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┃1 ┃ダルア・メラ・シャンディール12世(初代ダルア皇帝)のお話
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 §大陸がまだ戦乱に明け暮れていた時代§
  移り変わる支配者の元で、着実に財力と権力を身につけてきたのが、貴族階級のダルア家である。
  ダルア家は紀元前400年前後より続いている名家であるが、今までは決して表立った活動はせず、
  時代と共に移り変わる支配者に上手く取りこみ、安定した地位を得てきた。
  しかしそんなダルア家も紀元前200年ごろから歴史の表舞台にたびたび出てくるようになった。
  アヴルール信仰を広げていた僧侶「クォパティ」のパトロンとなり、クォパティ教団設立の後押しを始めたからだ。

  ダルア家は、時には武器商人であったり、時には王を守る近衛兵であったりし、権力と財を築いてきたがたが、
  ついに紀元前80年、空中都市リラローザを建設し、その力を内外に知らしめた。

   この建設に携わったのが、
    ダルア・メラ・シャンディール。
    当家12代当主である。

  彼の性格は家紋の鷹のごとく、狙った敵は必ず仕留める冷徹なものであり、列強各国も一目置く存在だった。
  空中都市建設によって更なる実力を発揮したダルア12世を手駒に収めようと、
  各国からは破格の待遇で召抱えようとする動きがあった。
  しかし彼は逆に各国を取り込み、小さな領土を基軸に自らをダルア皇王を名乗り「ダルア皇国」を建国した。
  一介の貴族が国を作るなど前代未聞であり、列強各国はダルア家を侮蔑し、非難した。
  ダルア12世は、建国を支持した友好国には財を与え、侮蔑する者や敵対する者に対しては、容赦なく宣戦布告した。
  一領土を国と名乗った程度の「ダルア皇国」が宣戦布告したところで、列強各国ににとっては蚊に刺された程度のものであり
  戦いの結果は火を見るより明らかであった。
  しかしダルア12世は、殆ど兵力も国力ない状態で、次々に列強各国を平伏させた。
  
  そのダルア皇国の強さの秘密は(古文書虫食いのため解読不能)の存在だった。
  そもそも一介の貴族であったダルア・メラ・シャンディールに建国を促し、野心を炊きつけたのも、
  その(解読不能)だと言われている。
  (解読不能)は「古き者ども」と呼ばれる封印された妖魔たちを「禁呪」で召喚し、意のままにコントロールする術を持ち、
  ダルア12世に無敵の軍隊を与えた。
  ダルア12世によって統合された国はアザルス大陸の2/3に至り、たった5年の間に24の国家が消滅した。
  そして最後の国家アルバロアが崩壊し、ダルア・メラ・シャンディールはアザルス歴元年を宣言した。
  これがアザルス歴の始まりである。

  とりあえずダルア12世についてはここまで。
  しかし、ダルア家を知るにはその世継ぎであるダルア13世について語らねばなりません。
  その前に僧侶クォパティについての昔話があります。


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┃2 ┃僧侶クォパティのお話
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  アヴルール信仰を流行らせ、寺院を各地に建造したのはノーム族のクォパティであった。
  その者は信仰が厚く、アザルス大陸各地に寺院を建て、神の御心を説き、人々に善なる行いを伝え歩いたという。
  現在のクォパティ法制院も、クォパティ寺院の集合体として生まれた宗教国家である。
  だが、歴史学者は
  「あらゆる文献を確認しても、クォパティという僧侶の描写がない。
   いつ生まれて、どういう両親の元で、(それまでは民間伝承程度に過ぎなかった)アヴルールを信仰するようにと
   伝え歩いた理由はなんなのか、一切根拠がない」
  と口をそろえる。
  現在でも「クォパティを疑う者は神に唾するものである」と言いだす狂信的な者もいるが、
  歴史学者達がいくら調べても、クォパティという僧侶についての文献はまったく発見されていない。
  伝えられているのは
   「ノームであったこと」
   「僧侶であったこと」
   「各地に教会を建てたこと」
   「解毒・蘇生などを中心に、人々の生活に密着した宗教を広げた」・・・・
  ということだけで、男だったのか女だったのかもわからないのだ。
  クォパティの生涯についてもはっきりとした文献が残っているわけではなく、布教後どのような人生を歩んで幕を閉じたのかも定かではない。
  クォパティ法制院の見解では「クォパティ大司教は神に召された」としているが、実在する人物だったのかも怪しいとされている。
  しかしダルア12世に纏わる話など、他の文献でクォパティという名前があることからも、なんらかの形で実在はしていたようだ、というのが現在の歴史的見解となっている。
  クォパティの謎は、この魔力消失事件が終わった後に、冒険者自身が手繰り寄せることになりそうですね。


