ジロ・デ・イタリア2022

 

5月25日(水)

 

ステージ17

ポンテ・ディ・レンニョからラヴァローネまでの168km

 

 

イタリアのこの辺り。

 

 

 

優勝は、44. サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン)

 

グランツール区間初優勝。

 

 

 

マリア・ローザは、

1.リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が3秒差で守る

 

 

アタッカーと総合勢にとっては再び勝負の日。スプリンターにとっては更なる試練の日。

北イタリアとオーストリアにまたがるチロル地方に分け入る難関山岳ステージ2連戦2日目は序盤冷たい雨に濡れ、これから起こる過酷な道程を暗示するかのようだった。

スタート後すぐに始まるカテゴリーのつかない山岳(距離8.6km/平均勾配6.3%/標高1,876m)をこなし、長いダウンヒルとアップダウンを抜けたら連続する1級山岳を2つ越えなければならない。1級山岳パッソ・デル・ヴェトリオーロ(距離11.8km/平均7.7%)をこなし、続くのは頂上に近づくにつれ勾配が上がる1級山岳モンテ・ロヴェレ(距離7.9km/平均9.9%)。そこからフィニッシュまでの8kmは下り基調のアップダウンが続く。

 


ここまでの山岳ステージでは何度も逃げ切りが決まっていることから、この日もアタッカーたちが積極的に仕掛けることに。8.6km登坂のパッソ・デル・トナーレでは強豪選手をたっぷり含んだ25名という大集団が先行し、その中にはマリアアッズーラを確定させたい

143. クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)

の姿も。

 

 

ユンボ・ヴィスマ3名を乗せ、前日勝者の

123. ヤン・ヒルト(チェコ、ワンティ)

21.マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)

201.ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック)

71. ギョーム・マルタン(フランス、コフィディス)

44. サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン)

といった今大会積極的に逃げるメンバーもジョイン。登りにも関わらず序盤1時間の平均時速44.4km/hというハイスピードを経て先行を開始した。

逃げ切りはもちろんのこと、山岳賞や総合争いを見据えた前待ち作戦など、さまざまな思惑を秘める先頭グループ。

マリアローザ

1.リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)

擁するイネオス・グレナディアーズと総合2位

66. ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ)

擁するボーラ・ハンスグローエは全メンバーをメイン集団に留めた一方、

総合3位の

211. ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAE)

擁するUAEチームエミレーツ

214. アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAE)

総合4位

41. ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン)

擁するバーレーン・ヴィクトリアスは

ブイトラゴとクライマーをそれぞれ先行させる。

 

とにもかくにも、先頭グループは5分程度の差を得て、まずは85km地点3級山岳を登り始めた。

 



人口500人ながら、フランチェスコ・モゼールやジルベルト・シモーニを輩出したジョーボの街に設定された山岳ポイントは狙い通りボウマン先頭通過

 

直後の下りでは濡れた路面にタイヤを滑らせたブイトラゴが落車したものの、バイク交換を経てすぐ先頭集団に復帰している。

 

アップダウン区間で先頭集団内には断続的にペースアップが掛かり、決してクライマーではないファンデルプール1級山岳パッソ・デル・ヴェトリオーロの麓区間で突如アタックした。

 

 

ここに

71. ギョーム・マルタン(フランス、コフィディス)

214. アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAE)そして

14. フェリックス・ガル(オーストリア、AG2R)

が合流し、1分20秒リードで登坂を開始。

 

7. ベン・スウィフト(イギリス。イネオス)

が牽くメイン集団からは膝痛を抱えきれなくなった

181. サイモン・イェーツ(イギリス、バイク・エクスチェンジ)

が脱落しそのままリタイアとなってしまった。

逃げるファンデルプールたちだったものの、登坂区間では一時遅れていた追走グループから抜け出した

91. ヒュー・カーシー(イギリス、EF)

44. サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン)

123. ヤン・ヒルト(チェコ、ワンティ)、さらには

143. クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)

が合流。

 

狙い通りボウマン1位山頂通過で40ポイントを上乗せすることに成功したが、霧むせぶダウンヒル区間ではファンデルプールが猛加速。フロントタイヤを滑らせる危険なシーンがあったものの、同調した

146. ハイム・レームライズ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)

と2人で1分差をつけることに成功した。

 

思うようにローテーションが回らず、追走の足並みが揃わない追走グループを1分半引き離してファンデルプールレームライズがこの日最後の1級山岳モンテ・ロヴェレ登坂をスタート。

 

シクロクロス世界王者は歯を食いしばってレームライズを千切ったものの、平均9.9%を刻む勾配に徐々に失速。千切られてもマイペース走法を貫いたレームライズが山頂まで3.5kmを残して合流し、すぐにファンデルプールを千切って単独先頭に。

 

キャリア初勝利を目指して快調に登った22歳だったものの、その後方からはカーシーたちを振り落としたブイトラゴが飛んできた。

今年のサウジツアー第2ステージでプロ初勝利を挙げたコロンビアンクライマーは、山頂手前でレームライズに合流するや否やアタックで独走に。

 

 

序盤の落車痕を残しながら、フィニッシュまで続く8kmの下り基調アップダウン区間を駆け抜ける。レームライズも粘り強く追走したものの、一度限界に達した脚は最後まで戻ってこなかった。

 

コーニュにフィニッシュした第15ステージで、チッコーネに敗れて2位に甘んじたブイトラゴが独走のままフィニッシュへ。

「あの時負けてからずっとこの勝利を夢見てきた」というリベンジを、早くもその2日後に達成するとともに、キャリア初のグランツールステージ優勝を過酷なジロ3週目で挙げてみせた。

 

 

激しいステージ優勝争いから3分半遅れてモンテ・ロヴェレを登るマリアローザグループでも当然ペースアップが掛かった。

 

4. リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス)

のハイペース牽引に耐えたのは総合トップスリー

46. ワウト・プールス(オランダ、バーレーン)

の4人だけで、ポートが仕事を終えるとプールスが牽引をスタート。

度重なるペースアップにもカラパスヒンドレーは一切遅れをとらなかった。


 



続くアップダウン区間でも決定的なアタックはかからず、総合1、2、4位はそのままフィニッシュへ。緩斜面のゴールスプリントでカラパスヒンドレーを抑えてフィニッシュ。

 

 

ランダ6秒遅れ。遅れたアルメイダに代わり、チームメイトとともに力強い走りを披露したランダ総合3位浮上を叶えている。

 

 

ステージ17結果

 

各賞