豪徳寺の招き猫「たま」である。2年ほど前、散歩ついでに立ち寄った豪徳寺で頂いたものだ。

(一番小さな「豆」というサイズ)

 

机の脇の小物入れの上に置き、すっかりその存在を忘れていた。しかし、先日「お前何か忘れちゃいないか」と言いたげな視線を感じ、頂いた時の願い事がかなったことを想い出した。

遅れ馳せながら、豪徳寺にお礼参りに参上し、招福殿の奉納所にお納めしてきた。(本当に有難うございました)

 

縁日などで、小判を抱える招き猫をよく見かけるが、こちらは右手を上げるだけの姿だ。「人の縁は取り持つけれど、それを生かすかどうかは、自分の努力次第だよ」ということだそうな。

 

豪徳寺招き猫の由来は、江戸時代の初め、鷹狩りに出かけた彦根藩主の井伊直孝が、門前で手招きする猫に誘われて寺の中に入り、突然の雷雨を避けられたという逸話による。

 

招き猫発祥の地はそれ以外にもある。浅草の今戸神社もその一つだ。こちらは、老婆が手放した愛猫が夢枕にあらわれ、「私を人形にしたら福を授かる」と言われ、焼き物にして売るとバカ売れ、大いに財をなしたという話だ。(こちらは結構現金な話だ)

 

それ以外にも、江古田の戦いで敗走中の太田道灌が、猫に招かれ自性院に入り、戦況を盛り返したというエピソードもある。探せば日本全国至る所に、同様の話が残っているのかも知れない。

 

猫は可愛らしい。招き猫に限らず、マスコットやゆるキャラには、ぴったりはまる。

備中松山城の猫城主「さんじゅーろー」、和歌山電鐵やJR芸備線の猫駅長なども有名だ。

もちろん、彦根城「ひこにゃん」のモデルは豪徳寺の「たま」だ。

今や招き猫は、海外でもラッキーキャットで有名だ。この日も、日本土産を求めて授与所の前には、外国人観光客が列をなしていた。