市井のジャーナリズム

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いにしへのひじりの御代の政をも忘れ、民の愁、 国のそこなはるゝをも知らず、万にきよらを尽していみじと思ひ、所 せきさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ。

世の中の様々なことを、私なりに簡単に考察していこうと思います。

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前回から再び間が開いてしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私は、気候的に寒さも徐々に脱し非常に過ごしやすい半面、花粉症に悩まされる日々を過ごしております。


さて、今回は再びメディアを賑わせている、安部政権のTPP交渉参加に関連した話をしたいと思います。もちろん、テレビや新聞に限らず、ネットの中でも激論が飛び交っているネタでありますが、私なりの見方・見解を示したいと思います。


『TPP交渉参加!』と聞いて、しばしば『安部首相に失望した!』などとマイナスなコメントがありますが、本当にそうなのでしょうか。私の見解を見て、もちろん反対の意見もあることも重々承知の上ですが、ここで一度立ち止まって冷静にこの問題を見るきっかけとなればと思います。


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まず、これを見なければ全ては始まらないと思います。以下は、安部首相のTPP交渉参加に関しての記者会見映像と、その記者会見の内容を書き起した記事になります。その中で、私が気になった点を抜き出しておきたいと思います。

【H25/3/15 安倍総理 TPP交渉参加表明記者会見】-YouTubeニコニコ動画
【安倍首相記者会見・抄録(1) - 2013/03/15, MSN産経】
【安倍首相記者会見・抄録(2) - 2013/03/15, MSN産経】
【安部首相記者会見・抄録(3) - 2013/03/15, MSN産経】
【安部首相記者会見・抄録(4) - 2013/03/15, MSN産経】

(前略)
そしていま日本は大きな壁にぶつかっています。少子高齢化、長引くデフレ、わが国もいつしか内向き志向が強まってしまったのではないでしょうか。その間に世界の国々は海外の成長を取り込むべく、開放経済へとダイナミックにかじを切っている。アメリカと欧州はお互いの経済連携協定の交渉に向けて動き出した。韓国もアメリカやEUと自由貿易協定を結ぶなどアジアの新興国も次々と開放経済に転換している。日本だけが内向きになってしまったら、成長の可能性もありません。企業もそんな日本に投資することはないでしょう。優秀な人材も集まりません。
(中略)
残念ながらTPP交渉はすでに開始から2年が経過しています。すでに合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは厳然たる事実です。残されている時間は決して長くありません。だからこそ1日も早く交渉に参加しなければならないと私は考えました。
(中略)
 一方でTPPにさまざまな懸念を頂く方々がいらっしゃるのは当然です。だからこそ、先の衆院選で私たち自民党は、聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉参加に反対すると明確にしました。その他にも国民皆保険制度を守るなど5つの判断基準を掲げています。私たちは国民との約束は必ず守ります。そのため先般オバマ大統領と直接会談し、TPPは聖域なき関税撤廃を前提としないことを確認致しました。その他の5つの判断基準についても交渉の中でしっかり守っていく決意です。
(後略)


安部首相は農業についても語っておりますが、今回は敢えてカットします。気になる方は、上のリンクより映像や記事を確認してみてください。


まず、安部首相は『日本のデフレが全ての悪の根源だ!』と言って、それを解決することを主張し政権奪還や総理への復帰を果たしたにも関わらず、『日本は内向き志向がいけない!』と述べているように感じられ、何とも矛盾したことを話しているなという事が1点。


また、『優秀な人材も集まりません』と述べていますが、これは外国から日本に優秀な人材が集まらない、ということを指しているのでしょうか。そうなれば、日本人の雇用は減り安部首相の行おうとするデフレ脱却、それに伴う雇用の改善とは相反するような気もします。


さらに、すでに決められたルールについて覆すことは困難であることを認めておきながら、一刻も早く交渉に参加するという発言も矛盾しています。事実、『一刻も早く交渉に参加!』とは言っていますが、TPPが今年中に妥結されるという仮定ならば、日本が交渉の席に着けるのは一回だけなのです(詳しい理由は後述)。


何より、この記者会見の見ていてある程度の見識がある方ならば気付かれると思いますが、正直新自由主義経済学を信奉する方々に受けが良い内容になっていると感じます。安部政権が掲げるデフレ脱却策の2つの矢である『金融緩和』『財政出動』のセットは政府を大きくするため、『小さな政府』志向の新自由主義経済学とは水と油のような関係です。


あまりにも矛盾が過ぎるため、今回の記者会見を見て『やっぱり、安部は新自由主義者なんだ!』と思われた方もいるでしょう。しかしながら、もう一方の見方も可能でしょう。それは、安部首相が国内の新自由主義者への一種のパフォーマンスを行ったというケース


事実、自民党内にも新自由主義は少なからずおり、みんなの党や維新の党は新自由主義的なポジションを取っています。内閣の中枢にも、竹中平蔵先生や楽天の三木谷社長もいます。そうした方々を抱きこむ、或いは彼らのガス抜きを目的としているのではないか、と考えることもできるでしょう。


