投資信託が「つみたてNISA」の普及の進展につれて、日本でもようやく生活者に身近になって来たなと感じます。「つみたてNISA」は厳格な商品登録要件が課されており、殊にコスト面では販売手数料はノーロードが必須、信託報酬も上限水準が設定されて、顧客にフェアな仕組みとなるよう金融庁も制度設計にこだわりました。しかし「つみたてNISA」経由以外ではそうした制約はなく、販売会社ごとに販売手数料が違う、どこで買うかによって販売手数料をとられたりノーロードだったり。金融機関によっては、同じ商品が「つみたてNISA」ではノーロードでも課税口座経由だと販売手数料が課金される、といったケースまであるのです。

 金融商品は一般消費財とは違います。たとえば医療サービスと同様に顧客の公平性が何より大事な社会公共性に立脚しているわけで、どこで買ったら安くなるとか、こっちだと高くなるなど購入条件の相違はあってはいけないはずです。そもそも販売手数料はサービス対価としての合理的説明が成り立つのか、との疑義からネット証券などは軒並み販売手数料が廃止されたのでしょう。同じ運用会社が運用する同一指標のインデックスファンドも、信託報酬の高いものから安いものまで何本も存在していて、その差は0.5%くらいあるケースもあります。これでは気付いた人だけ得をして、知らない人が損をする。顧客の公平性はすっかり損なわれています。

 「顧客本位の業務運営」は今や金融業界の普遍的行動規範ですが、こうした一物多価では「顧客の最善の利益追求」は到底おぼつきません。セゾン投信は当社の商品が直販経由でも外部販売機関経由でも、「つみたてNISA」でも「イデコ」でも、すべて同一コスト条件での取り扱いを実践することで、一物一価をフィデューシャリーデューティにおける旨として貫いております。