木材について | 200年住宅のススメ

木材について

木材についてもう少し詳しく書くと、木材の組織は外側から樹皮、形成層、辺材、心材、樹心と分類され、住宅に使用する際にはなるべく乾燥したものを用いたほうが良く、ただちに荷重を受ける場合の平均含水率は20%以下にする必要があります。乾燥の目的は強度的な機械的強さの増進以外にも重量の軽減、使用後の収縮、干割れ、反り、狂いの防止、腐朽の防止、塗料、注入剤の効果増大などがあげられます。木材の強度は含水率とヤング係数を用いて判断していきます。

含水率に関しての強度の変化は下記の図のように30%を境に30%より大きな場合の強度はほぼ一定となり、含水率が30%以下に下がって行く場合は乾燥とともに強度は増大していきます。

構造用の木材はなるべく乾燥したものを用いたほうが良く、ただちに荷重を受ける場合では平均含水率は20%以下としなければなりません。乾燥の目的は重量の軽減、機械的強さの増進、使用後の収縮、干割れ、反り、狂いの防止、腐朽の防止、塗料、注入剤の効果増大などがあげられます。
木材の強度は許容応力度として設計に用いる場合はヤング係数を使用する事が多く、木材の繊維方向のヤング係数は鋼材のおよそ1/20程度となります。

* 許容応力度とは部材が破壊されない安全な強度の事で、圧縮や引っぱり、曲げ、せん断やめり込みなどについて調べて得れた数値を指す。住宅などの構造物は、耐用期間中に予想される様々な地震や風圧、水圧、土圧など外力に対し、構造物の各部材に抵抗する力が生じます。この抵抗する力に対して、部材には応力度が発生することになり、この応力度が定められた数値を超えないように定められた構造計算上の限界点を「許容応力度」といい、2006年6月の建築基準法の改正で許容応力度計算に関する荷重や外力によって生じる力や層間変形角、保有水平耐力の計算方法などの規定の見直しが行われました。


また強度は含水率にとよっても変化し、含水率が繊維飽和点(含水率約30%より大きな場合の強度はほぼ一定であるが、含水率が繊維飽和点以下の場合の強度は乾燥とともに増大して行く特性があります。

木材の強度的な欠点と考えられるのは節、丸身、繊維の傾斜(目切れなど)、割れ、曲がり、ねじれ、入皮(材中に樹皮が入りこんだもの)、あて(色が濃く繊維素が少ない異常生長部分をいう)、かなすじ(材中に鉱物性結晶が沈積したもの)などがある、特に節による影響は最も大きい。

含水状態は下記のように区分され、

飽和含水状態――含水率30%以上。細胞腔には自由水、細胞膜には結合水が満たされた状態

繊維飽和点――含水率約30%、細胞腔には水がなく、細胞膜は飽水の状態
気乾状態――含水率13~17%、細胞膜に大気中で乾燥しない若干の水を残した状態

全(絶)乾状態――含水率0%、細胞腔・細胞膜ともに水はない

含水率による伸縮については含水率が繊維飽和点以上では伸縮は起こらないが、繊維飽和点未満では含水率の増減にほぼ比例して伸縮します。また、比重の大きい材ほど細胞膜も厚く容積変化が大きく、部位ごとの伸縮では樹幹(繊維)方向の伸縮が最も小さく最大で0.1~0.3%程度、年輪の半径方向(まさ目)  
は樹幹方向の5~10倍、年輪の円周方向(板目)は樹幹方向の10~20倍も伸縮します。

古民家などの木造住宅の骨組みは木で出来ています。木の良さは、たとえ伐採されて木としては生きていないとしても湿気を吸ったり吐いたりすることや、伐採されてから木材が乾燥していく事で強度が増すなどの特性がありますが、欠点は腐朽です。木材は腐朽菌(ふきゅうきん)やキノコが繁殖することや、バクテリアなどに分解される事で腐朽(ふきゅう)したり、シロアリなどの食害により長持ちしないと思われるユーザーは多いのですが、時間が経過するだけで木材は腐って行くのではなく、腐朽菌や昆虫等が木材を腐朽させる条件としては、空気(酸素)、湿気(水分)、温度、栄養が必要となり、どの因子が欠落しても木材の腐朽は進まないのです。という事はどれかをカットすれば木は朽ちる事なく使用する事が出来ます。栄養は木そのものが栄養源となるのでなくす事は出来ないため、実際は空気、湿気、温度をどう管理していくかになります。また、木材の腐朽の進み具合は、樹種や使用環境によって大きく異なります。腐朽の進まない樹種としては、ヒノキやクリ、ケヤキなどが有名です。
使用環境によって例えば室内では水分が、水中では空気(酸素)が供給されにくいため、木の腐朽は進みません。ただ水中でもフナクイムシ(船食虫)という二枚貝の仲間が付着すれば腐朽してしまいます。

建物でも床下などの地面と接する場所や外壁など雨で直接濡れる部分などは腐朽しやすい場所ですし、キッチンやお風呂などの水回りは水道管が結露したり、経年変化などで漏水を起こしたりして腐朽が急激に進む可能性があります。

腐朽菌繁殖の条件は
1、適当な温度(20~30℃、25℃前後最適である)
2、高い湿気(相対湿度は高いほどよい、木材の含水率は20%以上、50~100%最適である) 
3、空気の供給
4、栄養分

腐朽しないような防腐の方法は

湿気を帯びない、気乾状態まで良く乾燥させる 
水中に浸せきする=空気を遮断するなど 
住宅ではクレオソート油などの防腐剤を塗布する事で腐朽しない対策がとられます。

建物に使われている構造材が腐朽すると、特に地震時などには建物が非常に危険になるおそれが大きく、注意が必要です。建物の腐朽には湿気(水分)の存在が大きく関係していて、一度湿るといつまでも湿ったままになっている部分にある木材が腐朽しやすくなります。

このような場所は、日当たりや風通しの悪い廊下や建物の北側や、雨にさらされる部分外壁の地面に近い部分や、雨もりを起こしやすい屋根裏や外壁、それに水回りや外壁の内部などの結露しやすい部分になります。 住宅を長持ちさせるには、

床下の高さを確保して床下などの湿気やすい場所の風通しを良くしたり、
敷地内の排水を良くする。

土台などには、耐久性の高いヒノキ、ヒバの芯持ち材などを使用する。

基礎の高さを高くすることにより、土台および床組などの木材を地盤から離し吸湿を防ぎ、また、こうすることにより床下換気も促進され防蟻対策にもなる。

外壁をモルタル塗とりなどとする場合は、下地に防水紙等を用いる。

屋根の妻壁部分に換気口を設けて小屋組みの換気をよくする。

台所や浴室等のタイル張り、石張り、モルタル塗壁およびモルタル塗にした外壁などでは、一度水分が壁体内部に浸入した場合、乾燥が非常に遅くなるので壁体内の換気が十分に行えるような構造にして、木材の乾燥をはかることが大切です。

http://ameblo.jp/ykawakami/page-7.html#main 参照