KILLING FIELD 戦場の記憶 第2話 「希望」 | 音楽ライターさんの片手間ブログ

KILLING FIELD 戦場の記憶 第2話 「希望」

WISH


誰かが言っていた 本当の生は最も死に近い場所にあると

誰かが言っていた 腑抜けきった平和でもいい

人間らしく生き そして死んでいけるならと


戦場に無神論者はいない 本当のことだ

ドッグタッグが守り神になり

ヌードモデルもここではマリア様扱いだ


皆 少しずつ狂ってきている

このままでは帰郷してもまともに生きてはいけないだろう


時々 大義という言葉に唾をかけたくなる

もし殺しあう者同士のどちらかが正しいとしても

いっそ皆死ぬべきではないかとさえ思う


もしこの戦争が終わったとしても

人々の人生は狂わされたままだろう

そしてそのこともいつかは忘れ去られる

かつての俺達がそうしてきたように


平和もなく 安息もなく 戦い続けてきた

希望もなく 絶望もなく 戦い続けていくのだろう

それもいい だが一つだけ聞いてほしい

せめて人として死なせてほしい

せめて人として死ねるチャンスを俺に与えてほしい


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次回、連続詩小説 KILLING FIELD

第3話 「正義」 

この戦いに正義はない。


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