東日本大震災で中国は日本に戦後初めて救助隊15人を派遣し、胡錦濤国家主席は北京の日本大使館が
設けた記帳所を自ら訪れ哀悼の意を表明しました。四川大地震への支援に対する「恩返し」と位置づけられ
燃料2万トンを提供するなど、次々と支援策を打ち出されました。積極姿勢の背景には、対日関係に対する
配慮のほか、国際協調路線のアピールもあります。四川大地震では、伝統的な自力更生路線を一転させて
各国からの救援隊を受け入れる一方、近年インドネシア、ハイチ、などの震災支援や国連平和維持部隊に人員
を派遣しています。今回の日本支援も「新興大国としての道義的影響力を示せた」などと、世界第2位経済大国
にふさわしい大国の責任を意識した報道が相次ぎました。民間レベルでは、反日感情を乗り越えようとする試み
も見られました。中国の著名な学者100人は中国紙上で「日本に温かい手を差し伸べよう」と題する連名の
意見広告を掲載。「植民主義戦争による傷は深いが民族の精神が成長する困難な道のりを克服するには相互
の良識と仁愛が必要だ」と呼びかけました。