転職してから、幸いにも藤田社長の近くで色々と学ばせてもらった。
そんな中で時折、
「あっ、知識が知恵に変わったな」
と感じる瞬間がある。
現在もまだまだ学ぶことは多いが、4年前のエピソードを1つ。
それは初めて会社経営を任された時のこと。
メールインという会社で、資本金は3億円。
サイバーエージェントとGMOインターネットとライブドアの
ジョイントベンチャーだった。
(メールインは2001年秋にGMOインターネットに売却された)
事業内容は、いわゆるメール広告媒体事業で、ビジネス成功の
ポイントは、いかにして会員と広告主を集めるかだった。
初年度の会員目標は100万人。
転職して半年。まだインターネットビジネスの知識が浅かった私は
競合他社や海外での事例を必死に研究し、知識を詰め込んだ。
とにかく事業を失敗させてはいけないという思いから、Excelで
マーケティングや収益のシミュレーションをひたすら繰り返していた。
そんな私の様子を見かねたのか、
普段は任せた事業にあまり口を出さない藤田社長がトコトコと歩いてきて
「どう。西條君。調子は?」
と声を掛けてくれた。
「はい、プロモーションプランを立てるのが難しいです」
私は数あるインターネット広告のどこに広告を出せば会員を効率よく
(獲得単価を安く)増やすことができるかに苦心していた。
藤田社長は私の机の上にあった、広告媒体資料を手に取って言った。
「じゃぁ、これ上から下まで全部やろうよ」
「えっ、ぜっ、全部。。。ですか???」
全部に広告を出すと広告費が1億円くらいかかる。
「うん、いいから全部やってみて」
私は
「そんなムチャな!いままでのシミュレーションはいったい???」
と思った。
しかし藤田社長は余裕の表情で笑っていた。
「わかりました」
私は、疑心暗鬼&ビビリながら、ほぼ全ての広告メニューに広告を出した。
結果は。。。
2ヶ月ほどで約20万人の会員を獲得した。
このビジネスは会員が約20万人くらいになると広告主が見つけ易くなる。
メール広告市場が拡大期だったこともあり、一気に売上げが拡大し、
事業が立ち上がった。
獲得単価は500円だったので、私が気にしていたシミュレーション上の
300円より高くついたが、そんなことよりも、重要だったのは、まず
20万人の会員を集め、早期に収益の基盤を作り、損益分岐点を越える
ということだった。
頭では考えればわかっていた。つまり知識はあった。しかし、それを
実行に移すという知恵が私には足りなかったのだ。
「知識が知恵に変わる瞬間」
自分よりも優れた人から本当に学ぶべきものは知識よりも知恵では
ないだろうか。
今の学校教育や、会社での社員育成に足りないのは、こういった
知恵の教育ではないだろうか。しかし知恵はなかなか伝えるのが
難しい、なぜなら実際に経験してみることが必要だからだ。
また、既成概念にとらわれずに、先輩の言うことに素直に耳を傾け、
実際に実行してみることが重要だと思う。