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┃3 ┃ダルア13世のお話
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 §アザルス歴五指に入る謎とされるダルア・メラ・シャンディール13世(第二代ダルア皇帝)について§
  アザルス暦018年生まれ。 幼名はノアリュート。
  初代ダルア皇帝(ダルア・メラ・シャンディール12世)が齢35歳のときの子供で、8番目の子供だった。
  ノアリュートが15歳になる頃、大陸を手中に収めたダルア皇の子らによる後継者争いが勃発し、その火種は皇国内乱にまで発展した。
  それぞれの子供を支持する貴族や王族達は、後継者となった後の利益を求め、いたずらに戦火を広げたのだった。
  その内乱において、ノアリュートは最も支持者が少なく、一番最初に後継者争いから排除されると誰もが思っていた。
  しかし彼は圧倒的な強さで他の後継者を駆逐し、第二代ダルア皇帝となった。
  ノアリュートは反対勢力を一握りの軍隊だけで制圧し、兄弟姉妹を全て殺すことなく捕縛し、王位継承権を捨てるか命を散らすか迫り、全ての同意を得て13世を名乗った。
  兄弟姉妹たちを誰も殺さなかったことから後にダルア13世は「黎明の君主」と讃えられたという。
  彼と一握りの軍隊が、他の圧倒的な軍隊に勝てた理由は諸説あるが、最も有力な説は2つあり、
    1つは当時まだ知られていなかった「気力(オド)」を扱う手ほどきを受けており、その才能も高かったという事
    もう1つは、彼が生まれた時から手に握っていたと言われている「魔除けの指輪」によって、無敵無敗の回復能力を有していたからだとされている。
  それから暫くは平穏が訪れていたが…
 
 ●アザルス歴38年。
  20歳となったダルア13世は、腹違いの弟アーシュライトの内乱によって、首都リラローザを奪われてしまう。
  地位も名誉も材も兵も・・・全てを奪われて放逐されたダルア13世は、冒険者にまで身を落としながらも、様々な土地を巡って信頼出来る「仲間」を得た。
  そして、たった6名でアーシュライトが支配した空中都市リラローザに攻め入る。
  この際、ダルア13世はアーシュライトに対抗すべく手に入れていた(解読不能・・・楔と読める以外は不明)を手に入れるが、戦いの最中にアーシュライトに奪われてしまう。
  だが、この・・・(長文が続いているが文献の劣化が激しく解読不能)・・・アーシュライトは消えてしまった。
  ダルア13世は(解読不能)の真価を危険視し、とある魔術師に封印を依頼した。
  その魔術師の名前はチュ・ル・ガーという。
  この内乱によって大陸のあちこちで火種がくすぶる形となり、以降小規模な戦いが続いた。
  そんな不安定な情勢からか、アザルス歴44年、ダルア13世は26歳のとき、突如として色に溺れるようになってしまう。
  もともと世継がいなかったせいもあるが、その溺れ方は異常で、貴族や王族ばかりか庶民の娘も孕ませることがあった。
  このとき色に狂ってできた子供たちは、それぞれが気力(オド)に長けており、基礎能力が尋常ではない高さを持っていたとされている。
  大臣たちは、この子供たちのせいで将来再び世継争いがあるだろうと予感していたが、色に狂ったダルア13世の耳には届かなかった。

