殺したいやつがいる | 風間観察日記 2

風間観察日記 2

精神安定剤日記

なんだこいつは

全然こいつのことがわかんない

もう付き合いも相当長いのに
全然こいつのことがわかんない

最近いつも一緒にいて
眠るのを邪魔してきたり
外に出るのを止めてきたり
嫌な気持ちにばかりさせてくる


そいつの名前は不安。
不安君。

中国人ではない。

目に見えないくせにいつもそこにある不安糞野郎のこと。


最近どうしてもやばい。

振り払えない。

もはや振り払おうと身体を動かすこともできずに
頭の中ばかりがぐるぐる動いて
結局おふとぅんから出られずにいる。

「そんな時は上を向くだけで変わる」

布団に横たわったまま
「不安解消法」を調べたら書いてあったけれど

もう寝たまま天井ばかり見上げてるから
これ以上ないくらいに上向いてる


いろんな締め切りが
いろんな不安君と一緒に迫ってきて
もう部屋はパンパンで動けない

息苦しくなって
どうにかしないといけないと思って
家を飛び出したら

本当に呼吸がちゃんとできていないことに気づく


誰でもいいから連れだして

なんてネットで調べてしまうほどに
外に出たかったみたい


とりあえずどこかに行きたい
どこかに逃げたいと思ってバイクに乗った

どこでもいいと逃げ出したはずなのに

向かったのは
徒歩5分くらいのレンタルビデオ屋だった

なにも借りたいものもなかった
とりあえずもう一度バイクで走りだした

あの家には不安君がたくさんいるだろうからまだ帰れない


すぐ近くのホームセンターによった。

ホームセンター。


気付くと資材売り場に来ていた
大きい木材が並んでいる


ホームセンターは嫌いじゃないけれど

この木材売り場というコーナーを
避けてきていた自分に気付いた


初めてのバイトがホームセンターで
木材を切る仕事が嫌だったからだと思っていたけれど

どうやら違った


親父がいる。


もう亡くなった親父は大工だった

そして俺は親父の作業場でいつも
木の匂い、
正確には木材の匂いに囲まれて育ってきたことを思い出した。

小学生の頃の記憶が蘇ってきて
気付いたら泣いていた

「ごめんなさい」
と。

お父さんに
あの頃の自分に
謝るしかなかった

不安君はどうやらバイクの後ろについて来ていたようだった。


逃げられない。

まわりこまれてしまった。

毎日戦っているくせに
どうやらこれはボス戦だったようだ。

逃げられないなら立ち向かうしかない。

もしくは逃げるを8回選択すると
会心の一撃がでるとかいう噂を信じて逃げ回るしかない

とりあえず家に帰って
なにかしなければいけない。

俺はなぜかわからないが
もう一度レンタルビデオ屋さんへ寄って

「勇者ヨシヒコ」というドラマを借りて帰った。

見た。くだらない。笑う。
そして笑うことは大事だ。



何をするにも自信がない
自信はないのに不安ばかりある。

いや、
自信がないから不安ばかりあるのかな

すんごいおかしな話。

どっちも目に見えないものなのに
どうして自信ばかりなくて
不安ばかり ある んだろう

どっちも自分の意識ひとつで
今すぐにだって変えられるはずのものなのに。


不安君はもうしょうがない。
むしろ不安さんと持ち上げるしかない。

いつか
「あなたのおかげで曲が書けたよ」 と

スペシャルサンクスに書いてやれるくらいに
仲良くできたらいい。

自信さんはその過程で
ついて来てくれたらいい。







擬人化して客観視してみたけれど
なにも解決しない
殺したい