酒列磯前神社(「さかつら・いそさきじんじゃ」と読む。難しい!)は、茨城県ひたちなか市にある古刹だ。酒の神様(少彦名命、「すくなひこなのみこと」)が御祭神と聞き、酒飲みの端くれとしては素通りできず参拝した。

酒好きにとって、もっとも有名な神社は、奈良県桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)だろう。こちらは、酒の二大神、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)と少彦名命が、揃って祀られている。

 

お酒に神様がいるのは、東洋も西洋も同じ。ワインの神様は有名なバッカスだ。(太陽神デウスと人間の間に生まれた子供)

 

農業生産力が乏しい時代に、穀物や果物をふんだんに使って造る酒は、とても贅沢なものであり、神様が宿る特別な飲み物という感覚があったのだろうか。

 

そして東西問わず、高度な技術を要する酒造りは、当初神職が担ったのが面白い。何せ、イエス・キリストが最後の晩餐で、「これは私の血だ」と弟子に分け与えたのがワインだ。

 

多くのフランスワインの起源は、修道院にあるそうだ。

ブドウ栽培、農業技術やワイン醸造技術は、修道院からフランス全土に拡がって行ったらしい。

 

かたや我が国。奈良時代は、造酒司(みきのつかさ)という役所に酒部という部署が有り、朝廷のための醸造を行った。平安時代に入ると、僧侶が寺院で酒を造り、酒造技術を発達させてゆく。これにより、下々のものまで酒を口に出来るようになってゆくのだ。

 

貴重な酒が出来上がれば、当然神様にお供えし、五穀豊穣に感謝し、来年もまた豊かな実りをお与えくださいと祈念する。(お神酒)

 

豊かになった今では、贅沢さえ言わなければ、いつでも好きな時に、好きなだけ酒を飲むことが出来る。オヤジは、いい年をしていまだに飲みすぎ、翌日頭痛に悩まされることも屡々。

(そうじゃありませんかご同輩)「反省だけならサルでも出来る」と、酒の神様から叱られますな。

なお、酒列磯前神社と兄弟神社の大洗磯前神社が、ひたちなか市の隣町、大洗にある。

神社の鳥居が、海岸の岩場にあり、ビュースポットとして有名だ。

訪れた日、たまたま海が荒れていて、波が岩場に打ち寄せ、砕ける様はなかなかの神々しさだった。