役者の仕事は多岐に渡り、道もいくつもあります。

 

大学、養成所、専門学校から劇団、事務所など

 

養成機関である専門学校を出た後、事務所付属の養成所などに入りなおすという人も多いです。

 

しかし残念なことに、

養成所などの多くは、事務所の資金作りのための場であることが多く、

 

実際にそこから所属になれたり、

売れるようになる人はかなり少ないですし、

 

そういう見込みのある人は初めから特待生などで入所となることが多く、

特待生にもなれず、また高い費用を払いながら学ぶことになるのは、良くありません。

 

私も初めは上京して専門学校に通っていました。

同期の中の多くは、卒業後にまた養成所に入っていきました。

 

そして養成所に入ったひとたちのほとんどは、

その後事務所に所属になることもなく、劇団に所属になることもなく、養成所の期間が終わってしまい、

まだ明確に役者を辞めているのか続けているのか分からない状態のまま過ごしています。

 

役者時代からのアルバイトを続け、

養成所などに通う時間がなくなった分、

ワークショップに通うわけでもなく、

芝居の勉強にあてるでもなく、

最初に抱いていた役者への情熱は醒めてしまい、

それでも役者の世界から完全に足を洗い、

社会人になるわけでもなく。

 

そういう道に進んでしまった人は先にもたくさんいて、

そこから学ぶべきであったのに、

目を背けたまま来て、

結局自分も同じ道を歩んでいる。

 

そういうことに気づいて、

彼らは苦しんでいます。

 

気付くべきタイミングはたくさんあった。

専門学校を卒業しても、事務所の所属になれなかった、

養成所に入るにしても特待生の枠に入れなかった。

 

正直、専門学校や養成所は、特待生でもなければお金さえ払えば誰でも入れるものです。

そこに目を向けずに、養成所に受かったから事務所の所属に近づいたとか思ってしまうことが間違いなのです。

 

芸能事務所が養成機関を作る、運営する目的はほとんどお金儲けのためです。

所属俳優に支払うお金のため、所属俳優のプロモーションのため。

そのために養成機関でお金を集めるのです。

養成所に、一般枠で入ってきた生徒にはあまり期待していません。

養成機関の中で1人や2人でも売れる役者が出ればラッキーぐらいなものです。

 

私もそういったことは見聞きしたことはあっても、

信じたくありませんでした。

努力すればみな一様にチャンスがあって、努力すれば評価されるという風に信じたかったのです。

 

しかし役者を辞めて、色々と情報収集し、さらに自分の経験、仲間たちの現状と経験から考えるに、

本当にこの業界というのは特殊なもので、

いくら努力しても実らないことも多いし、

そもそもそういった養成機関を運営している会社の利益のために

多くの役者を目指す人たちが存在しているという構造のように思います。

 

芝居をやるため、役者になるために自分の人生の時間と、お金をいくらでも費やすという覚悟がないなら、

 

やはり客観的に自分の立ち位置をみて、辞める覚悟をするべきです。