出家について
出家(しゅっけ)とは、文字通り家を出て俗世間を離れ、修行生活に入ることである。それに対して、俗世間で生活することを在家(ざいけ)という。
様々なしがらみのある俗世間にいたままでは修行ははかどらない。出家をすればしがらみはなくなり、修行に専念することが出来るようになる。だから初期の仏教では、修行者は出家をするのが当然だった。
仏教が広まっていく中で、俗世間を離れたくても離れられない人は仏になれないのかという考えが起きる。特に家と社会を重んじる中国では、出家は人としての責任を放棄することだと非難された。そうした中で出家者よりも在家者の方が優れているという物語を説く『維摩経(ゆいまきょう)』や、この世界ではなく浄土で仏となることを第一とする浄土信仰が盛んになる。
出家はそれ自体が目的ではなく、仏となる手段の一つである。どんな手段にも優劣はない。どんな道を行くにしても、仏様が導いてくれることに変わりはない。