ジロ・デ・イタリア2022

 

5月24日(火)

 

ステージ16

サローからアプリカまでの202km

 

 

 

イタリアのこの辺り。

 

 

 

優勝は、123. ヤン・ヒルト(チェコ、ワンティ)

 

グランツール区間初優勝。

 

 

 

マリア・ローザは、

1.リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が3秒差で守る

 

 

 

第11ステージの「食」に続いて、この日は「ワインステージ」。

2026年冬季五輪のスキー競技会場となるヴァルテッリーナ地方で造られる赤ワイン「スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ」と五輪をアピールするステージ。

 

大会最後の休息日を終え、いよいよ総合成績が動くであろう第3週目がスタート。

これまで数々の名勝負が繰り広げられてきたイタリアンアルプスに戦いの場所を移し、難関山岳ステージ連発の過酷なラストウィーク。

3つの1級山岳が登場するこの日獲得標高差は今大会最大の5,250mで、難易度も最高ランクの5つ星

過酷極まりない「タッポーネ(クイーンステージ)」は、ガルダ湖のほとりに位置するサローの街からスタート。

 

 

区間2勝目を目指す

201.ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック)

を先行させたいトレック・セガフレードの思惑によって先頭グループを捉え、今度は30名ほどの大グループが先行

 

21. マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)らが逃げに乗るものの、最初の山岳手前で引き戻される

 

 

トレックは狙い通りチッコーネ

202.ダニオ・カタルド(イタリア、トレック)

を入れることに成功し、ボーラ・ハンスグローエ

61. ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ)

67. レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ)を、

バイクエクスチェンジ・ジェイコ

181. サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)を、

ユンボ・ヴィスママリアアッズーラ

143. クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)を、

モビスター

161. アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を入れる。

 



逃げ屋や、総合成績から遅れたクライマーなどを含む大グループが、まだ遥か先のフィニッシュを目指して先行を開始した。

森林限界を超えたゴレット・ディ・カディ-ノ山頂ではボウマンを抑えたチッコーネが先頭通過。

マリアアッズーラ争いに加わるかに思えたものの、テクニカルな下りで脱落してしまう。

 

息をつく間もなく続く1級山岳モルティローロ(距離12.6km/平均7.6%)の麓では人数の多さが原因となって先頭グループが分裂。

バルベルデケムナボウマン

46. ワウト・プールス(オランダ、バーレーン)

といった8名が先行を開始した。

 

 

逃げグループから抜け出した8名
161. アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
67. レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ)
143. クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
126. ロレンツォ・ロタ(イタリア、ワンティ)

192. テイレン・アレンスマン(オランダ、DSM)
197.クリス・ハミルトン(オーストラリア、DSM)
46. ワウト・プールス(オランダ、バーレーン)
202.ダニオ・カタルド(イタリア、トレック)

 

 

ただしカタルドチッコーネのアシストをするために先頭グループを離脱

代わって7.6%勾配を刻むモルティローロの登坂では

123. ヤン・ヒルト(チェコ、ワンティ)

91. ヒュー・カーシー(イギリス、EF)

が合流。牧草地が広がるモルティローロ頂上は狙い通りボウマンが先頭通過して山岳ポイント40点を獲得。

 

その5分後方を追うメイン集団では、コントロールを担っていたイネオス・グレナディアーズに取って代わってアスタナ・カザフスタンがペースアップを図った。

 

 

集団を絞り込むと同時に

31. ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ)

の頂上アタックをお膳立て。ニバリが得意のダウンヒルアタックで抜け出し、緊張感が高まる中では総合5位

125. ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、ワンティ)

が落車するシーンも(幸い大きな怪我なし)。

モルティローロのテクニカルダウンヒルを終えた時点で、レース展開は先頭7名

1分半差で追う追走7名

そしてメイン集団は5分遅れて9名カラパスシヴァコフニバリランダビルバオブッフマンヒンドレーアルメイダフォルモロ)。

 

山岳ポイントではなくスプリントポイントが設定された5.6kmの登坂(平均8.6%、最大16%)を前にメイン集団が一度平穏を取り戻し、落車したポッツォヴィーヴォも含めて次々と遅れていた選手が復帰する。

再度イネオス・グレナディアーズがコントロールを担ったものの、続いてランダ擁するバーレーン・ヴィクトリアスがペースアップを開始した。

 

 

 

 

サンタ・クリスティーナを登る先頭のワウト・プールス

 



先頭グループの中、「スプリントポイントの下り」で抜け出し、最終1級山岳のサンタ・クリスティーナ(距離13.5km/平均8%/最大13%)を単独で登りはじめたのはケムナ。「今日は調子が良かったし可能な限り全ての攻撃を試みた」と言うケムナが逃げ、4名カーシーヒルトバルベルデ、アレンスマン)に減った追走グループが追走。

 

 

ケムナのリードは一時50秒まで広がったものの、コンスタントに10%超勾配を刻むサンタ・クリスティーナ後半区間に入ると徐々に失速してしまった。

 

 

アレンスマンバルベルデたちを振り落としてケムナを追い抜いたものの、一時遅れていたヒルトは粘り強い走りでアレンスマンに食らいつき、頂上に近づくほど勾配が増す最終区間で単独先頭に立つ。「モルティローロを越える2019年のクイーンステージで2位だったので、もう一度あの走りを繰り返したいと思っていた」と言うヒルト15秒リードで先頭通過。突如雨が降り出して滑りやすくなったテクニカルダウンヒルに入った。

あわや落車というスリップシーンを何度か見せつつ、限界まで下りを攻めたヒルトが、必死に追いかけるアレンスマンとの差を維持しながら残り1km地点を通過する。2~3%の緩斜面勾配でも勢いは衰えず、力強いダンシングで踏み続けたヒルトがフィニッシュラインに戻ってきた。

 

 

うなだれるアレンスマンを尻目に「身体じゅうが悲鳴を上げていたけれど、それでも勝利への欲望が強かった」と振り返るヒルトが勝利。キャリア初のグランツール区間優勝を叶えると共に総合成績を12位から9位に上げ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオにとってはギルマイの第10ステージに続くステージ2勝目となった。

 

 

 

フィニッシュ後にヒルトを称えるテイメン・アレンスマン

 

 

 

ステージ16結果

 

 

 

 

各賞