実際に、安部首相が新自由主義者なのか、それとも単に自身の周りにいる新自由主義者たちのガス抜きパフォーマンスなのかを確かめるすべはありません。ですが、今回の交渉参加を受けて『安部首相許すまじ!』とするのは性急過ぎるかと思います。(第三の可能性として、新自由主義を信奉する経済官僚が用意した文書をそのまんま読んだ、ということも考えられなくもないですが・・・)


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では、今後のTPPに関するスケジュールはどのようになるのか。それは、以下の順番で行われます。


1.アメリカ議会でのTPPへの日本参加の是非決議

2.TPP加盟国間でのTPPへの日本参加の是非決議

3.TPP交渉・妥結

4.日本の国会での条約議決


まず始めに、日本がTPPに正式に参加するためには4つのステップを踏む必要があるということを認識してください。その1番目として、まずはアメリカ議会が日本がTPPに加盟しても良いかどうかを決議し、可決される必要があります。いわゆる90日ルールというもので、アメリカの議会が90日間掛けて日本がTPPの交渉に参加しても良いかどうかを議論し、その是非を決定します。


この90日ルールを考えれば、日本が多国間でのTPP交渉に望めるのは今から約3ヶ月後の6月中頃でしょうから、今年中にTPPを妥結するというのならば『一刻も早く交渉に参加し、ルール作りを・・・』というのは難しい話でしょう。もちろん、議論を先延ばしすることも可能ですが、そうなるとTPP成立を大きく後退させることになるので、TPP反対派にとっては問題もないでしょう。


さらに言えば、アメリカも一枚岩ではありません。聞いたところによると、アメリカのリベラル系(左派)メディアは概ねTPPに反対だそうですし、アメリカ自動車メーカー団体は日本の参加に反対しているそうです。そうした方々を後ろ盾に持つアメリカの議員も少なくないでしょうし、アメリカ議会も荒れることは必死でしょう。よって、1番目の段階で『日本来るな!』と突っ返される可能性も十分にあり得ます。


また、仮にアメリカ議会で日本のTPP交渉参加が認められたとしても、2番目のステップとして他のTPP加盟国が日本の交渉参加の是非を議論することになります。つまり、アメリカ以外の他国に認められない可能性もあります。日本政府は、先の記者会見でも安部首相が述べていますが、TPPに参加するための6条件を掲げています(前回のブログ参照)。これを受けて、『そんな事を言われたら議論が進まないから、日本は参加しなくてもいいよ!』と加盟国のいずれかに言われることもあり得ます。


とはいえ、日本が交渉の席に着けないというのは、アメリカにとって美味しくはありません。何せ、日本とアメリカのGDPだけで加盟国全体のGDPの約9割を持つとされています。つまり、市場としては他の国よりも日本の市場のほうが圧倒的に魅力的なのです。そこでアメリカは、他国に日本のTPP交渉参加を強く求めることになるでしょう。


結果として、1番目と2番目のステップを通過し3番目のステップに移行するわけですが、そこまで来ると日本の示す6条件を飲まないわけにはいかなくなるでしょう。何せ、安部首相も述べていますがオバマ大統領との共同声明を発表しているのですから。仮に、先の6条件が交渉の場で認められないとなれば、日本にとっても言い訳が立ちます。『いや、日本はアメリカと共同声明出したでしょう?それを承知で交渉に参加させてくれたんじゃないの?それを反故にするなら、日本が出て行ってもあなたたちは日本を非難できませんよ』と。


しかしながら、その6条件を認めるか否かでTPP交渉は揉めに揉めることでしょう。結果として、今年中でのTPP妥結は難しくなり、TPPは長期に渡る交渉へと突入していくでしょう。そして、仮に何年後かでTPPが妥結したとしましょう。そうなった時、TPPは既に形骸化しており批准しても問題ないのではないでしょうか。


それでも『TPP気に食わない!』というのならば、4番目のステップで日本の国会で否決すれば良いだけの話です。それこそ、地元の議員に意見を伝えたり、選挙があればTPP反対派に投票するなど、様々な手段は取れるかと思います。


とまぁ、よくよく考えてみれば、日本がTPPに参加しない可能性は結構あるのです。もちろん、政治家自身がそのチャンスを逃す可能性はありますが、そうしたときは逆に日本国民から選挙によって落とされるという、言い方は悪いですが罰が下るシステムになっているので、それを国民が行使すれば良いのではないでしょうか。


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前述を大まかにまとめると、

・TPP交渉参加に関して、現時点で安部政権を非難できるものではない
・TPPは、何だかんだで参加しない余地がある

といったところでしょうか。


要は、今後の展開を良く見ておきましょう、ということです(毎度のことのようですが・・・)。TPP反対派として、自分自身も不安感が無いかといえば少しはあります。ですが、先ほど述べたように日本にはカードがまだあるのです。


民主党のように、カードがあるにも関わらずそれを切らないということがあれば、それは非難しましょう。ですが、今は民主党ほどに酷くはないはずでしょう。自民党政権が民主党政権と同程度ならば・・・日本の政治はそれまでと諦めるしかありませんね(笑)。


ということで、今回のブログはこれで終わります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。