佐藤蛾次郎さんのご冥福をお祈り致します | 西条昇教授の芸能史研究

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エンタメ評論家で江戸川大学マスコミ学科教授の西条昇のエンタメな日々。浅草芸能コレクション、喜劇、ジャニーズ舞台、アイドル、お笑い、昭和レトロ、ブラジリアンダンスのランバダなどなど。

佐藤蛾次郎さんが亡くなられたとのこと。
大阪で子役として活躍後、1968年にフジテレビのドラマ版「男はつらいよ」で寅次郎(渥美清)の弟の雄二郎を演じたのに続き、翌69年からの映画版「男はつらいよ」では寅次郎の弟分で帝釈天の寺男となる源公役で長く親しまれた。
当初の源公は、ヒゲもなく短めの普通の髪型だったが、カーリーヘアに口ヒゲがトレードマークになってからは、あまり喋らずにマドンナに夢中になった寅を少し離れたところから見ては無邪気に笑ってみせる演技にマルクス兄弟のハーポ・マルクスに通じる味が感じられたものだ。あの源公の味を出せた俳優は日本では蛾次郎さんしかいないだろうし、蛾次郎さんの良さを引き出して源公のキャラクターを作り上げた山田洋次監督はさすがとか言いようがない。
21世紀寅さん研究会の故・小林聖さんと共に、良く新橋の蛾次郎さんのお店に伺い、出演中の舞台の楽屋にお邪魔しては、大阪時代に共演した喜劇人の話や寅さんの撮影時のお話などを聞かせていただいた。
心より蛾次郎さんのご冥福をお祈り致します。