国際連合に対して、「大国主導過ぎだ」「もっと、小国の権利を拡大すべきだ」という声を聴く。

もちろん、理想的な世界はそうだろう。
だが、国際連合と国際連盟の違いを考えてみたとき、あるいは、カントが理想とした組織との違いを考えたときに、その話は、まったくもって現実性がないと言わざるを得ない。

国際連合は、国際連盟の反省からおこった。
大国が参加しない、あるいは脱退することによりこういう組織は簡単に意味をなくしてしまう。

国家は、暴力を独占的に有してるのに比べて、国際社会では、究極の権力が暴力を独占しているということはない。
つまり、暴力=軍事力に長けた大国が、自分勝手にふるまおうとし、それに対抗するだけの力を組織が持てない時には、簡単にこのシステムは崩壊する。

大国は、自分の意に沿わない仕組みなど、脱退してしまえばいい。
そしてそのことで、システムは崩壊してしまう。
現実的な問題として、国際連盟は大国をとどめ、システムを維持していくためには、大国にとって都合のいい組織とならざるを得ない。

現実的に、オバマ以前のアメリカは国連を脱退し、アメリカを中心とした民主国家連盟を新たに組織するという議論が盛んでした。

国際連合が、大国に対して何らかの牽制機構となるには、かえって大国に有利な制度である部分を残さざるを得ないというのが、現実なのです。
アメリカへの対抗策として、ロシア・中国が中心となって進めた上海条約機構(SCO: The Shanghai Cooperation Organization)が、形骸化している。

アフガニスタンへのアメリカの進行によって、この地域のパワーバランスが大きく崩れたことに対する対抗の意味もあったのだけれども、アメリカの撤退が迫っていることと、それ以上にロシア・中国両国のパワーバランスの差によるところが大きい。

一言にBRICsと言っても、
・中国=工業製品の輸出
・ロシア=エネルギー資源の輸出
と全く、経済構造が異なっていて、今回のダメージを一番受けたのは、ある意味ロシア。

ロシアにとっての一番の課題は、旧ソ連諸国の離反を避けることと、地域におけるイニシアチブ。
むしろ、中国はライバル。

中国にとっては、アメリカは自国から借金を負っている国。
ある種の主客関係の逆転。

そんなわけで、SCOは形骸化しているのであった。
アメリカの考え方:大国間の戦争は、基本的にない。RMA(軍事における革命)以降およびテロとの戦いが中心。核兵器は、有用性を失った。

ロシアの考え方:もはや、アメリカは敵国ではない(=強大すぎて敵にすらならない)
むしろ、旧衛星国や元ソ連邦内の国家のロシアへの敵対が問題。積極的に介入していくには、核の脅しが有効。
最大のライバルは中国。地域における力関係では、現実的なライバルになりうる。

中国の考え方:現在の直接的なライバルはインド。地域での影響力および安定のためには、核兵器は必要だが、それよりもRMAに対応した軍の近代化が急務。

3者の考えはかみ合わないのです。
そんなわけで、核削減は進まないのです。

エネルギー構造から、考えると、
アメリカ:産油国であるとともに消費国だが、自国では賄いきれない。
ロシア:産油国、輸出
中国:少しは出るが、自国では全く賄いきれない。

こうしてみると、中国って、第二次世界大戦における日本のポジション?