ブエルタ・ア・エスパーニャ2021
9月5日（日）
ｽﾃｰｼﾞ２１
パドロン〜サンティアゴ・デ・コンポステーラ 33.8km（個人TT）
優勝は、
1 ﾌﾟﾘﾓｼｭ･ﾛｸﾞﾘｯﾁ（31ｽﾛﾍﾞﾆｱ、ﾕﾝﾎﾞ・ｳﾞｨｽﾏ）
今大会4勝目。 ブエルタ3連覇達成！
第76回ブエルタ・ア・エスパーニャを締めくくるのは、マドリードでの集団スプリントではなく、巡礼の終着地サンティアゴ・デ・コンポステーラを舞台にした距離33.8kmの個人タイムトライアル。
中盤には山岳ポイントがつけられてもおかしくない登りが設定されており、コース特性は東京オリンピックの個人タイムトライアルコースにも似る。
世界的なキリスト教の巡礼地、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の真ん前に位置するオブラドリオ広場にフィニッシュする「時間との戦い」。
3年連続のマイヨロホまであと一歩に迫った
1 ﾌﾟﾘﾓｼｭ･ﾛｸﾞﾘｯﾁ（31ｽﾛﾍﾞﾆｱ、ﾕﾝﾎﾞ・ｳﾞｨｽﾏ）や、
2018年に続く総合2位、
171 ｴﾝﾘｸ･ﾏｽ(26ｽﾍﾟｲﾝ、ﾓﾋﾞｽﾀｰ)
たちの走りを、沿道に多数詰めかけた観客が見守った。
▽ 巡礼地、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を目指す
初日に続く今大会2回目のタイムトライアル。
トップバッターとしてスタートした
93 ﾖｾﾌ・ﾁｪﾙﾆｰ（28ﾁｪｺ、ｸｲｯｸｽﾃｯﾌﾟ）
が45分18秒91で暫定首位に立っていたものの、このタイムを
107 ﾏｸﾞﾅｽ･ｺﾙﾄ（28ﾃﾞﾝﾏｰｸ、EF）
が軽々と上回った。
今大会ステージ3勝を挙げた好調ぶりを見せつけるかのように、高速ペースを刻んだｺﾙﾄのタイムはﾁｪﾙﾆｰをなんと1分2秒も上回る44分16秒03。
決してTTスペシャリストとは言えないコルトだが、唯一平均スピードを45km/h台に乗せ、ホットシートに座して後続選手のフィニッシュを待つこととなる。
主催者の優勝予想タイム、50分前後を大きく上回って繰り広げられるステージ優勝争い。
スペインTT王者の
35 ﾖﾝ･ｲｻｷﾞﾚ(32ｽﾍﾟｲﾝ、ｱｽﾀﾅ)
も2分以上遅れ、やがて総合上位勢が2分間隔となってスタートしていく。
好走した総合9位
231 ﾀﾞﾋﾞ・ﾃﾞﾗｸﾙｽ（32ｽﾍﾟｲﾝ､UAE）総合9位は
6 ｾｯﾌﾟ･ｸｽ(26ｱﾒﾘｶ、ﾕﾝﾎﾞ･ｳﾞｨｽﾏ)総合7位と
81 ｷﾞﾖｰﾑ･ﾏﾙﾀﾝ(28ﾌﾗﾝｽ、ｺﾌｨﾃﾞｨｽ）総合8位
を抜いて総合7位へのジャンプアップに成功。
そのほか上位勢は大崩れすることなく、順当な走りで総合成績をキープしていった。
総合3位
44 ｼﾞｬｯｸ・ﾍｲｸﾞ（ｵｰｽﾄﾗﾘｱ、ﾊﾞｰﾚｰﾝ）、
総合2位
171 ｴﾝﾘｸ･ﾏｽ(26ｽﾍﾟｲﾝ、ﾓﾋﾞｽﾀｰ)
がスタートし、いよいよマイヨロホのスキンスーツに身を包んだ初日TT覇者
1 ﾌﾟﾘﾓｼｭ･ﾛｸﾞﾘｯﾁ（31ｽﾛﾍﾞﾆｱ、ﾕﾝﾎﾞ・ｳﾞｨｽﾏ）
がコースへ。
東京五輪個人TT金メダリストの証、ゴールドペイントのバイクに乗ったﾛｸﾞﾘｯﾁは目を見張る走りを披露した。
集中した表情で上りをこなし、中間計測ポイントでｺﾙﾄを19秒上回ったﾛｸﾞﾘｯﾁ。
