前回、『ミ』・『ミミ』

ついて、少し書きました。



(前回の記事はこちらです)



今は、『鉄』『女性』

テーマに書いているので、微妙に

本筋からははずれるのですが

それはそれ、これはこれ?





先日、品川区の鮫洲(さめず)まで

出かける用事があったので、出かけついでに


『ミ』・『ミミ』つながりで

品川区からほど近い、港区(ミタ)にある

田八幡神社たはちまんじんじゃ)

に参拝してきました。






周辺を少し散策したので

そのことを少し、書きたいと思います。







『御田八幡神社(みたはちまんじんじゃ)

 (東京都港区三田3-7-16)

 祭神 誉田別尊命(ほんだわけのみこと)

    天児屋根命(あめのこやねのみこと)

    武内宿禰命(たけのうちすくねのみこと)




鳥居横に『水』が湧いていました。


段丘上の縁(ふち)に位置しています。
崖の切れ目から、水が吹き出している
のだと思います。

 (「国土地理院ホームページ」より)




前回、書きましたが…

(詳しくは前回の記事をお読み下さい)


古代史には、ときおり

『ミ』・『ミミ』が名前につく

人や神が、ときおり登場します。


『ミ』・『ミミ』は、漢字でいうと

「御(ミ)」・「三(ミ)」・「耳(ミミ)と書きます。





漢字は、中国から伝わりましたが

これらの文字は、中国語(音読み)では

 

・御…「ギョ」・「ゴ」

・三…「サン」

・耳…「ジ」

と読みます。



つまり、昔の日本に住んでいた

人びとは、これら輸入した漢字

御(ギョ・ゴ)三…(サン)耳…(ジ)と読むものに


『ミ』・『ミミ』という

 読みを当てて、使用した


ということになります。





ややこしいのですが…

どういうことかというと

漢字(「御」「三」「耳」)が伝わる以前から



日本には、すでに『ミ』・『ミミ』という

「言葉(音)」が存在した、ということですね。



では、その『ミ』・『ミミ』という

言葉(音)は、古代日本で、何を意味して

いたのか?ということになるのですが…





前回、『ミミ』は、『ミ』を重ねたもので

『ミ』とは、はるか昔『水』を意味して

いたのではないかと、書きました。



一方で、「ミ」には、数字の『三』の意味があり

この数字の『三』は、「ミ」を理解する上で

重要なキーワードになるとも考えています。



奈良県桜井市にある日本最古の社と

いわれる『大神神社(おおわじんじゃ)には

(み)つ鳥居」という、鳥居を横一列に

組み合わせた、特異な形状の鳥居が存在します。





・『三峰神社・三つ鳥居』 



大神神社、公式ホームページでは

この鳥居について、その起源は不詳としています。



また京都の太秦(うずまさ)にある

『木嶋坐天照御魂神社』

(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)


「蚕の社(かいこのやしろ)」とも呼ばれ

境内には、三本の柱によって構成された

「三柱鳥居(みはしらとりい)が存在します。




Konoshima-jinja mihashira-torii.JPG「wikipedia」より




『木嶋坐天照御魂神社』

このしまにますあまてるみたまじんじゃ

(京都府京都市右京区太秦森ケ東町50)


祭神  

天之御中主神 (あめのみなかぬしのかみ)

大国魂神(おおくにみたまのかみ) 

穂々出見命(ほほでみのみこと)

鵜茅葺不合命(うがやふきあえずのみこと)

瓊々杵尊(ににぎのみこと)





社名にある「アマテル」とは

本来月神につく言葉で、和歌文学の世界

では、月はアマテルと歌われました。


三柱鳥居は、元糺(もとただす)の池

の中に立ち、この場所はかつて

水が湧き出していたといいます。


境内には、この池を含めた三つの池

存在したようで、江戸時代に編纂された

京都の地誌『都名所図絵(みやこめいしょずえ)』には

「三つ鳥居」の下を、川のように流れる

湧水が描かれています。



・『都名所図絵』 「蚕社」の項より




当ブログで、水を司るのは『月』だと

長く長く、書いてきましたが




同じく、京都(山城国)の西京区には

(かつての葛野(かどの)郡の一部)

名神大社・月読神社があり


作家・詩人の高良留美子氏は

「山城に栄えた月の文化」と

著書の中で表現されています。

(『見出された縄文の母系制と月の文化』言叢社)



(個人的な考えとなりますが)

数字の『三(み)は、『月』そして『水』

深い関係にあると思っています。

そして当然、これらは『女性』に繋がります。





『酒(さけ)も(ある意味)『水』になりますが

埼玉県郷土史家の茂木和平氏は

古代において、「サケ」とは「鉄」を

意味すると言われます。


個人的には、「サケ」=「鉄」という

理解以前に、「サケ」=「水」の関係性が

あったのだろうと、考えています。

言い換えると、「サケ(水)」という言葉を使う

民族(集団)が、はるか昔日本に来ていた…人類と水との

歴史は、鉄よりもはるかに古いと考えています。






初期の製鉄に(とくに水鉄…『褐鉄鉱(かつてっこう)』

『ベンガラ』など)女性(巫女)が深く関与した

のではないか…そんなことをゆっくりと

書いていきたいと思います。


やがて、製鉄祭祀は男性父権側が掌握し

たたら巫女たちは、メデューサ・ゴルゴーンのように

蛇と関連づけられ、鉄剣によって斬られる

世界的な伝承につながったと、想像しています…。






個人的には、『三』という数字が

神聖視されたのは、月が「暗闇(朔:さく)」を

経て、夜空に生誕するのが、三日月(朏)


この月の満ち欠けとリンクする

『女性』のお腹(子宮)から、赤ちゃんは

『水(羊水)とともに、誕生する。


そして、かつて『月』『水』を統御する

(もたらす)と考えられていた…。ここらへんに

理由があると考えています。





そういえば、その昔、中国では

ペルシャ人のことを、古い月の人…

『胡人(こじん)と呼びました。


製鉄の発祥地、トルコの国旗には三日月

が描かれていますが、『ミ』という言葉には

その起源が不詳となるほどに、古い信仰を

もった人びとの存在を、感じます。



先日、購入して、現在読んでいます。



大神神社の摂社「恵比寿(えびす)神社」に祀られる
カヤナルミノミコト』の神名の意味がわかりました。
ブログに、のちのちフィードバッグします。



さて最後に、冒頭にふれた

『御田八幡神社』周辺について、書いて

終わりにしたいと思います。



神社のある段丘上、亀塚公園の隣に

『周光山 済海寺(しゅうこうざん・さいかいじ)

があります。かつては、御田八幡神社と

一体だったのかもしれません。






済海寺の場所は、『更級日記(さらしなにっき)

記載のある、「竹芝(たけしば)伝説」の舞台

となった場所ともいわれています。



「竹芝伝説」とは、本当にざっくりいうと

10世紀の初めころ、この竹芝(武蔵国)出身

の男性が、焚衛士に任じられ、京へ上り


やがて、当時の皇と恋仲になって

駆け落ちをし、二人がこの竹芝に落ち着く

という伝説です。この二人が暮らした場所が

現在の済海寺の建つ場所だと、いうのです。





また隣の亀塚公園には、その名のとおり

亀塚が存在し、塚の頂上部に壺が存在し

そこに出入りする亀を神として祀っていたが

一夜の暴風雨で、この亀が石と化したと

伝えられています。





この亀塚のある台地一帯は、江戸時代に

月見の名所とされ、見の岬」と呼ばれていた

そうです。





続きます。