 ●アザルス暦51年。
  ダルア13世の乱行に愛想をつかしたクォパティ寺院は、独立国家として永世中立を宣言した。
  しかし内乱続きで疲弊していたダルア皇国はこれを黙認し、さらに国の威信を疑わせる結果となった。

 ●アザルス歴60年。
  ダルア13世42歳のころ、何人もの世継候補が現れるようになった。
  王は彼らに「世継ぎ候補として認めてほしくば・・・」と、無理難題を出すようになった。
  これは「ダルア王の試練」と呼ばれ、誰一人として完遂できなかった。
  数年後、ついにダルア王の試練を突破した者が現れる。
  その名はシュリタールと言う。ダルア王は試練を突破したシュリタールに正当な世継ぎ候補として爵位を与えつつも、まだ(他の自分の子らに)試練を与え続けた。
  そんな中、世の中は内乱の火が沈静化しておらず、ダルア王が悪魔崇拝しているという噂もあって、治安は悪化の一途を辿っていた。

 ●アザルス暦75年。
  ダルア王57歳のころ、ダルア皇国の旧家のひとつであるディメント家が当主ディメント・メメアの奮起により、大陸東部の港町を起点に自領を王国と宣言する。
 
  アラスシュタン大陸との貿易益により繁栄していた同家は、ダルア皇国に反旗を翻した形になったが、
  元々ダルア皇に連なる家系であるためか、その様式や思想はダルア皇国を踏襲しており、
  皇国としては属国ができたという考えが強く、独立を問題視していなかった。
  しかし、これがダルア皇国の権威がなくなったと民に知れる最大の原因だったことは否めない。
  
 ●アザルス歴98年
  ダルア王80歳のころには、殆どその姿を見ることがなく、試練を潜り抜けた唯一の成功者シュリタール候が実質的な政治を行っていた。
  ダルア王はごく一部の側近にしかその姿を現さなかったが、偶然見かけた女中の話によると、80歳とは思えない若々しさで、
  まるで30後半か40歳くらいにしか見えなかったという。

 ●そしてアザルス暦100年。
  俗にいう「ダルア王の乱心」事件が起きる。
  若い娘が王宮に連れて行かれ戻ってこないという事件が頻発し、それを調査していたクォパティ寺院の手の者たちが、ダルア王が女たちを殺し、その血肉を貪っていたと証言したのだ。
  シュリタールはダルア13世の逮捕を命じるが、すでに行方をくらましていた。
  このタイミングで内戦が激化し、これをきっかけにダルア皇国は瓦解し、二代にして皇国は終わりを告げた。
  「黎明の君主」と称されたダルア13世がどうして色に走ったのか、そしていったいどこに消えてしまったのかは、未だに歴史的な謎とされている。


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┃4 ┃おまけ:ダルア13世と5人の冒険者たち
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 ダルア13世が王都奪還のために選抜した冒険者たち。

   ドワーフ族の戦士アルトワチス
   ヒューマンの戦士にしてダルア13世の側近ジャック・トリントン
   エルフ族の美女僧エマ・リアント
   ノーム族の尼僧シャンベラ・クルストス
   ポークル族の義賊トムム・トル・トレル

 戦いの最中、アルトワチス、シャンベラ、トムムが死亡したが、生き残った者たちは近衛騎士となり、
 死んだ者たちも英雄として像が建てられている。



このダルア13世にまつわるダンジョンもあるかもしれませんねぇ・・・ええ



以上です。
取り急ぎ抜粋・簡易整形まで。
あとでしっかり整形をする予定ですが予定が未定になる可能性も多々たたたた