先月の法座で、昭和初期に製作された高座を見ていただきましたが、
今回は曲彔(キョクロク)を収納庫の奥から引っ張りだしました。
これまた高座同様、私の代でもういちど使わせていただけそうな場面をさぐっているアイテム。
(格式張った葬儀会館などでは今もよく使用されています)
埃まみれになっていましたが慎重にメンテナンス・・・すごくかっこいい!
現代でも新品のものがカタログ掲載され受注販売されていたりしますが結構なお値段です。
しかし、此れはさらに・・・日本の職人さんが現代よりも元気だった時代のモノで漆の施しや装飾金具が素晴らしい!
雅楽器やお仏壇なんかもそうですが、古い物のほうが材質的にもすぐれている。
ただひとつの不安は、座って壊れないか?ということでしたが、
おもったよりぐらつきは少ないです。
曲彔は宗派によって用いる場面は多少違うらしいですが、昔は葬儀後の野辺おくりにも使われていたらしい。
そんな場面かと思われる古い写真がこちら。
私の曽祖父にあたる西光寺先々々代住職の釋惠照法師
傘を持つ人と、この折り畳み式曲彔を抱えて運ぶ人・・・世話係が二人付いています。
墓地でのお勤めでも曲彔は使われていたそうです。
なぜ腰をかける必要があったのか?
それはたぶんお経が長かったから?
そして現代よりも儀礼や儀式に対する考え方が丁寧だったから?
この写真にうつる曲彔がこれと同じ物かは年代的に微妙ですが、おそらく別物ではないかと推測されます。
ちなみにコチラ、寄進者(施主様)はご健在でご活躍されている西光寺門徒の現代版妙好人T氏、お若いころから色々とあげてくださっていたんですね。
西光寺の宝物として大切に使わせていただきます
釋 俊彰