【西条昇の戦後芸能史研究】「ミュージック・ライフ」1959年9月号の渡辺プロの広告 | 西条昇教授の芸能史研究

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エンタメ評論家で江戸川大学マスコミ学科教授の西条昇のエンタメな日々。浅草芸能コレクション、喜劇、ジャニーズ舞台、アイドル、お笑い、昭和レトロ、ブラジリアンダンスのランバダなどなど。

ジャズの月刊雑誌「ミュージック・ライフ」(新興楽譜出版社=現シンコーミュージック・エンタテイメント)1959年9月号に掲載された渡辺プロダクションの広告。
〈ジャズからロカビリーまで……新時代の新らしいマネージメント〉とのキャッチコピーの通り、渡辺晋とシックス・ジョーズ、白木秀雄クインテット、中村八大モダントリオ、ハナ肇とクレイジー・キャッツらジャズ勢に加え、山下敬二郎とレッド・コースターズ、ミッキー・カーチス、堀威夫とスイング・ウエスト、井上ひろしとドリフターズらロカビリー勢の名前が並んでいる。
副社長の渡辺美佐氏が仕掛けた1958年2月8日からの第1回「日劇ウエスタン・カーニバル」で山下敬二郎、ミッキー・カーチスが平尾昌晃と共に〈ロカビリー三人男〉と言われて人気が爆発し、59年8月25日からの第7回では井上ひろし、守屋浩、かまやつひろし(ここでは、かまやすヒロシと表記)による〈三人ひろし〉の景が作られていた。
また、59年の3月からクレイジー・キャッツの「おとなの漫画」(フジテレビ)、6月からミッキー・カーチス、ザ・ピーナッツ、スマイリー小原とスカイライナーズらによる「ザ・ヒットパレード」(フジテレビ)が始まっており、渡辺プロはテレビへの進出も果たしていた。
のちにホリプロ初代社長となる堀威夫氏の自伝「わが人生のホリプロ いつだって青春」には〈昭和三十三年秋、第三回ウエスタン・カーニバルの出演を終え、渡辺プロと訣別することになった〉とあり、〈映画『檻の中の野郎たち』のキャスティングを巡っての確執が直接の引き金〉と記されているが、59年8月のウエスタン・カーニバルにもスイング・ウエストは出演しており、ミッキー、山下、守屋が主人公を演じた東宝映画「檻の中の野郎たち」は59年8月に公開されている。堀氏がスイング・ウエスト(のちの田辺エージェンシー社長の田辺昭如氏がドラマーとして在籍)、守屋らと共に渡辺プロを離れたのはこの9月号が発売されて少ししてからのことだったのではないか。