イタリアに住んでいる大学時代のクラスメイトが
バンコクに来るというので再会がてら案内をすることになり
久々のワットポーに行って来ました。
この巨大な涅槃仏がいるタイマッサージの総本山。
住んでいるとわざわざ行かないし、行く用事もないし、
ワットポー?今さら?何しに?という感じもするけれど
行ってみると穏やかな空気が流れていて、ほっこり。
王様崩御から日が経ってないのでどうかなー?
と思いつつ出かけたけど、ワットポー周辺はいつも通りで
敷地内でもタイの東洋医学的なハーブやマッサージなどの
ダラ〜っとしたイベントがあっていて
心身ともにゆるゆるにさせられてしまいました。
ボーッと座っているだけでも気持ちが穏やかになって
リフレッシュできる場所だということに気づいたので、
年に一回でもたまには来よう!と改めて思うところもあり
なかなか良い機会だったな。
今回、特に面白かったのは初めて見た涅槃仏の修復。
この↓右下の板状の欠片が、剥がれた(剥がした?)
コンクリートの土台の上に塗られていた古い層。
要するに涅槃仏の表皮だね。
↑の左下にある茶色い煉瓦を砕いた粉を練って↓
↓そこに、漆の一種を混ぜて練りこんでペーストを作る。
素手でやっているから本当に漆?と何回もお兄さんに
聞いたりしていたけど、wikiを見て納得。
「日本や中国のウルシの木とは違いアレルギー反応を起こさせず、
よりゆっくりと硬化する。職人は刷毛を使わず素手で塗布を行う。」
だそうです。
(ついでにwikiで気になったのは、
「歴史上最も古いラッカーの使用例は日本列島におけるもので、
時期的には紀元前7,000年頃のことである」のところ。
マジか!日本列島って9千年くらい歴史あるってこと?)
で、そのペーストを剥がれた箇所に塗って皮膚を再生。
この日はふくらはぎの裏あたりを塗っていました。
薄く広く塗っていたので何日もかけて何層にも塗るんだと思う。
塗ってすぐは真っ黒ではなく少し茶色がかっているけど、
他を見て回った後、帰る前にもう一回見に行ったところ
(私ら、質問含めてかなりしつこい)
真っ黒に変色していたので、煉瓦の粉が漆を吸い込んで
黒くなるのかな?と勝手に想像しています。
このお肌のケアの後は、金箔を貼ってお化粧です。
金色の塗装じゃなくて?と失礼ながら何度も訪ねたけど、
本物の金です(ビシッ)!って言われてしまった。
薄い箔とは言ってもこれだけ巨大だと相当な量の金だよなー
と考えたら、涅槃仏の価値が心の中で急上昇!
間近で見れなくなっている足裏の螺鈿細工のひび割れも
ふくらはぎの作業が終わったら修復していくそうです。
だけど、全身をやるわけではなく、2年に1回、2ヶ月間で
傷んでいるところを部分的に集中して修復するそうで、
今年の作業は12月には終わるよ、ってことでした。
このお兄さん、シラパコン大学の出身ということで
この手の仕事はまだ2年ほどみたいだけど、
去年は爆弾テロで傷ついたエラワン廟の金の仏像を
修復して金箔でピカピカにする作業もやったそうです。
スマホで写真を見せてくれました。
立て続けに国を代表する仏像の修復を手がけるなんて
素晴らしいお仕事ですね。
バンコクの2つ先くらいのナコンパトム県にある
シラパコン大学は、なかなか優秀な国立大学なのだけど
他の国立大とは少し違うのは芸術系に強いことで、
でも、バンコクにあるタイの東大ことチュラロンコン大学の
芸術学部(ファインアート)のイケイケ感とはまるで違って
自然豊かなのんびりとした環境での芸術といった感じです。
チュラ大のイケイケなアート子女は金持ち家だろうけど、
こんな田舎でのどかな芸術やってて食べていけるんだろうか?
という疑問は常々あったのだけど、国の仏教芸術やその技術を
継承していくという立派な仕事のためだったのね、ガッテン。
敷地内の小さめの大量の仏像でも修復作業をしていました。
モザイクタイル状のキラキラを貼る作業をしていたけど
部屋の床や壁のタイルでいうところの端のサイズ調整が
ひたすら続く(中央ベタ張りはほぼない)根気のいる作業。
貼ったばかりがこんなにキラキラとは。
完成直後はさぞかし綺麗なんだろうなー。
この後で行ったワットアルン(暁の塔)も足場で囲まれていたし
修復月間って感じなのかな、日本の期末工事みたいなもん??
興味津々で知的欲求が満たされた1日の〆は
もちろん(いつもよりちょっと良い)ビール♪