※1990年以降参照

・桜花賞連対馬は15頭中10頭複勝圏(2007年以降参照)
前走2番人気以内なら8頭中6頭複勝圏。4着以下になった2頭は前走3角15番手で当日1角13番手以降。追込馬の延長という脚質面のストレス要因。
前走3角12番手以降かつ当日1角12番手以降で3着以内になった馬は3頭いるが、1頭は前走1番人気2着(10ホエールキャプチャ)、残る2頭は当日単勝1倍台前半の圧倒的実力馬(14ハープスター、09ブエナビスタ)で、3頭中2頭は当日人気を下回っているだけにストレスの厳しさを物語る成績。
前走追込の場合は15クルミナルや09レッドディザイアのように延長で前に行く形がベターで、当日好位を選択すればストレスの懸念を抑えられるが、当然緩い流れの方が前に行く負荷も少なく、この2頭の年の前半1000m通過は61秒超のスローペースだった。

前走3角10番手以内なら8頭中5頭複勝圏で人気薄での激走もあるように期待値は高めだが、4着以下になった3頭のうち2頭は前走逃げ。追込後もよくないが逃げた後もよくないということは単純に極端な脚質によるストレスに注意ということではある。
4着以下になったもう1頭、13アユサンは当日3番人気4着と人気なりではあるが、当日1000m通過が59.6秒の締まった流れで同馬に先着した3頭は桜花賞惨敗馬と別路線のフローラS組。心身疲労(鮮度)の影響が出やすいレース質だった。
アユサンは前走7番人気1着と人気薄激走後だったわけだが、決して人気薄だった馬が悪いわけではない。前走7番人気以下は4頭中3頭複勝圏という好走率の高さで、当日6番人気以下の3頭は全て3着以内になっている。この4頭は全て2走前3着以下で、うち3頭は3走前6着以下。近走成績がそれほど良くなかったから桜花賞では人気薄だったわけで、その反面蓄積疲労が少ないというM的な逆説を備えた馬たちだった。

ここでもう一度桜花賞連対馬15頭を振り返ってみると、当日4番人気以下だったのはその2走前3着以下の3頭で、3頭中3頭複勝圏ということになっている。何故人気がないのか、人気がないとはどういうことなのかを考えさせてくれるデータではある。
2走前4着以下なら4頭中3頭複勝圏、2走前1着なら7頭中4頭複勝圏で3着以内になった4頭中2頭は当日人気を下回っている。

総括すると極端な脚質、蓄積疲労ないし鮮度、心身疲労の影響が出にくいレース質あたりがこのステップが内在する問題ということになる。比較的一般的なストレス要因がフルに立ちはだかるという感じ。


・桜花賞3~5着馬は19頭中3頭複勝圏
3着以内になった3頭は前走3角12番手以内で当日1角7番手以内。桜花賞では追い込んで届かなかった馬が延長で好位に行く順ショックの形。この3頭は2走前か3走前には5番手以内の競馬をしていた。ある程度活性化されていてマイルGⅠの流れでは後方からになっていた馬が延長の流れ鈍化で前に行く形。桜花賞連対馬と比べて巻き返しになる分ショック絡みがベター

また3頭中2頭は2走前チューリップ賞3番人気5着で蓄積疲労が少なかった。一応桜花賞をそこそこ好走しているので蓄積疲労が少なければ好ましいわけだが、もう1頭の14ヌーヴォレコルトは2走前チューリップ賞4番人気2着と連続好走後。 同馬は3走前が前年の500万下。使い込まれていなかったりトップクラス経験が少なかったり、なんだかんだ蓄積ストレスの度合いがどのぐらいか、というのがポイントになる。あとは当日の(心身疲労が影響しにくい)レース質。


・桜花賞6着以下は41頭中3頭複勝圏
3着以内になったのは前走1番人気2頭と4番人気1頭。いずれも前走は人気を大きく下回っていてストレスが少なかった。前走5番人気以内なら13頭中3頭複勝圏。
3着以内になった3頭は2走前が重賞連対で、桜花賞ではそのストレスもあって凡走していた。そして3走前が500万下の13メイショウマンボを除く2頭は年明け2走のみ。鮮度が高かったり使い込まれていなかったり、消耗度が少ない方がベターか。
また2走前が1400mで桜花賞は延長臨戦だった13メイショウマンボ以外の2頭は2走前3角6番手以内で桜花賞では3角12番手以降。この2頭はオークスでは3角8番手以内に付けて巻き返している。マイルGⅠの忙しさに後方から競馬していた馬が延長で前に行って、という形は桜花賞3~5着馬と同様。メイショウマンボは桜花賞が延長臨戦で追走しやすかったこともあって前走3角9番手と後方すぎず、オークスでは3角7番手。2走前に活性化されているのは3頭に共通する事柄で、ここは押さえておきたい。流れ鈍化しがちな大幅延長で巻き返すわけだから当日追込よりは前に行く順ショック形の方がベターということだが、このあたりは流れ次第で、位置取りショック絡みなら違う形での好走があってもおかしくはない。
ただ当日1番人気2着の15ルージュバック以外の2頭は当日やや重馬場か1000m通過59.6秒というタフなレースになっていて、心身疲労の影響が出やすいレース質の方が大幅な巻き返しも利きやすい、言い換えればリズムが良い馬を逆転しやすいということにはなる。

