前回のつづきです



20年前に夫がリュックひとつで飛び込んだワイナリー(お金と荷物のはいった大きなカバンは初日にロストバゲッジしてしまったのだけれど、言葉が分からず結局出てこなくて、そのまま旅をはじめたそうだ)


フランス語も英語すらほとんど分からなかった彼を研修生としておいてくださったオーナー


質問いただいたのですが

フィネタという豚さんの小屋のそうじからはじまった

夫は現在

日本の下北沢と松陰神社でフランスビストロ料理店を経営しています

小さなはじまりという意味のプティ・デビューというお店と

大きな木という意味のゴンアルブルといいます

彼いわく、今の彼があるのは

この場所のおかげだそうです


オーナーが特別にワインの醸造所を見せてくださいました


私も生まれて初めての経験だったのですが

ワインになる前のジュースはシュワシュワと音がするんです

これは、ワインがまだお仕事中なんだよといっていました


樽詰されたワインが眠る特別な場所へ

ひんやりと静かな倉庫のなかで

ひとつひとつの樽をまるで眠っている子供たちをあやすように

コンコンとノックしたり

優しく触れていくムッシュ


出荷までまだシュワシュワと歌い続けるワインは

オーク樽の優しい香りに包まれていました


太陽のもと希望を胸にいっぱい抱いたぶどうの実が

揉まれ潰され姿を変えて

仲間と一緒になり

ひたすら自分と向き合って

歌いながら働いて

熟成され

様々な経験を経て

奥深い豊かなワインとなる


それは、まるで

みんなから何と言われて

実際沢山失敗しながらも

ただ自分を信じて進んできた

彼自身のようだなと思いました


今回の旅で

夫も私も沢山の方と出逢い

これからの自分達の人生について

どんな生き方をするかを改めて考えさせられました


さらに20年後

私たち家族が笑顔で仲良く過ごせる未来

がむしゃらに働きすぎていた彼は

家族と過ごす時間を大切にすること

私は、アーティストとして

自分自身の仕事をする時間を意識して持つこと


今はまだ小さな人だけれど

彼女が笑顔で自分の人生を生きられる応援団になれるように


家族でできるだけ沢山

一緒にご飯を食べていきたいなと思いました