ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

 

9月2日(木)

 

ステージ18 

サラス〜アルトゥ・デル・ガモニテイル 162.6km

 

 

 

 

優勝は、

 

174 ミゲルアンヘル・ロペス(27コロンビア、モビスター)

 


前日に超級山岳ラゴス・デ・コバドンガを終えてもまだ「クイーンステージ2連続」と言えるブエルタらしい怒涛の難関山岳ステージが選手たちを苦しめる。

今ブエルタ最後の山岳ステージとして、カテゴリー1級、1級、2級、そして超級という、前日よりも1,000m増し獲得標高4,516mという過酷なコースが用意された。

コース中盤までに10〜13%の急勾配が連発する1級山岳プエルトゥ・デ・サンリャウリエンス(全長9.9km・平均8.6%)と1級山岳アルトゥ・デ・コベルトリア(全長7.9km・平均8.6%)を越え、ボーナスタイム付き2級山岳アルトゥ・ラ・セガを経て、この日の、そして今大会のメインディッシュ、初登場超級山岳アルトゥ・デル・ガモニテイル(全長14.6km・平均9.8%)へと挑む。

今大会の最難関峠と言えるガモニテイルは残り6km付近の緩斜面区間を除いてずっと11%前後の勾配が続く文字通りの急勾配登坂。

チーマ・アルベルト・フェルナンデス賞(今大会最も標高が高く、優勝者に山岳ポイント20点が与えられる)が懸けられた、深い霧に包まれたこの峠で、総合順位変動を狙う選手たちが激しい攻撃を加えた。

 

 

この日は落車ダメージを抱えながら走っていた

137 ディラン・ファンバーレ(29オランダ,イネオス)

178 カルロス・ベローナ(28スペイン、モビスター)

という、2チームの重要アシストが未出走。

前日のコバドンガでは総合上位陣による戦いとなったため、この日は逃げ切りにチャンスがあると踏んだ選手たちが、リアルスタートが切られると共に続々と集団を飛び立った。

 

ユンボ・ヴィスマに逃げメンバーを選別する意思はなく、この日はスタートから10kmを要さず32名という大集団が逃げグループを形成。

今大会2勝を挙げている

197 マイケル・ストーラー(24オーストラリア、チームDSM)

2 クーン・ボウマン(27オランダ、ユンボ・ヴィスマ)

234 ラファウ・マイカ(31ポーランド、UAE)

34 ゴルカ・イサギレ(33スペイン,アスタナ)

201 ファビオ・アル(31イタリア、クベカ)

といった豪華メンバーたちがローテーションを組み、メイン集団から5分程度のリードを稼ぎ出した。



32名という大集団ゆえ、逃げではありつつも脚力をセーブできる、金星を目指す選手にとってはこれ以上ない展開。

 

1つ目の1級山岳プエルトゥ・デ・サンリャウリエンスではストーラーが飛び出して先着。

 

リード5分台と逃げ切りの可能性を有していたものの、メリダの新型バイクに乗った新城幸也(バーレーン)がハイペースでメイン集団先頭を牽いたことでタイム差は3分台まで減少した。



続く1級山岳アルトゥ・デ・コベルトリア(全長7.9km・平均8.6%)では先頭グループから再びストーラーが飛び出し、山岳ランキングでチームメイトのバルデを交わして首位に浮上。

 

そのままアタックを継続したストーラーは下りでリードを積み重ね、追走のリズムが噛み合わない30名を置き去りにしてまだ見ぬフィニッシュ目指していく。

 

 

超級山岳アルトゥ・デル・ガモニテイルの前座として用意された2級山岳アルトゥ・ラ・セガではメイン集団とほぼ同じペースを刻んでリードを維持した。

 

こうしてストーラーが最後の超級ガモニテイルに入り、2分後方ではモビスターバーレーン・ヴィクトリアス率いるメイン集団が淡々と、しかしそれでいてハイペースを刻んでいく。

 

10km以上を残して総合13位

231 ダビ・デラクルス(32スペイン、UAE)

が単独追走に立った。

総合トップ10入りを目指すデラクルスは、常に10%勾配を刻む峠道の序盤区間で最も速いペースを刻んだ。

 

今大会2勝を上げている好調ストーラーを持ってしても、勢いづくデラクルス、そして総合12位

141 ルイス・メインチェス(29南アフリカ、ワンティ)

のジャンプアップのために

143 ヤン・ヒルト(30チェコ、ワンティ)

が献身的に牽引するメイン集団を抑えきることはできなかった。

 

主催者想定の最も高速ペースで進行するメイン集団からこぼれ落ちたのは総合5位

81 ギヨーム・マルタン(28フランス、コフィディス)と、

総合9位

51 フェリックス・グロスシャートナー(27オーストリア、ボーラ)

の2人。

 

10名弱に絞られたメイン集団内からは残り5kmを切って総合6位

131 エガン・ベルナル(24コロンビア、イネオス)