ﾏｽに対して総合で2分38秒のリードを得ているものの、一切手を抜くことはせず後半区間でもハイペースを刻んでいく。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂へと駆け上がる登坂区間で2分前にスタートしたﾏｽを捉え、TT能力の差を見せつけるように置き去りにしてフィニッシュ。
コルトを14秒上回る44分02秒を叩き出すダメ押しの走りで3年連続のブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝を達成した。
全選手中唯一平均スピードを46km/h台に乗せる、圧巻の走りで今大会最多となるステージ4勝目を挙げたﾛｸﾞﾘｯﾁ。
フィニッシュ地点でﾛｸﾞﾘｯﾁの到着を待ち続けていたチームメイト全員と抱擁を交わし、そのままポディウムに上がってﾏｲﾖﾛﾎｶﾗｰに塗られたバイクを披露。
3週間安定した強さを貫き通し、落車リタイアに終わったツール・ド・フランスの借りを返してみせた。
息子を抱き上げ、ﾏｽ、そしてグランツールで初の総合表彰台を射止めたﾍｲｸﾞと共に大観衆の前に立ったﾛｸﾞﾘｯﾁは、「3週間前に大聖堂をスタートして、そして再び大聖堂の前でレースを終えることができた。素晴らしい景色だよ。総合優勝することができ、これを可能にしてくれたチームメイトとスタッフ、家族に感謝を伝えたい。またここにいる皆にも感謝したい。君たちのおかげで全てのステージでの応援を楽しむことができた」と感謝の気持ちをコメント。「初日を1位、最終日でも1位でレースを終えることができた。本当にありがとう。来年また会おう」と短いスピーチで3週間の戦いを締めくくった。
なおこの日、17時31分にスタートした新城幸也は119位でフィニッシュ。
連日アシストとして力を尽くし、チーム総合優勝の表彰台に上がった新城にとってはグランツール15回連続完走。「無事にｼﾞｬｯｸは表彰台を確保したし、ｼﾞﾉも新人賞ジャージ。大変なブエルタだったけど、最後は最高な結果で締めくくれて最高のブエルタだった！」と語っている。
そして今大会限りでの引退を表明していた
201 ﾌｧﾋﾞｵ･ｱﾙ（31ｲﾀﾘｱ、ｸﾍﾞｶ)
は49位。数年間苦しい時期を過ごしていた2015年のブエルタ覇者は、前哨戦ブエルタ・ブルゴスで総合2位に入るなど調子を上げ、このブエルタでも積極的にステージ優勝を目指した。「フィニッシュ後は家族と第2の家族であるチームの出迎えを受けて本当に嬉しかった。たくさんの思いが浮かぶけれど、応援してくれたたくさんの人たちに感謝したい」という言葉と共に10年という少し短いプロキャリアに幕を閉じた。
ｽﾃｰｼﾞ２０結果
① 1 ﾌﾟﾘﾓｼｭ･ﾛｸﾞﾘｯﾁ（31ｽﾛﾍﾞﾆｱ、ﾕﾝﾎﾞ・ｳﾞｨｽﾏ）総合1位 44：02
② 107 ﾏｸﾞﾅｽ･ｺﾙﾄ（28ﾃﾞﾝﾏｰｸ、EF） 0：14
③ 192 ﾃｲﾒﾝ・ｱﾚﾝｽﾏﾝ(21ｵﾗﾝﾀﾞ、ﾁｰﾑDSM) 0：52
④ 93 ﾖｾﾌ・ﾁｪﾙﾆｰ（28ﾁｪｺ、ｸｲｯｸｽﾃｯﾌﾟ） 1：16
⑤ 195 ﾁｬﾄﾞ・ﾍｲｶﾞ(32ｱﾒﾘｶ、ﾁｰﾑDSM) 1：43
⑥ 131 ｴｶﾞﾝ・ﾍﾞﾙﾅﾙ（24ｺﾛﾝﾋﾞｱ、ｲﾈｵｽ）総合6位 1：49
