「黄色と黒は勇気のしるし 24時間戦えますか」で始まり、「ビジネスマン ビジネスマン ジャパニーズビジネスマン」で終わる「勇気のしるし」、栄養ドリンク「リゲイン」のテーマソングを憶えているだろうか。

エンゼルス時代の大谷選手のプレーを見る度に、オヤジはこの歌を思い出した。何しろハードな17連戦を1日も休まず、チームの大黒柱としてプレーし続けるのだから。

 

しかも打って、投げての二刀流。疲れた態度はおくびにも出さず、観客の声援に笑顔で応える姿には、感動を超えて頭が下がる思いだ。

 

これは、もちろん強靭な肉体の為せる業だが、自らの感情・思考・行動を調整する、「セルフコントロール能力」があって、はじめて可能になるのだと思う。

 

「勇気のしるし」がヒットしたのは、1980年代末のバブル絶頂期だった。世界中から「21世紀は日本の時代だ」などとおだてられ、日本人全体が少々調子に乗っていた時代だ。

 

会社員のみならず、多くの日本人が、株式、不動産、ゴルフ会員権などの投資に熱中した。今から思えば、人の考え方も含めて、少々歪んだ時代だった気がする。

 

ご存じの通り、そんな時代は長続きせず、1990年代に入るとバブルは崩壊。日本人は自信を喪失。日本経済は、平成の時代を通じ「失われた20年、30年」と呼ばれることになる。

 

時は流れて令和6年。金融・為替市場を見ると、ドル・円相場は34年ぶりの154円台。そして、日経ダウは、今年3月に4万円をつけた。時代は巡るじゃないが、いつか見た光景の気がする。

 

大谷翔平選手は、今年エンゼルスからドジャースに移籍した。「ワールドシリーズにチャレンジ出来るチームで戦いたい」という、自らの信念、目標に向けての決断だ。

 

しかし、開幕直後に長年信頼していた人間の裏切りという、精神的に極めてハードなスタートを強いられた。しかも、DHに専念とはいえ、肘の手術明けのシーズンなのだ。

 

普通の人間は、環境に毒され、自分自身を見失い、変に自信過剰になったり、不必要に縮こまって動きが取れなくなったりするものだ。

 

だが、彼は周囲で何が起ころうと、自身の精神的、肉体的コンディションを整え、自らの為すべきことに集中する。スタープレーヤーだが、当たり前にチームプレーに徹する。

 

政治的、経済的に、想定外のことが頻発し、先を読むのが大変難しい時代になった。

変化に驚き、慌てず、落ち着いて自身の為すべきことに集中する、大谷選手を見習いたいものだ。