が加速した。

連日果敢な走りを披露するベルナルの背中をログリッチががっちりと抑え、

171 エンリク・マス(26スペイン、モビスター)総合2位

174 ミゲルアンヘル・ロペス(27コロンビア、モビスター)総合3位

6 セップ・クス(26アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)総合8位

が先行。

 

すると深い霧に包まれた峠道で総合3位ロペスがライバル勢を置き去りにした。

 



ログリッチに見送られたロペスは単独逃げ続けていたデラクルスをパスし、荒涼とした岩山風景が続くガモニテイル後半区間でリードを築き上げる。

 

その後方ではログリッチベルナルがアタックを繰り返してマスと共に3名グループが形成されたものの、ハイペースを刻み続けたロペスの背中を捉えるには至らなかった。

 

 

 

 

ロペスは暗く深い雲に包まれたフィニッシュラインに単独登頂を果たし、「僕たちは今カルロスアレハンドロ、そしてヤコブスを失って5人しかいないけれど、残った全員が彼らぶんを埋める働きをしてくれた。本当に待ち望んでいた勝利だ」と、このブエルタで不運続きだったモビスターにクイーンステージのステージ優勝をプレゼント。自身にとってもブエルタでのステージ優勝は2017年第15ステージ以来4年ぶりだ。

 



ロペスから14秒遅れマイヨロホログリッチが入り、マス6秒遅れで、ベルナル8秒遅れでフィニッシュ。

 

最後の最後で踏み込んだログリッチ2分半という大きなリードを得てブエルタの最終難関山岳ステージを乗り切ることに。

「昨日全力を出したぶんキツいステージだったけれど、最後まで脚が残っていたのでよかった。モビスターのハイペースのおかげで予想していたアタック合戦にはならなかったんだ。難関山岳を無事に終えて嬉しいけれど、まだいくつか、特に土曜日のような気を抜けないステージが待っている。集中を切らさないようにしていきたい」とログリッチは話している。

マルタングロスシャートナーが大きく遅れ、ベルナルイェーツたちが総合成績を一つずつジャンプアップさせ、メインチェスは狙い通り総合10位浮上。力を尽くした新城幸也は133位でクイーンステージを乗り切った一方、49分近く遅れた

164 マシュー・ホームズ(27イギリス、ロット・スーダル)

はタイムアウト失格という審判判断が下されている。

 

 

ステージ18結果

① 174 ミゲルアンヘル・ロペス(27コロンビア、モビスター)総合3位   4:41:21

 

 1 プリモシュ・ログリッチ(31スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)総合1位   0:14       

③ 171 エンリク・マス(26スペイン、モビスター)総合2位          0:20         

④ 131 エガン・ベルナル(24コロンビア、イネオス)総合6位        0:22                          

 44 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン)総合4位        0:58            

⑥ 231 ダビ・デラクルス(32スペイン、UAE)                     

⑦ 45 ジーノ・マーダー(24スイス、バーレーン)総合10位                 

⑧ 141 ルイス・メインチェス(29南アフリカ、ワンティ)               

⑨ 6 セップ・クス(26アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)総合8位          1:06  

⑩ 138 アダム・イェーツ(29イギリス、イネオス)総合7位         1:07

 

18 81 ギヨーム・マルタン(28フランス、コフィディス)総合5位        4:23

27 51 フェリックス・グロスシャートナー(27オーストリア、ボーラ)総合9位   6:49 

     

133 42 新城幸也(36日本、バーレーン)                39:28       

 

 

 

マイヨロホ 個人総合成績

① 1 プリモシュ・ログリッチ(31スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)       73:24:25

 

② 171 エンリク・マス(26スペイン、モビスター)              02:30 

③ 174 ミゲルアンヘル・ロペス(27コロンビア、モビスター)        02:53 

④ 44 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン)            04:36 

⑤ 131 エガン・ベルナル(24コロンビア、イネオス)            04:43 ↑ 

⑥ 138 アダム・イェーツ(29イギリス、イネオス)            05:54 ↑

⑦ 6 セップ・クス(26アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)                      06:02 ↑     

⑧ 45 ジーノ・マーダー(24スイス、バーレーン)              07:48 ↑

⑨ 81 ギヨーム・マルタン(28フランス、コフィディス)             08:31 ↓

⑩ 141 ルイス・メインチェス(29南アフリカ、ワンティ)             09:02 ↑

 

 

 

マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)

① 91 ファビオ・ヤコブセン(24オランダ、クイックステップ)       250pts 

② 1 プリモシュ・ログリッチ(31スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)     162pts  

③ 238 マッテオ・トレンティン(32イタリア、UAE)           123pts  

 

 

マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)

① 197 マイケル・ストーラー(24オーストラリア、チームDSM)      59pts ↑

② 191 ロマン・バルデ(30フランス、チームDSM)         54pts  ↓ 

③ 1 プリモシュ・ログリッチ(31スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)     48pts ↑         

 

マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)

① 131 エガン・ベルナル(24コロンビア、イネオス)       73:29:08

② 45 ジーノ・マーダー(24スイス、バーレーン)                03:05

③ 215 フアン・ロペス(24スペイン、トレック)            13:20