名について、書きました。

古代の行政区画における
・「武蔵国(むさしのくに)」
・「摂津国(せっつのくに)」
には、ともに「豊島」郡が存在し
後者の摂津国では
『手島(てしま)』という
表記も用いられていました。

ところで『手(て)』といえば、
ここ最近、荒川区の神社について
ずっと書いてきたのですが…

昭和11年出版の『荒川区史』によると
南千住の『石濱神社(いしはまじんじゃ)』
の境内には、天の岩戸神話で活躍する
『天手力男神(あめのたぢからおのかみ)』
の石像があったことが、わかります。

『天手力男神』といえば
スサノオの横暴に怒り
太陽神 アマテラスが、岩戸に隠れ
世界が闇に包まれる中
岩戸を開き、アマテラスを外に引き出し
世界に光を取り戻す、きっかけをつくる
剛腕の神として、知られています。

彼の「剛腕」という神格と
名前にある「手」の文字…
じっさい、この組み合わせに
違和感はありませんが
個人的には、「剛腕」よりも
「手」の文字の方が
とても気になりました。

神名は、一見単純な字の中にも
その神がもつ本質や出自が秘められて
いることが、よくあり
タヂカラヲ神を調べていくうちに
彼の神名の『手』には、それこそ
『手』以上の意味があるのではないか?
そんな思いが、うかんできました。

…なんだか、謎めいてきましたが
現実に、天手力男神には
記紀以外の、古い系譜との関係を
示す資料も残されています。
現在、石濱神社境内に
天手力男像は見当たりませんが
境内にかつて存在した
石像の存在を手がかりに
この謎めいた神の正体を
探ってみたいと思います。



