・きさらぎ賞連対馬は9頭中1頭複勝圏
唯一3着以内になったのが90ハクタイセイだが、この年はきさらぎ賞が阪神2000m施行。急坂2000m重賞勝ちとなると心身疲労が心配になるが、間隔が十分に開いていることで問題点が解消されていたことに。

広く単調な京都1800mで連対していた場合は9頭いて当日人気を上回った馬が1頭もいないように相性はイマイチ。L質な舞台から多頭数の小回り中山GⅠへと一気にS質へと転じる臨戦になるため、気分良く揉まれず逃げたり先行したりしていた馬は特に苦しく感じやすいだろう。追い込んでいた場合も活性化やストレスが懸念される。
なるべく忙しさを感じない形が好ましく、前走先行好位ぐらいから当日後方に回る形の位置取り、そして非量系がベターだと思われるが、よほど揉まれ強いタイプでなければ馬群で揉まれるなど精神的負荷が強くなることもできれば避けたい。ちなみに前走先行好位から当日追込に回ったような馬は1頭もいない。
(14トーセンスターダムは特に厳しい経験もなかった量系で、当日中枠から5番手に付け、流れの中で揉まれる形になって大敗)


・共同通信杯連対馬は12頭中5頭複勝圏
きさらぎ賞と1週違いの間隔で、同様に広くて単調な東京1800mからの臨戦。
3着以内になった5頭は前走2角5番手以内。当日は5頭全て1角8番手以降でうち4頭は1角13番手以降。やはり一気に流れが激化するだけに活性化されていて当日大胆に差し追込に回る形が精神的負荷が少なくてベターなのは確かだろう。
また5頭いずれもがC要素やS要素があって、馬群を厭わずアップ質に対応しやすいタイプであったことも見逃せない。特に5頭中4頭が当日1枠か2枠で、7枠だった12ゴールドシップも荒れ馬場を内から抜けてきたように、心身疲労レベル自体は高くないのでむしろ馬群を割れる性質を活かしやすい状態ということになるか。
(ドゥラメンテやイスラボニータなどは2000mの経験がなかったことが懸念されていた気がするけど、タイプと位置取りが噛み合ってさえいれば下手にカテゴリーストレスを溜めないて済んでいることが有利に働くこともあると。ここで言うカテゴリーは"中山"、"2000m"、"重賞"といった皐月賞に近い条件のこと。弥生賞を使うのは基本的にはカテゴリーストレスを溜めにいく行為)


・スプリングS連対馬は42頭中13頭複勝圏
1着馬は(6-1-2-12/21)で2着馬は(0-2-2-17/21)と、比較的はっきりとした差が付いている。2着馬からは皐月賞勝ち馬が出ていない。同じGⅡのトライアルではあるが、本番と同距離ではなくて距離が短い分カテゴリーストレスは抑えられていて、1着馬の方が心身疲労懸念がある弥生賞組とは対照的になっている。より勢いがある1着馬がベター。

3着以内になった13頭を見てみると、13頭中11頭が前走2番人気以内。相対的に懸念が小さいとはいえ中山のGⅡトライアルというハードな条件だけに、人気に応えて連対していた方が心身疲労の不安が小さい。
前走3番人気以下だった2頭のうち15キタサンブラックは2走前が500万下で3走前が新馬戦。06メイショウサムソンは2走前が1800mのきさらぎ賞で1番人気2着。蓄積疲労や生涯鮮度がチェックポイントになるのはいつものこと。メイショウサムソンは朝日杯にも弥生賞にも出走していなくて、2000mの経験すらなかった。その分生涯鮮度、カテゴリー鮮度が保存されていたことになる。

