半額で買ったモツ鍋を彼女と食べていると
よくわからない番号から電話がかかってきた
電話には出来るだけ出たくないけれど
CDを出す時期だし
奇跡的にメジャー会社からのお誘いかもしれないし
それが元で売れてアルバイトも辞めれるかもしれない
そんな空想しながら勇気を出して電話に出ると
それは6年くらい前にアルバイトで一緒だったT君だった。
久しぶりすぎる人から電話が来ると
借金か宗教かと身構えるんだけど
メジャーデビューするんですか?という電話だった。
渋谷のビジョンで流れていたという話から
売れてると思われたみたい
すごいですよと言われたけれど
俺は何もしていないし
何も変わっていない
すごいいい子でライブも来てくれてたりしたし
応援してますと言ってくれた
嬉しかった
嬉しいはずなんだけど
なんだか素直に喜べないまま
業務みたいにありがとうと言った
嬉しいのか寂しいのかさっぱりわからないまま
少し温くなったモツ鍋を食べた
夜、どうしても眠れなくて また眠剤を飲んで寝た
俺は何も変わらないんだけどな
どんなになっても変わってないつもりなんだけどな
半額で買ったモツ鍋は
定額で買ういつもと変わらずおいしかった