住宅に使われる国内の木材とは2 | 200年住宅のススメ

住宅に使われる国内の木材とは2

広葉樹では、
欅(ケヤキ)
日本ではもっとも重要な広葉樹材の一つで、和風の家具を中心として使うことがブームとなっている感があります。全国に造林されていますが、北海道には分布していません。比較的低い処に生育しているので、目に触れ易く、東京都内でも並木として植えられることがあり、府中のケヤキ並木などは有名です。需要が多いため、最近は南洋ケヤキなどといって安い南洋材をケヤキらしく見せて販売しています。年輪の境に大きい道管が環状に配列しているため、年輪がはっきりと見え、肌目が粗くなっています。このような組織のため、成長がよいと年輪幅が広くなり、比重が高く重硬になり、木材の表面は光沢が目立つようになります。成長が悪いとちょうどその逆になり、木材は軽軟になり、光沢が少なくなります。大径になったケヤキには、こぶがあったりするため、木材の中の繊維の配列が不規則になりいろいろな形の「もく」が現れます。美しい「もく」があると、その化粧的な価値が高くなり高価になります。

樟(クスノキ)
本州中南部から四国、九州さらに海外では台湾や中国に分布しています。木材および葉から樟脳油(しょうのうゆ)を採取するために造林されています。樟脳は衣服の防虫剤として広く知られ、昔の箪笥の匂いの元でした。用途としては家具や社寺などなどの建築部材、楽器、箱、彫刻、木魚などに使われます。

桜(サクラ)
ヤマザクラは本州、四国、九州、朝鮮にも分布します。サクラ類には、本州中部以北、北海道、南千島、サハリン、中国東北部、シベリアなどに分布するシウリザクラ、北海道、本州、四国、九州に分布するウワミズザクラをはじめとして、多数の種類、品種があり、木材として利用される量は少なく、貴重な材料となります。ヤマザクラの樹皮の内側からは桜皮と呼ばれる生薬がとれ、煎じて咳の薬としたり、鎮咳薬としても使われます。マカンバあるいはミズメなどのカンバ類の木材のことをサクラあるいはカバザクラ、ミズメザクラと呼んで、あたかもサクラ類の木材であるようにして明治時代から取り扱っていますが、実はカンバ類は色がやや似ている程度で、材面はずっと均一で変化がありませんが、サクラ類はより不均一な材面をもっているため、装飾的な用途により適しているといえます。

栗(クリ)
北海道南部から本州、四国、九州に分布しています。福島、宮城、岩手、島根県などには特に多いとされています。主には食用のクリを採取するために植栽されていますが、建築用木材としても水に強く、硬くて強度があり、しかも耐久性が高いので高く評価されています。柱がクリで建てられている建物などもありますし、水に強いという特性から土台などにもよく使われています。

桐(キリ)
野生のものはなく、北海道南部から南の各地に植栽されています。有名な産地としては福島の会津桐、岩手の南部桐や新潟、茨城などです。桐は高い寸法安定性があり、家具などによく使われます。婚礼家具の代表と言えばやはり桐の箪笥という所でしょうか。かつては「娘が生まれたら、キリを植えて嫁入りのときに伐って箪笥をつくってやる」というようなことも行われていました。そのくらい成長は早く、短期間で木材が得られる樹種でもあります。

楢(ナラ)ミズナラ
北海道、本州、四国、九州、さらにサハリン、南千島、朝鮮などに広く分布し、日本の代表的な産地は北海道です。広葉樹材としては日本のみでなく、ヨーロッパにおいても代表的なもので、フランスのルーブル博物館の展示品の家具のなかには、ヨーロッパ産のミズナラの木材が使われているものがあります。最近日本においても住宅様式の欧風化と本物指向に伴ってミズナラのもつ木材の味わいが見直されるようになり、ミズナラの家具の人気が高くなっているようです。ミズナラの家具はヨーロッパでは高級用材として珍重され、北海道からも厚板に製材して古くから輸出されています。木材の少ない日本から海外へ輸出された珍しい例です。

桂(カツラ)
北海道、本州、四国、九州などに分布していますが最近少なくなってきています。軽軟で、加工がし易いので、家具用材、とくに引き出しの側板としては定評があります。しかし、最近生産量が減り、需要が追い付かなくなってきたため、値段の安い南洋材の中から材質が比較的似ているようなものをナンヨウカツラといった名前で代用することが多くなっています。

楡(ニレ)ハルニレ、アカダモ
北海道に多く、北海道のイメージを現すときにニレとかエルムという名でこの木のが使われています。同じ仲間にはこのハルニレのほかにアキニレとオヒョウニレがあります。幹にコブのあるような場合には、美しい杢(モク)が材面にあらわれ、化粧的な価値が高くなり、その杢のあらわれ方によって色々な名前が付けられています。

掬(ブナ)
北海道南部から本州、四国、九州に分布しています。かつてブナ類は良質材とはされていませんでしたが、蓄積が多く、利用技術の開発が精力的に進められた結果、広く使われるようになりました。板目面ではゴマのような濃い色の点となり、柾目面では帯状の模様(とらふ)となります。保存性が低く、伐採後直ぐに薬剤処理をしないと、変色や腐朽をおこし易いのが難点です。また防腐剤を注入しにくく、鉄道の枕木などに使用するときは、表面に刃物ですじをつけて注入したりします。また、乾燥によって狂いが出易い樹種です。特性としては曲木にしやすい性質があり、曲木家具の代表的な樹種になります。日本のブナは家具として大量に用いられて現在は枯渇してしまい、熱帯材で代替しようとしていますが、今でも曲木部分についてはブナが多く使われています。

椎(シイ) コジイ、スダジイ、
上記の木材は似ているために同じようにシイノキとして扱われていることが多いですが、コジイは本州(関東以西)、四国、九州、沖縄、台湾、中国中南部などに分布しており、照葉樹林の代表的な樹種とされています。スダジイは本州の福島県および新潟県以南、四国、九州、沖縄、済州島などに分布しています。

ちなみに、照葉樹林(しょうようじゅりん、laurel forest)とは、森林の群系の一種で、温帯に成立する常緑広葉樹林の一つの型を指す。構成樹種に葉の表面の照りが強い樹木が多いのでその名がある。

木材の種類については(財)日本木材総合情報センターWEBサイトを参考とさせて頂きました。

http://ameblo.jp/ykawakami/page-6.html#main 参照