脚質面では13頭中12頭が前走4角7番手以内。前走4角14番手の02タニノギムレットは当日1番人気3着と人気を裏切っているように、追込好走後の延長がよくないのは基本ではある。前走逃げていた馬も3頭いて好走したのは当日も逃げたミホノブルボンのみ。極端な脚質ではなかった方が無難だろう。
当日の位置取りについては延長臨戦になる分弥生賞組のように追込に回る位置取りが嵌まりやすいということもないが、当日1角3番手以内で連対したのはミホノブルボンだけで、心身疲労はあるのであまり流れの中に入りすぎず、軽く前走より控えるか好位ぐらいからで十分ということになっている。

また2走前を見てみると前年の朝日杯だった3頭を含めて13頭全てが2走前も連対していた。13頭中11頭が前走か2走前を勝っていて、13頭中12頭は3走前も連対していた。
かなりの好調さまたは継続力が問われていて、蓄積疲労やカテゴリーストレスがきつすぎないレベルで高揚感のあるステップであることが好ましい。ちなみに2走前が2000mの重賞だった馬は1頭もいない。このあたりも蓄積疲労や生涯鮮度を慎重にケアしたい弥生賞連対馬とは毛色が違っている。本番より200m短くて勢い重視なスプリングSと、本番と同距離で心身疲労重視な弥生賞という構図。


・スプリングS3~5着馬は41頭中3頭複勝圏
勢い重視な傾向とあって好走率がガクンと落ちている。とはいえ3着以内になったのは当日9番人気1頭、10番人気2頭なので侮れないが。
3着以内になった3頭中2頭が2走前に2月の重賞を連対していて、前走は3番人気以内で人気を下回っていた。やはりリズムに躍動感があった方がベターだろう。2走前に中山2000mの京成杯を連対していた馬は2頭とも当日凡走しているが。残る1頭の04ダイワメジャーは前走11番人気3着とかなりの激走後だったが、2走前がダートの500万下で3走前が未勝利戦と、異端度が高くて鮮度に溢れた臨戦過程だった。いつものことだが直近の心身疲労を和らげるには2走前以前がカギになる。
好走した3頭のデータからは一定以上心身疲労レベルがクリアであること、リズムや鮮度に好感が持てることが好ましいということになりそうか。前走が前年以来の休み明け(蓄積疲労やスプリングS時点での疲労が少ない)の場合は勝っておきたいのがスプリングS組の傾向だと言える。


・スプリングS6着以下は53頭中2頭複勝圏
超人気薄ばかりだがさらに好走率が下がる。3着以内になった2頭は前走2番人気7着と4番人気8着。人気を裏切っていてストレスが少なかったのは3~5着馬と同様。そして2走前は2頭とも京成杯1着。3~5着馬の方では2走前京成杯連対馬が凡走に終わっていたが、本番と同条件の重賞を好走したというカテゴリーストレスを受ける分これぐらい惨敗していた方がストレスが抜け切って好ましいと言えるか。
またこの2頭は京成杯では3角5番手以内で、前走は京成杯より後ろの位置になって凡走していた。いわゆるバウンド延長ショックで、さらに当日前に行く位置取りショックを仕掛けた07サンツェッペリンが15番人気2着と大激走したのも頷ける。サンツェッペリンが位置取りショックなら99オースミブライトは前走が不良馬場で当日良馬場。何かしらショック材料も要求されるとなれば相性が極めて悪いステップであることも仕方ないだろう。

2走前京成杯1着で前走スプリングSを負けていて当日も凡走した2頭の方は15ベルーフが京成杯3角13番手。13フェイムゲームが3角7番手。布石(活性化)がイマイチだし、フェイムゲームの場合は前走6番人気4着と心身疲労も懸念されるレベルにあった。

2走前きさらぎ賞1着で当日5番人気4着の08レインボーペガサスなどもいるように、別にバウンド延長などである必要はない。リズムとストレスのバランス、何かしらのショック材料が好ましいという意味のデータで。強い材料がなければひと押しには欠くか。(再現性などまずないので、データは形ではなく意味で捉えておかないと今までにないパターン、例外なんかには対応できなくなる…というのはよく言われるところ)