晴れ、良馬場、1000m通過61.0秒という摩擦係数が低いレース質になった2009年は桜花賞1~3着馬がそのままオークスでも1~3着になるスライド決着だった。心身疲労の影響が出にくいレース質。


・フローラS連対馬は31頭中9頭複勝圏(00年以降参照)
前走2番人気以内なら13頭中7頭複勝圏。長い距離のGⅡなので心身疲労には注意したい。前走3番人気以下は18頭中2頭複勝圏とかなり相性が悪いが、前走4番人気2着の10アグネスワルツは前走が休み明けで年明け以降1走のみ。前走14番人気1着の03シンコールビーは2走前500万下7着、3走前500万下14着で年明け以降3走。ともに蓄積ストレスは至ってクリアで使い込まれてもいない。
前走2番人気以内の13頭も見てみると、3着以内になった7頭中4頭は2走前が500万下か未勝利戦。残る3頭は2走前重賞で、うち2頭が人気を下回って3着以下。2走前フラワーC3人2着の13エバーブロッサムは3走前が未勝利戦。いずれも蓄積疲労の少なさや鮮度の高さを踏まえており、7頭中5頭が2~4走前に新馬戦か未勝利戦に出走していた。トップクラスを使い込まれていてストレスを蓄積していると期待値が下がるというのは基本的な話だが、直近の疲労レベルが高いだけにより重要になっている。

フローラS連対から当日3着以内になった9頭中6頭は当日降雨のやや重馬場か1000m通過60秒未満。タフなレースになった方が王道路線の桜花賞組に対して別路線の鮮度がアドバンテージになる。当日スローでもよほどの量系なら好走例も。タフなレースなら中距離馬の体力が桜花賞組のマイラーに対して優位性があるということでもあるか。


・フローラS3着以下は35頭中2頭複勝圏
3着以内になった2頭は前走3着。前走6着以下からは14頭いて掲示板に載ったのは00レディミューズのみ。大半が当日超人気薄で能力やリズムに難があるということだが、そのレディミューズは前走2番人気9着で2走前が桜花賞2番人気6着。過度に使い込まれていたので凡走続きのノーストレスだったことが逆に幸いしたことになる。さらに当日やや重で逃げる位置取りショック。巻き返しにくさを象徴するショック材料。

視点を変えて前走3~5着の範囲を見てみると、21頭中2頭複勝圏で3着以内になった2頭はともに前走3番人気3着。人気を上回っていなかったのでストレスはそれほどでもなく、2走前か3走前が500万下でトップクラスを使い込まれてもいない。またこの2頭は1600m以下の重賞を経験しており、緩い中長距離しか経験がない馬は巻き返しにくいか。
そしてこの2頭は当日1角1番手と15番手。巻き返しにはよくある極端な脚質が嵌まる形で、当日逃げた馬は前走は逃げておらず、ショック付きなら当然好ましい。
あとはやはり鮮度が高い別路線組でなおかつ心身疲労レベルも高すぎないので、その優位性が活きるレース質、道悪や締まった流れがベターということになる。


・スイートピーS連対馬は21頭中2頭複勝圏
3着以内になった2頭はともに当日1000m通過が60秒未満。特に当日3番人気1着の06カワカミプリンセスの年の1000m通過58.1秒というのは1990年以降のオークスで最も速いラップ。タフな消耗戦になったことで心身疲労がある桜花賞連対馬(キストゥヘヴン、アドマイヤキッス)は伸びを欠いた。別路線で2走前500万下、3走前新馬戦と極めて鮮度が高いカワカミプリンセスが勝ち、2着には桜花賞大敗で疲労少ないフサイチパンドラ。オークスで別路線の優位性が活きる時を象徴するレースだったわけだが、同馬と07ラブカーナは阪神内回り1400mやローカル小回りを経験していた。OP特別の東京1800mという極めて緩いレースからの相手強化になるので、忙しくS質な経験を積んでおいた方が戸惑いにくくベターだろう。
また2頭は前走3角5番手と7番手。大幅延長だけに緩い条件を追い込んでいたようではストレスが懸念される。前走追込は避けておきたい。


・忘れな草賞連対馬は20頭中5頭複勝圏
前走2番人気以内なら11頭中4頭複勝圏。急坂阪神の長距離OPという条件だけにそれなりに心身疲労には注意。
前走3番人気以下から当日3着以内になった前走5番人気1着の98エリモエクセルは2走前6着で3走前ダート戦。蓄積ストレスや疲労軽減要素など、心身疲労懸念ステップではセオリーとも言えるチェックポイントには注意を払っておきたい。

前走1角3番手以内は8頭中1頭複勝圏で3着以内になった02ユウキャラットも2番人気3着と力を出し切っていない。緩い長距離OP特別を気分良く先行して好走していた場合、マイラーも参戦するオークスでは楽に先手を取れない恐れがあり、精神的負荷を受けやすい傾向にある。といって追込好走後の延長も好ましくなく、当日3着以内になった5頭中4頭は前走1角4~9番手の好位差しだった。
また3着以内になった5頭全てがローカル小回りやダート戦など忙しくS質な条件を経験していたというのは同じく緩いOP特別からの臨戦になるスイートピーS組と同様の傾向ということになる。