9.22神戸で鬼が暴れまわったあの日、カリスマがスイッチブレードに連敗を喫した。
その結果、内藤が宣言したIWGPとインターコンチの二つのベルトを同時に保持するという、いわゆる二冠同時保持の内藤の夢は遠のいた様に見えた。
「逆転の内藤哲也をお見せします」
負けが先行したG1クライマックスの前半戦、内藤はマイクでそう宣言し、その公約を果たす様にその後白星を重ね続けた。
そして迎えた8.11日本武道館、大混戦のBブロックは内藤とジェイ、最終的にこの二人に絞られた。決勝進出を懸けたこの一戦は、二人のトップレスラーによる目まぐるしいハイレベルの攻防戦となったが、新日本プロレスを代表する二大ユニットのリーダー同士の戦いは紙一重ながらジェイ・ホワイトに軍配が上がった。だが、そのジェイもまた決勝戦で敗れ、真夏の最強王座の称号はゴールデンスター飯伏幸太のものとなった。
その後、内藤とジェイ、二人の因縁は、インターコンチのベルトを巡る戦いという形で深まっていく。
内藤の言葉には不思議な力がある。ドン底を経験した男が持つ言葉の説得力か。もしくは有言実行を貫く男の実績からだろうか。
だからこそ、有言実行の男が神戸で負ける筈が無いと。恐らく多くのファンがそう思っていたのではないだろうか。かくいう僕もそのひとりだった。
だが蓋を開けてみれば、インターコンチの純白のベルトは、ヒール軍団バレットクラブのリーダーの手に墜ち、リング上ではロスインゴを揶揄した勝ち名乗りが響き渡った。
何故、内藤哲也は負けたのか。
内藤哲也に一体何が起きているのか。
数日前の東スポに、内藤が親父さんと二人で出ていた記事が載っていた。
インターコンチ王座陥落、ベルトをジェイに奪われ失意の内藤に、父親の賢一さんが語っている。
「勝ち負けの部分は仕方がない。ただここ最近、体を酷使しすぎじゃないかと。そりゃ、ベルトを取ってほしい気持ちはあるけど、若くはないんだし、ところどころ休むことも視野に入れてもいいんじゃないか?」
ファンの事を「お客様」と公言し、試合を観に会場に足を運んでくれるそのお客様に、常にベストの戦いを見せたいと内藤は言う。
「今を精一杯戦えない選手に未来は無い」
「選手生命を考えながらの戦い方なんて自分には出来ない」
そんな内藤が、親父さんの進言どおりに休養を取る筈が無い。そしてそれは内藤の生き様に反するからである事は想像に難くない。
内藤が宣言した二冠同時保持の夢。それに呼応する様に飯伏、ジェイ、後藤までもが、二冠同時保持という言葉を口にし始めた今、内藤はこれからその夢に向けて、その野望をどう実現させていこうと思っているのだろうか。
来年1月の東京ドーム、イッテンヨン、イッテンゴで二冠同時保持を狙う。その為には、IWGPヘビーとIWGPインターコンチ、従来であればこのどちらかを必ず保持していなければならなかった。だが今年に限っては、必ずしもそうある必要はない。
これは例の飯伏のG1一夜明け会見での要求が通っている前提だが、その場合は、どちらかのベルトをその時点で保持していなくとも、イッテンヨンの対戦相手として組まれていれば、同時保持の可能性が現実味を帯びてくる。
IWGPヘビーチャンピオンと、その挑戦者(挑戦権利証保持者)。更にIWGPインターコンチチャンピオンと、その挑戦者。この4人全員に二冠同時保持という可能性が出てくるという事だ。この4人の中に入ってさえいれば良いという事だ。
とはいえ、現状は二本のベルト共にそれぞれの挑戦者が順番待ちの状態であり、この4人の内のひとりになる事自体がかなりハードルが高いといえる。
IWGPヘビー現王者オカダへの挑戦者として名乗りをあげるには唐突過ぎる。
インターコンチ現王者ジェイへのリマッチというのも過去の飯伏との一件もあるので現状ではピンと来ない。
かといって飯伏の持つ権利証を巡る戦いに絡む要素も少ない。
と、なるとどうするか。どうやってその4人に入るべく絡んでいくべきか。
ここから先は完全にいつもの僕の妄想だ。
10.14両国国技館のセミファイナル、権利証を懸けて飯伏とEVILが戦う。結果、防衛に成功した飯伏の右手をレッドシューズ海野が掲げた時、白のスーツ姿の内藤が花道に現れ大歓声が沸き上がる。またか、と明らかに嫌そうな表情を浮かべる飯伏。一方の内藤は両手を広げ笑顔でこう言う。
「スマイルだ、飯伏」と😄
もしくはこういうのはどうだろう。
インターコンチの防衛戦、ジェイは嫌がるだろうが、後藤との一戦が組み込まれるに違いない。度重なる外道の介入を阻止し、牛殺し式GTRでマットに沈めたジェイハンター後藤。満身創痍で勝ち名乗りを上げた絶妙のタイミングで内藤が現れる。ニヤけた表情でゆらゆらと歩く内藤の胸元にはLA DOJOのロゴ。駆け上がったリングで黒いTシャツを脱ぎ捨てると、コリエンド式のデスティーノが炸裂する。リング上で大の字になった後藤を足で踏みつけながら、いつもの様に眼を開き右手を挙げ、ポーズを決める内藤。
令和元年を締めくくる後半戦、例年の様にベルトや権利証が移動しない無風のまま過ぎた場合、内藤は厳しい状況に追い込まれるだろうが、一方で移動する事になれば混沌が内藤への追い風となるに違いない。
いずれにしても内藤は何らかの因縁を自ら造り出す必要がある。
何かをやらかす内藤を僕は見たいのだ。
果たして僕たちはこの目で、逆転の内藤哲也を見る事が出来るだろうか😆
