使いやすさを追求していくと、その先には美しい造形が待っている。機能美というやつだ。ランディングネットも、そう信じてあれこれ試行錯誤するが、なんだか間抜けな感じになってしまう。それは圧倒的に現場での経験が足りていないからだ。それでもなんとか形にして、釣り師の妄想をたっぷりと含んだ、欲張りな大きいランディングネットを片手にフィールドに立つ。私の場合、大抵は大きなランディングネットと小さな魚になりがちだ…しかし、それで良いと思っている。その方が少しでも魚に優しいと思っているからだ。謙虚なネットのサイズでは、突然の大物には優しくない。リリース前提での釣りには、その考えがとても大切だ。しかし、釣り師は大好きな魚の顔に傷をつけるのだから、矛盾した愚か者の集団だ…もちろん、キャッチ アンド イートも賛成だ。食べたい魚を逃したくないという思いも、ネットの大きさや形に当然含まれる…目的が変われば、同じネットでも違って見えてくる。使い易さと美しさを兼ね備えた道具を目標に、作り続けていきたいと思う。