・若葉S連対馬は26頭中6頭複勝圏(阪神開催参照)
3着以内になった6頭中5頭が前走1番人気。OP特別とはいえ間隔が詰まる臨戦かつ急坂2000mと肉体的には疲労が残りやすい設定なので人気に応えていた方が無難だろう。
唯一前走1番人気ではなく4番人気2着だった09トライアンフマーチは2走前が未勝利戦と鮮度が高かった。もはやおなじみの光景だが、これは裏返すと直近疲労に注意なデータであるとも言える。またそれ以外の5頭は2走前にOP特別か重賞を3番人気以内で連対していた。年明け以降の重賞連対が2頭いるように、OP特別の前哨戦である分だけ蓄積疲労のハードルは下がっていて、既に実績がある実力馬にとっては無難なステップとなっている。
さらに6頭全てが2走前も連対しているように好調で勢いに乗っている馬が好ましいとも言えるが、2走前が下級条件の2000m以上だった馬は1頭もおらず、レベルが低くて流れが緩いレースを経由していると活性化不足の懸念がある。 2走前すみれSも4頭いて全滅。緩い流れを経由するのはいただけない。忙しさやタフさを補完している臨戦過程がベター。

そして6頭中5頭が前走3角5番手以内。OP特別からの相手強化、流れ激化となるだけに活性化レベルや脚質ストレスには注意。なおかつ6頭中4頭が当日1角13番手以降と、大胆に前走より控える位置取りショックが施されている。残る2頭は逆に当日逃げる位置取りショックだったのだが、スペシャルウィーク産駒(14ウインフルブルーム)とブライアンズタイム産駒(07ヴィクトリー)でともにS要素が強く、流れの中に入っていって持ち前のタフさを遺憾なく発揮した形。
総じて当日極端な戦法を取る位置取りショックが嵌まりやすく、それを好むタイプが多いS系は破壊力を増すということだが、臨戦過程においてもS質補完(活性化)が要求されているようにS質要求度が高いステップであると言えそうか。


・前走が2月1日以前だった馬は12頭中1頭複勝圏
ほぼ休み明けという臨戦。唯一3着以内になったのが11番人気なので穴で怖いが、何を隠そうのちのダービー馬10エイシンフラッシュではある。同馬は前走京成杯1番人気1着。休み明けなら本番と同条件の重賞を勝っていても心身疲労の懸念は小さいだろう。そして前走1角3番手から当日1角11番手。休み明けでいきなり中山小回りGⅠの流れを体験することになるので、活性化と当日の位置取りについては象徴的なモデルケースと言えそう。

とにかく休み明けなだけにいきなりの忙しさに参ってしまわない程度にタイプ、経験、位置取りなどからタフさを補っておきたいところ。短距離経験しかないような馬も肉体的な対応力に疑問符が付く。


・前走500万下は15頭中1頭複勝圏
鮮度については申し分ないので前走勝っていても特に問題はないだろう。唯一当日1桁人気の94サクラスーパーオーが9番人気2着と好走している。同馬は前走1600mを4角8番手から2番人気1着。ある程度の機動力や活性化を踏まえつつ、当日は4角14番手と一気の相手強化で追込に徹した。2走前には中山2000mで連対していて肉体面での保証もなされていた。

500万下の中長距離戦からでは経験してきた流れが緩すぎるのでよほど活性化やショックが噛み合わないと厳しそうで、疲労も気にしないわけにはいかない。17番人気7着になった馬も前走は1600mを3角2番手1着で3走前がダート戦。活性化と肉体的なタフさの補完が材料となるか。


・すみれS連対馬は11頭出走して複勝圏ゼロ
長距離のOP特別となるとやはり問題は活性化と疲労。唯一当日5着以内になった前走1角3番手で前走1番人気1着。C要素が強いトニービン産駒で、短縮適性や疲労耐久性において不安が少ないタイプではあったが、当日4番人気4着なので可も不可もない内容。
活性化、ショック、タイプなどがよほど噛み合えばというところだが、S質が濃い皐月賞という舞台においては基本的にはそぐわないステップだと言える。