⑦ 51 ﾌｪﾘｯｸｽ･ｸﾞﾛｽｼｬｰﾄﾅｰ(27ｵｰｽﾄﾘｱ、ﾎﾞｰﾗ)総合10位 1:52
⑧ 5 ｽﾃﾌｪﾝ・ｸﾗｲｽｳﾞｧｲｸ（34ｵﾗﾝﾀﾞ、ﾕﾝﾎﾞ・ｳﾞｨｽﾏ）
⑨ 171 ｴﾝﾘｸ･ﾏｽ(26ｽﾍﾟｲﾝ、ﾓﾋﾞｽﾀｰ)総合2位 2：04
⑩ 35 ﾖﾝ･ｲｻｷﾞﾚ(32ｽﾍﾟｲﾝ、ｱｽﾀﾅ) 2：06
11 231 ﾀﾞﾋﾞ・ﾃﾞﾗｸﾙｽ（32ｽﾍﾟｲﾝ､UAE）総合9位 2：14
17 44 ｼﾞｬｯｸ・ﾍｲｸﾞ（ｵｰｽﾄﾗﾘｱ、ﾊﾞｰﾚｰﾝ）総合3位
29 138 ｱﾀﾞﾑ･ｲｪｰﾂ（29ｲｷﾞﾘｽ、ｲﾈｵｽ）総合4位 3：18
31 45 ｼﾞｰﾉ･ﾏｰﾀﾞｰ(24ｽｲｽ、ﾊﾞｰﾚｰﾝ)総合5位 3：19
50 81 ｷﾞﾖｰﾑ･ﾏﾙﾀﾝ(28ﾌﾗﾝｽ、ｺﾌｨﾃﾞｨｽ）総合8位 4：16
81 6 ｾｯﾌﾟ･ｸｽ(26ｱﾒﾘｶ、ﾕﾝﾎﾞ･ｳﾞｨｽﾏ)総合7位 5：13
119 42 新城幸也（36日本、ﾊﾞｰﾚｰﾝ） 6：52
マイヨロホ 個人総合成績
① 1 ﾌﾟﾘﾓｼｭ･ﾛｸﾞﾘｯﾁ（31ｽﾛﾍﾞﾆｱ、ﾕﾝﾎﾞ・ｳﾞｨｽﾏ） 83：55：29
② 171 ｴﾝﾘｸ･ﾏｽ(26ｽﾍﾟｲﾝ、ﾓﾋﾞｽﾀｰ) 04：42
③ 44 ｼﾞｬｯｸ・ﾍｲｸﾞ（ｵｰｽﾄﾗﾘｱ、ﾊﾞｰﾚｰﾝ） 07：40
④ 138 ｱﾀﾞﾑ･ｲｪｰﾂ（29ｲｷﾞﾘｽ、ｲﾈｵｽ） 09：06
⑤ 45 ｼﾞｰﾉ･ﾏｰﾀﾞｰ(24ｽｲｽ、ﾊﾞｰﾚｰﾝ) 11：33
⑥ 131 ｴｶﾞﾝ・ﾍﾞﾙﾅﾙ（24ｺﾛﾝﾋﾞｱ、ｲﾈｵｽ） 13：27
⑦ 231 ﾀﾞﾋﾞ・ﾃﾞﾗｸﾙｽ（32ｽﾍﾟｲﾝ､UAE） 18：33 ↑
⑧ 6 ｾｯﾌﾟ･ｸｽ(26ｱﾒﾘｶ、ﾕﾝﾎﾞ･ｳﾞｨｽﾏ) 18：55 ↓
⑨ 81 ｷﾞﾖｰﾑ･ﾏﾙﾀﾝ(28ﾌﾗﾝｽ、ｺﾌｨﾃﾞｨｽ） 20：27 ↓
⑩ 51 ﾌｪﾘｯｸｽ･ｸﾞﾛｽｼｬｰﾄﾅｰ(27ｵｰｽﾄﾘｱ、ﾎﾞｰﾗ) 22：22
マイヨプントス（ポイント賞ジャージ）
① 91 ﾌｧﾋﾞｵ･ﾔｺﾌﾞｾﾝ(24ｵﾗﾝﾀﾞ、ｸｲｯｸｽﾃｯﾌﾟ) 250pts
② 1 ﾌﾟﾘﾓｼｭ･ﾛｸﾞﾘｯﾁ（31ｽﾛﾍﾞﾆｱ、ﾕﾝﾎﾞ・ｳﾞｨｽﾏ） 199pts
③ 107 ﾏｸﾞﾅｽ･ｺﾙﾄ（28ﾃﾞﾝﾏｰｸ、EF） 161pts ↑
マイヨモンターニャ（山岳賞ジャージ）
① 197 ﾏｲｹﾙ･ｽﾄｰﾗｰ(24ｵｰｽﾄﾗﾘｱ、ﾁｰﾑDSM) 80pts
② 191 ﾛﾏﾝ･ﾊﾞﾙﾃﾞ（30ﾌﾗﾝｽ、ﾁｰﾑDSM） 61pts
③ 1 ﾌﾟﾘﾓｼｭ･ﾛｸﾞﾘｯﾁ（31ｽﾛﾍﾞﾆｱ、ﾕﾝﾎﾞ・ｳﾞｨｽﾏ） 51pts
マイヨブランコ（ヤングライダー賞ジャージ）
① 45 ｼﾞｰﾉ･ﾏｰﾀﾞｰ(24ｽｲｽ、ﾊﾞｰﾚｰﾝ) 84：07：02
② 131 ｴｶﾞﾝ・ﾍﾞﾙﾅﾙ（24ｺﾛﾝﾋﾞｱ、ｲﾈｵｽ） 3：54
③ 215 ﾌｱﾝ・ﾛﾍﾟｽ（24ｽﾍﾟｲﾝ、ﾄﾚｯｸ） 19：48
チーム総合成績
① バーレーン・ヴィクトリアス 252：19：35
② ユンボ・ヴィスマ 7：26
③ イネオス・グレナディアーズ 32：18
総合敢闘賞
107 ﾏｸﾞﾅｽ･ｺﾙﾄ（28ﾃﾞﾝﾏｰｸ、EF）
